正月早々、目を疑ってしまった。
3日の新聞各紙は欧州連合が原子力発電を地球温暖化対策に役立つエネルギー源と位置づけ、天然ガスとともに脱炭素社会を作り上げていく過程で「役割がある」と認定し、投資を呼びかけるというニュースを掲載した。
仮にこの方針が指示されれば、欧州域内では老朽化した原子力発電所の若返り工事が進められるようになるほか、新・増設の動きに拍車がかかることになりかねない。
まさに時代に逆行した間違った選択としか言いようがない。
更に問題なのはこうした欧州の動きに手を叩いて喜んでいるであろう経団連を中心とする日本の原発推進派勢力を喜ばせ、その尻馬に乗りかねないところだろう。
「あのヨーロッパがやっているんだから日本だって乗り遅れるわけにはいかない」トカナントカ、鉦や太鼓をたたいて大ハシャギに転じることだろう。
今は凍結されている原発の新増設に向かって猛ダッシュを始めるに決まっている。
そんなことが許されるわけがない。
ボクは大反対だ。
日本には原子力発電は必要ない。
それは2011年の東京電力福島第一発電所のあの大惨事以降、国民の暗黙の合意になっているんじゃなかったっけ?
欧州連合には既に「原発ゼロ」を決断して、次々に廃炉作業を進めているドイツがあり、ドイツ以外にも脱原発を目指す国がある中での今回の決定が、右から左にすんなり受け入れられるとも思えないが、そこまでやるかい…と正直言って驚いている。
まさに「目的を遂げるためには悪魔とだって手を握る」の構図だが、悪魔はあくまでも悪魔だ。
人の良いおっさんでもなければ、愚かなニンゲンを助けてくれる存在であるわけがない。
一旦握ったら最後、手を切りたいと願っても今度は悪魔の方が手を握りっぱなしにして放してくれなくなるだろう。
それよりなにより、悪魔に魅入られてしまったら魂までもが吸い取られてしまう。
そんなことになったらどうするつもりか。
欧州こそ悪魔伝説、魔女伝説の本場じゃないか。
近・現代になっても思いがけない「悪魔のような存在」が出現してヨーロッパ中はおろか世界中の人々を震え上がらせてきたことを忘れたわけじゃないだろうな。
歴史を繰り返すつもりなんじゃないだろうな。
脱炭素社会の実現は脱原発でもなくちゃいけない。
一旦暴走を始めたら人の手では制御できないエネルギーにこの地球を委ねるなんて…
どこまで本気なんだろうか。
とても正気の沙汰とは思えない。
世界中の英知を集めて自然エネルギーをはじめとするクリーンエネルギーにこそ活路を見出すべきだという考えに賛成するね、ボクは。
多少のコストがかかったとしても、それが「急がば回れ」の正しい選択なんじゃないか?
脱炭素社会実現と引き換えに悪魔に魂を売り払うなんて、そんなバカげた発想には断固拒否する!
(見出し写真は円覚寺・如意庵の竹藪とマンリョウの実)