北鎌倉の臨済宗円覚寺派大本山・円覚寺では2月いっぱいで人が大勢集まる日曜説教坐禅会など、定期的に開かれていた坐禅会や写経会の類がすべて休止になり、やがて緊急事態宣言が出されるに及んで拝観そのものも中止されてしまった。
大仏や長谷寺、瑞泉寺、報国寺など観光客を大勢集めていた鎌倉市内のほかの寺院も軒並み一斉に拝観中止措置をとっていたが、やっと6月1日から門が再び開いた。
厳冬期の坐禅会を乗り切り、ようやく3月からは胴震いの寒さからも解放されるんだなぁ、やれやれ、と思っていた矢先の中止措置だったので大いにがっかりしたが、坐禅会そのものは依然として中止が続いたまま。
せめて久しぶりに境内の空気でも味わってこようと、昨日3か月ぶりに円覚寺の門をくぐってきた。
総門のところに見たこともないような大きな立て看板が出され、「十分な距離を取り、左の入り口に順次お進みください」と書かれている
「十分な距離」という表現に禅寺らしい「自分のことは自分で律せよ」という考え方が垣間見られるようだというのは考えすぎか…
山門への階段両脇に茂るのはサクラだが、今年は円覚寺の桜は一度もみなかった
山門 それにしても拝観客の姿がほとんどない
「山門不幸」の真新しい立て札は2月29日に横田南嶺現管長の前任者である足立大進老師が亡くなったことを伝えている
仏殿前でようやく参拝客を見た 内部は依然拝観中止中
大方丈も拝観は中止
大方丈の隣の宗務本所玄関わきにある表示板に懸かれた横田南嶺管長の揮毫
掲げられているのは仏教詩人・坂村真民の詩で毎月別な詩に書き換えられる
妙香池とショウブ
境内最奥部の黄梅院 ここは中に入れた
黄梅院の階段下の掲示板にも横田管長の筆になる坂村真民の詩
早く夜が明け、光が射してきますように
イワタバコが花盛り
瑞々しい葉と紫色の花が印象的
これからはヒオウギも盛りを迎えることだろう
在家のための禅の修行道場・居士林
ここは半世紀前の思い出の場所で、ボクにとって大切な場所でもある
居士林山門とアジサイ
居士林境内のウツボグサとキチョウ
見出し写真とともに居士林の山門脇の「ミッキーマウスノキ」
南アフリカ原産の植物で本名は「オクナ・セルラタ」
開花期は5月~8月で黄色い花が咲いて残ったガク片が赤く色づき、実は最初は緑色だが熟すと黒くなるそうな
その派手な色合いと姿かたちからミッキーマウスの名がついたらしい
欧米じゃぁ禅の人気は根強いし、茅葺屋根のそばにこの植物があることは違和感も何も感じない ミッキーも坐禅してるかもしれないし…
結局、昼前の境内で見かけた参拝客は10人に満たず、顔見知りの坊さんにも出会わなかった