雪にはならず、降り続けた雨も昼過ぎには止んだが寒々しい日で、外に出る気にもならない日だった。
こういう時こそ晴耕雨読。
昼ご飯を終えた後、掘りごたつに潜り込み、われ"こたつ布団のしみ"たらん、と手に入れたばかりの文庫本を広げる。
金曜日に長湯をしながら風呂場で聞いた某国営放送が「多様性を考える上でなかなかの好著」「読んでみるべき一冊」と薦めていた『赤毛のアン』。
本屋で手に取った時、思っていたより分厚いので少し驚いた。普通の文庫本2冊分の厚さで524ページもある。
村岡花子の訳はリズムがあって読みやすいが、いかんせん古めかしいところがあって、えっ、少女がこんな言い方をするの?と首をかしげたくなるような個所や差別的とも思える表現も所々に出てきたが、最初の翻訳本が発行されたのが1952年で、今から73年も前のことだから、それも仕方ない。
文庫本の巻末では「改定にあたって」と題する一文を掲げて理解を求めていたのも無理からぬところだろう。
これは古典的な書物を読めばどの本にも共通する事柄で、それはそれで当時の世相や社会の諸相を知る手掛かりとして貴重で、やむを得ない。
読み始めると早速2、3カ所で涙腺が緩みかけたが、今のところは"緩みかけ"でとどまっている。
最近味わっていない"決壊"や"滂沱"の局面に遭遇してみたい気もする。
そして、初日は結局のところ100ページ余りしか読み進んでいないが、さっそくアン・シャーリーの魅力に取り込まれつつあるようである。
ところどころ、孫娘の姫の姿と重ね合わせながら…
2017年2月 特徴的な波の上に浮かぶ厳冬の富士山
足元の江ノ島の岩場を洗う海水は澄み切っている
この年の富士山は今より積雪量が多かったように見える
(今日の写真はすべて蔵出しです)