ボクの暮らす街のはるか北側を通り抜けていったために、その台風に向かって強い南風が吹き付け、激しい波浪によって巻き上げられた海水のしぶきが逃げ場のない木々の葉に降り注いだのだ。
そのために南に面して風がモロに吹き付けた場所では紅葉シーズンでもないのに、落葉樹の葉が軒並み茶色に変色し、緑を維持している照葉樹やその他の常緑樹の中でその異様さが際立つようになってきた。
塩を浴びせられて青菜に塩状態になったところに、台風一過の強い太陽に葉を焼かれればひとたまりもないのだ。
葉は光合成も出来ず、ちりちりになって水気を失い枯れ死してしまうのである。
台風の通過直後は目立たなかったが、さすがに5日も立てば被害の程度が目に見えてきたと言うことなのだ。
わが街の紅葉の見ごろは12月の初旬だからまだひと月も先のことだが、あの薄茶色の塊はどう見たって醜悪である。
南に面した緑の塊だけが判で押したように茶変しているのだからその異様さが際立つというものである。
かつて十数年も前の話になってしまうが、夏台風でもっとひどい塩害が出て、街の三方の背後を屏風のように囲っている山々の広葉樹が一斉に被害に遭って茶変したことがある。
この時は夏の盛りの深緑の時期だったので余計にその異様な光景が印象に残ったのだ。
今回の塩害はそれに次ぐものだろう。
わが家の庭でもkれいに黄色く色づく前のカツラの葉がちりちりになってしまったし、ヤマボウシも同様である。
地植のバラたちはカツラやヤマボウシが盾になって防いでくれたおかげか被害はまぬかれたが、2階のベランダの鉢植えのバラがもろに塩風を浴びたらしく、あの少々厚めの葉のほとんどはかろうじて無事なのだが、淵の部分の薄くなったところが痛んでしまっている。
今年は黒星病で夏に葉が落ちてしまったし、復活したと思った葉が今度また塩の害と踏んだり蹴ったりの多重苦である。
ボクが特に手をかけている「空蝉」だから悲しい。ボクの方こそ青菜に塩気分なのだ。
2階のベランダでは育種パッドで芽吹かせた苗をポリポットに移し替えたばかりのパンジーの苗も並べておいたのだ。
まさか1、2センチしかない低い背丈の苗だから、たとえ潮風が吹き付けたとしても頭上を通り越してしまって大したことはないだろうと思っていたのだ。
案の定、何とか持ちこたえてはいるが、大きく育っていた本葉は何ともないのだが、小さな子葉の一部が少しちりちりになっているものがある。
もともと赤ん坊なのだから、ほんのちょっぴりの塩分でも致命傷になりかねないのだ。
幸いなことにそこまでは行っていないが、危ないところだった。
何しろボクは花咲じじいを自認しているのだ。うっかりしちゃぁいられないってことである。ここは海辺の街なのだ。
わが家のカツラの葉っぱは黄色に色づく前に塩を浴び茶色くなってチリチリに
南風が直接当たるところの落葉樹は塊ごと哀れな姿に
こちらの山のてっぺんの住宅の脇の木々も
高台にある公園の木々たちも…
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