この年末年始、ブログを始めて以来初めて5日間もの休みを設けた。
お陰で暖かな布団の中でグズグズもぞもぞしつつ、たっぷり朝寝坊を楽しんだ。
そして、正直言えばこのまま朝寝坊を続け、もう早朝に起きてのブログは止めちまおうか…という考えも頭の片隅をよぎったが、やはり生活におけるある程度のメリハリはまだしばらく必要だろうと思い直し、再開することにした。
正直言えば、このまゝやめてしまうのも寂しいことだなぁ…と思ったのも事実。
客観性などクソくらえ、学生服のセルロイドのカラーじゃあるまいし、そんなうっとおしいものはかなぐり捨てて、独善と偏見…に満ち溢れつつ、もうしばらく続けようという気になっている。
ということで、再開初日に書くべきことと言ったら、姫との再会場面以外ないだろうと思う。
何しろコロ公のお陰でお互いに行動の自由を奪われてしまったのだから、どうしようもなかった。
年末年始に姫がやってくることが分かった段階から、どういう顔をして迎えるべきか、第一声は何をどう発声するか、ただ突っ立って出迎えるだけでいいか…などなど、どうしようと頭を悩ましたものだった。
それが…
玄関のチャイムが鳴ったのでパソコンの前から腰を浮かしかけた途端、玄関のドアが勢いよく開き、張りのある若い女性の大きな声が2階まで届いてきた。
「じいじぃ~、久しぶりぃ~、来たよぉ~」
なんだ、幼稚園児や小学校の低学年のころと変わらないじゃないか…そんな思いを抱きつつ、転げるように階段を降りてニコニコ笑っている姫に向かって「おぉ~、来たかぁ~」と声を掛けつつ、思いがけない展開に嬉しさのあまり両肩をがっしりとつかんで揺さぶりながら「久しぶりだなあぁ~。お~っ!背も伸びたなぁ~」など、いささか興奮気味な対応になってしまった。
正直言えば久しぶりの再会に姫が恥じらいを見せて遠慮がちな態度で振る舞うんじゃないか、距離を感じさせられることになりはしないかと心配していたのだ。
それが全くの取り越し苦労で、距離感などまったくゼロで、さすがに小さいころのように腕の中に飛び込んでくるような事こそしなかったが、気持ちはあの頃と同じだと分かってむしろ驚いた。
調子に乗ったボクは瞬間のことだが、勢いに任せてハグも許されるかなと思ったほどだが、何せ花も恥じらう中1の乙女に嫌われることだけは避けなければと自重したのだった。
4月に入学する姫の妹とは姫ほど濃密な時間が持ててこなかったせいもあって、恥ずかしそうにもじもじしていたのは仕方のないことかもしれない。
それが30日の夕方6時半過ぎの事だった。
四国から10時間かけて車でやってきたのだったが、2日の朝帰っていく時まで、4月に新1年生になる姫の妹と隣町に暮らす今小1の若君も加わって夫婦2人だけの日常が一気ににぎやかになり、竜宮城で「時の経つのも忘れ」て過ごす楽しい時間もカクヤと思わせるものだった。
姫の母親もボクの気持ちはよく分かっていて、大晦日には姫とたった2人だけの時間を作ってくれたりして…
姫の暮らす町にはスタバがなく、どうやら今人気の「ほうじ茶ラテ」なる飲み物がお目当ての一つだったらしく、隣町の静かな住宅街にあるスタバまで、助手席に姫を座らせて行ったのだ。
帰り道、ちょうど日の入りの時刻と重なり、海沿いの道に出ると雲間からまさに光が差してきて辺りを黄金色に染め始めた。
姫に「ちょうど日の入りのタイミングらしいから浜に下りて見ようか」と誘うと、「うん、見たい」という。
2人で肩を寄せ合って海の向こうの伊豆半島に沈んで行く太陽を見ながら「2021年最後の夕日だね」と姫が中学生らしいことを言う。
「そう、明日朝上ってくる太陽は今沈んで行く太陽で、2022年最初の朝日になる」と答えるボク。
実につまらない答えで、もう少し気の利いた言い方はなかったものかと、わが身の文学的センスのなさ、当意即妙のなさを呪いたくもなる。
この程度じゃいくら何でも彼女の脳裏には残りっこない。
2人きりで夕日を眺めるなんて恋人同士のような滅多にめぐって来やしないチャンスに見逃し三振を食らったようなものである。もったいないことをしたものだ。
2人でいる間、学校生活の話も聞いたし、高校進学のことも聞いた。
機会があれば書いてみてもいいが、彼女なりに様々な現実を受け止め、一生懸命考え、目標を定めていることが分かり、「なるほど成長したなぁ」と感心させられた。
今のところ勉強もそこそこにできて、学級委員にも推され、部活に励み、中学生になる時手紙で「文武両道を目指して頑張ります」と書いて寄越した通りの中学生生活を送っているようで、応援のし甲斐があるというものだ。
その一端を直に聞くことができて何よりだった。
かくして夢のような時間が過ぎ、姫は帰って行ったのだが、夏休みには来れそうもないという。
年間スケジュールを見ると夏はテニス部の活動が毎週のように入っていて、とても泊りがけで遊びに来られる時間的な余裕はないという。
それで「じいじが来てくれると嬉しい」という。
会いに行くのはやぶさかではないが、こちらにも来てほしい。案内したいところも沢山あるのに…
こうして成長するにつれ、何かにつけ忙しくなっていくのが「成長」というものなのだろう。
遠くから見守ることしかできなくなる…寂しいが、これも世の定めの一つなのだと思うしかないか。
「2021年最後の夕日だね」と姫が言う=片瀬西浜
夕日を見に浜辺に集まった人々=片瀬西浜 2021年12月31日16:29撮影
見えている山波は伊豆半島
2021年の夕日を見送って一夜明けた2022年1月1日の雲一つなく晴れ上がった空にそびえる富士山=鎌倉山から