う～ん、鼻腔をやさしくくすぐるこの馥郁とした香り…そしてほんのわずかな量だけ口中に転がしたはずなのに舌の上にサアァ～ッと広がる芳醇にして潤いのある味わい ♪ …
やっぱりこれでなくちゃいけない ！
おっと、でもこいつはあくまで気付け薬なんだ。間違ったって愛飲するために口に含むんじゃない。そこを忘れてしまうとへべれけになってしまい、仮に文字を紡ぐことは出来ても支離滅裂になってしまうだろう。
なんとかとハサミ、いや元い。なんとかとウイスキーは使いよう…ってね。…ン ？
恥ずかしながら、昨日の拙ブログでわが愛しの琥珀色の液体が諸般の事情で極めて手に入りにくくなり、気付け薬なしでは毎朝のルーティンにも支障をきたしかねないため、背に腹は代えられず代替品を買ってきたということをグダグダ書いた。
我ながらいじましくもあり、一方でさもしくもあり、はたまたあさましくもあるなぁと内心忸怩たる思いでいたのだった。
その意地汚い酒好きがふうふう言いながらブログを書き終え、朝ごはんを済ませて天下の形勢を伝える新聞紙に目をやっていると玄関のピンポンが鳴った。
応対に出た妻がボクの前に持ってきたのは小振りだがずしりと重みのある小包である。
「割れ物注意」「酒」というシールが張られている。
それでピンときた。
１０日余り前、仕事でお世話になった同業の先輩から電話がかかってきて「ブログを拝見しているが、気付け薬のことでご苦労されているようですな。たまたま銀座に出て酒屋を覗いたら６月に入ると入手できるというので陣中見舞いに1本進呈しましょう」という。
青天の霹靂、欣喜雀躍とはこのことで、この現下の誠に鬱屈としたうっとおしい世相の中で、こういう思いがけない嬉しい出来事もあるもんなんだなぁとしみじみありがたさと嬉しさを噛みしめていたのだ。
それにしても、そのありがたい申し出を待てずに酒屋に飛び込んで代替品を物色してきた自分が恥ずかしい。
意地汚さもここに極まれりだが、ここまで書いてくる間に小さなショットグラスではあるけれど、もう２杯目を注いでいる ♪
気が付けば気付け薬の域を超えてしまっているじゃないの。
う～ん、それにしてもまろやかで陶然としてきてしまう。こんなに美味しかったっけ…
やっぱり送り主の気持ちが加わるとかくも味に深みが増すものなんだねぇ。そうとしか思えない ♪
もう一杯行くか。
いかんいかん、まだ朝だった。それも早朝だぜ…
ルゥ…ルルルゥ…♪
