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平方録

ヒグラシが鳴いたっ ♪

薄暗かった周囲の景色に次第に光が差しかけてくると、周囲の様子が梅雨前線が活発だったここ数日間とは何となく違っていることに気付かされる。
違いを一言でいうなら「空気感」ってやつで、具体的に言い表すのはいささか難しい、そもそもあいまいなものなのだが、とにかく今朝が梅雨空の下に開けたのではないことは確かなようである。

この空気感の正体を突き止めようと、しばらくベランダに佇み、結実したキュウリの成長度合いを確かめたり、旺盛に繁る葉陰に隠れたゴーヤの実を探したりしていると東の空に横たわっていた雲の切れ目がさらに広がり始め、辺りは一層明るさを増し始める。
そんな時だった。
太陽が顔をのぞかせる前の、ほんの一瞬のタイミングを逃してなるものかというかのように、耳に聞き覚えのある鳴き声がかすかに聞こえたような気がした。
まさかっ !? と思ったが空耳ではなくて、どうやら間違いないようだ。
何度も聞き耳を立てて、確かめたから…

「カナカナカナカナ…」と聞こえた。
あの澄み渡った鳴き声の主と言ったらヒグラシしかいない ♪
まだ1匹か2匹…
うねるようなセミ時雨にはなっていないが、まぎれもなく夜明けを知らせるヒグラシの奏鳴、それも初鳴きと言っていい。
梅雨が明ける ♪
今日ではないにしても、ここ数日中に梅雨が明けるのは間違いない。

今朝午前4時のNHKニュースは鹿児島県に線状降水帯が出現して大雨になっていること、未明になって多数の住民に避難指示が出されたことなどをアナウンサーが緊迫した声で繰り返し伝えていた。
熱海を襲って深刻な被害を出したと思ったら、山陰に移動し、九州北部に現れたかと思うと今度は南九州という神出鬼没ぶりだ。
最後の断末魔ならさっさと終わらせて消えてしまえ!

陽が上ってしまうとヒグラシの鳴き声は一端止む。
後は陽が傾き始める午後3時過ぎから夕方、暮れかかる前の時間帯に再び澄み切った鳴き声が周囲にこだまする。
今日は晴れて30度を超えるようだから待ちに待った夏空が広がりそうである。
自転車で海沿いの風を切ってこよう ♪


4:24 東の空の雲の切れ目が徐々に広がり始める

4:48 画面下中央のビルの左手のシルエットになっているところに、かすかだがぽちんと明るくなりかけている小さな点が見え始める


4:49 地平線にたなびく薄い雲越しに顔をのぞかせたのはまん丸い太陽 ♪
(見出し写真はこのすぐ直後の4:51のショット)


4:50 点の位置がシルエットになった家の軒先の真ん中まで上がった

5:04 ビルの真上に姿を現した まだ半分は梅雨空を引きずっているようだが、それでも今日は晴れそうだ ♪

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