1953 年に米国原子力委員会や米国陸軍が放射線照射・照射食品を本格的研究を始めました。同年にアイゼンハーワー大統領による "Atom for Peace"「核の平和利用」 の政策の一つです。陸軍は兵士に補給する食料の保存を冷凍設備なしに行えるようにすることを目的としていました。
まず、既知の研究の調査に手がつけられ、タンパク質、脂質、炭水化物、肉類、ビタミン類、酵素類に対する照射効果について、たとえば、照射によるタンパク変性は熱や紫外線、過酸化物によるものと異なる性質の変性であること、牛乳に照射すると多くの種類のビタミン類が失われること、臭いが付くことなどが報告されていました。
1954年から毒性試験などが行われました。そこでの、究明点の一つが、誘導放射能です。放射線照射で照射食品に放射能が生じ、汚染されるのではないか?
放射線の源、線源の候補は、使用済み核燃料、コバルト60(半減期5.27年、β線、γ線を出しニッケル60)、セシウム137、X線照射装置、人工的に電子を加速する電子線装置です。
使用済み核燃料からは自発核分裂で中性子がでていますから、原子核にあたり捕獲されると放射性物質・放射能に変える反応、放射化をおこします。生成する放射能を誘導放射能といいます。
コバルト60、セシウム137からはγ線がでます。X線照射装置からのX線、γ線は高エネルギーの電磁波=光です。高エネルギーの光が原子核を照らすと、物理的には光核反応がおきます。
(1)原子核の状態が励起され、γ線を出して元に戻る反応
(2)中性子などが放出される光核反応
(3)その中性子の捕獲反応が起き、つまり放射化が起こりえ、放射能をつくりえます。
電子線装置でつくられる高エネルギーの電子線も、放射能を作り出す反応を起こしえます。
ここまでが、理論的な推論、予想です。
原発や原爆でも誘導放射能ができます。これらと比べて、放射線照射・照射食品の誘導放射能は、何らかの特徴を持つのでしょうか?話が脇道にそれますが、調べてみます。
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