はせがわ鍼灸院 院長の『ハリハリ日記』 http://www.shinkyu.in/

ちょっと変わった経歴の、鍼灸院・院長による
こころがホットする日記です。

赤い花

2008-11-27 03:14:10 | Weblog
また、ことしも、あの季節がやってきましたね。
そう、クリスマス。
仏教徒のワタクシではありますが
やはりクリスマスの静かなざわめきといいましょうか、
おごそかな賑わいとでもいいましょうか、
大好きなサッカーのワールドカップ予選の試合前の雰囲気とでもいいましょうか、
とにかく、けっこう気持ちいいわけで。

「ふん、オレはべつにいいよ」ってカッコつけても
「クリスマスのあのレストランよかったよ」と、柴咲コウが歌ったりしてるもんだから
ちょっと、やっかいなシーズンだなあ。

その日がきちゃうと「あ、きちゃった」って、あっさり受けとめられるのに
過ぎちゃったら「あ、そんなことあったっけ」って、冷酷非情なのに
なんとなく待ち遠しい。
とりたててナニがあるわけでなく
トクベツな事件もなく
ケーキはやっぱり甘く、シャンパンのコルクはやっぱり天井を直撃するだろう。

ポインセチアがシーズンの到来を告げる。
先日、S子さんが飾ってくださったこの花も
夜になるとひとり歩きをはじめる。

今夜は、井村クン(ウチの治療院のガイコツの名前)と仲良くデート。






朝になると、また定位置のクツ入れの横にもどっている。
なぜ、そんなに赤いのかって?
ポインセチアの赤は「キリストの血の色」といわれている。

あとひと月でメリークリスマス。
哀しいくらい赤いポインセチアに祝福を。

あ、世界でもっとっも愛されたレコードって何か知ってます?
エルトン・ジョンの「亡きダイアナ」に捧げた歌は最も売れたレコード。
この曲は、E・ジョンが出す前まで50年間売れ続けたレコードなのだよ。
ビートルズ?
ブ~~~~~~!
正解は、、、、しらべてごらん。。。





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わらび餅

2008-11-22 01:57:53 | Weblog
お歳暮でおもいだした。
また、阿川佐和子さんと戸田奈津子さんの対談の続き。

映画に恋して数十年の戸田奈津子さん。
字幕翻訳家を志して、仕事が来るまで20年かかったとか。
すげぇ。
昔の映画って、「字幕・清水俊二」ってよく見かけましたよね。(←五十代以上かも)
そもそも洋画の翻訳って十人で足りちゃうらしい。
新人が入り込む余地がなかったそうです。
20年間、フリーターをやり、通訳のアルバイトもやった。

戸田奈津子さんが初めて手がけた映画が「地獄の黙示録」。
これって、めっちゃ難解な映画だったですよね~。
さいしょは、監督であるフランシス・F・コッポラの日本での通訳がお仕事。

三年がかりで「地獄の黙示録」をフィリピンのジャングルで撮影していたコッポラにとって、日本はアメリカとの中継地点だった。
そこでコッポラの「お寿司が食べたい」、「ソニーの新製品を見たい」というわがまま&息抜き&情報収集のアテンドをしていた。

コッポラは「ゴッド・ファーザー」、「ゴッド・ファーザーⅡ」で連続してアカデミー賞を受賞してノリにノッているころ。

じつはこの「地獄の黙示録」、コッポラは、音楽を日本のシンセサイザー界のパイオニア、冨田勲さんにやらせるつもりだったらしい。
冨田さんをサンフランシスコの自宅に招いて打ち合わせをしたり、フィリピンロケに連れて行ったりした。
その通訳を戸田さんが担当した。

で、すったもんだがあって、結局、音楽は契約の問題などで富田さんが出来なくなり(今から思うと残念!)コッポラの父親のカーマインさんが担当することになるのですが、日本での公開に際し、その字幕を「natsuko toda にやらせろ」とコッポラが言いだしたそうです。

映画会社では「だれ、それ?」状態だったそうですが、世界の巨匠が言ったら、ハイOKしかありません。
雌伏二十年、戸田さんにやっと字幕翻訳のお仕事が回ってきたのです。

それ以降、狂ったように仕事が舞い込み、年間50本もの字幕翻訳を続けている戸田さん。
大のミーハーを自認するだけあって、ハリウッドスターたちの来日インタビューをすすんでかってでている。
その数千人以上。♪!♪!

そのエピソードがおもしろい。
阿川佐和子さんのミーハーぶりぶりリアクションがいかんなく発揮され、戸田奈津子絶好調。

ロバート・デ・ニーロは気難しいと思っていたが実に気さくでおまけに口下手。なにを聞いてもアーウーしか言わないって。
ダスティン・ホフマンは一言聞けば百答えるサービス精神満点のオトコで、ノッてくれば立ち上がって演技まで始めるとか。

どのスターも分刻みのスケジュールでインタビューをこなすが、どのインタビュアーもおなじ質問をするのでスターはイライラ。通訳の戸田奈津子さんは工夫しておなじ質問でも角度を変えて変化をつけたりする。
そういうとき、すごいのがトム・クルーズなんだって。
戸田さんいわく「あの人は百万回おなじ事を聞かれても、あのニコニコ顔で、キミいい質問するねって言うの」だって。

そのトム・クルーズから戸田さんはお歳暮をもらっている。
しかも、三越から。
ちゃんと熨斗(のし)に「お歳暮 トム・クルーズ」ってカタカナで書いてある!!!

すごいのはコレで終わらない。
翌年からはクリスマスプレゼントになった。それも・・・
映画のフィルムの缶に、フィルムのコマ模様のリボンがかかって、なかはクッキーだったりイロイロ ♪
なんとおしゃれなトム。
見直したぜトム。
もう一回、「ラストサムライ」見てもいいぞ。


お歳暮といえば、肩こり&腰痛のジョシコーセーのAさん。
このまえの学校のバス旅行で京都に行った。
お土産に「老松」の「ワラビ餅」をいただいた。
ジョシコーセーなのにシブイなあ。

その前の週にはワタクシは京都に行って「250円弁当」にうつつを抜かしていた。
ジョシコーセーはちゃんとお土産。
ワタクシは手ぶら。
なんだかなあ。






ちょっとコウベを垂れて、黒蜜をかけ、きな粉をかけ、おいしくいただいた。
トムとジョシコーセーを見習わなくっちゃ




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干し柿

2008-11-21 00:22:11 | Weblog
お歳暮をいただいた。
どこかの紙袋に、ふにあいな箱。
その箱がかすかにポコッと浮いている。
けっしておしゃれではない。
なんだろう。

「つまらないものですが」とおっしゃっていたが。
箱をあけてみてビックリ。
干し柿じゃん。






うわあ、手作り。
タコ糸もそのまんま。
こういうのって、うれしさにハートマークが付いてくる。

想像してみる。
民家の軒先に干されていた柿。
太陽の日をいっぱいに浴び、澄んだ空気をいっぱい吸収し、
いたずらっ子が手をのばそうとすると、どこからか現れたおばあさんが
「こらっ、それをさわったらアカン」と一喝。

「食べるんだったら、家の干し柿を食べなさい」。
こどもはしぶしぶ家においてある干し柿を食べる。
こどもは知っている。
じっくり干してある柿は「贈り物」用。
家にあるのは二番目のもの。

まっ黒なそれは、けっして食欲をそそるものではない。
誘ってくる匂いもない。
おそるおそる、ひとつ食べてみた。
そとはパリッと、なかはニュルッと。
なんという甘さ。
なかの、まさに柿色のあざやかさ。
種のまわりはニュルニュルでとろけるうまさ。

ごめんよ、一番目をごちそうになって。




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映画の字幕

2008-11-20 00:17:30 | Weblog
戸田奈津子さんが阿川佐和子さんと対談しているというので
「週刊文春」を買って読んだ。
戸田奈津子さんといえば、映画を見れば必ずそのお名前は登場する。
字幕翻訳家の第一人者だ。

おもしろかった~♪

映画の字幕は「十四文字×二行」の28文字の勝負。
セリフ通り訳すると膨大な量になっちゃうから
セリフの「骨」をいれこむ作業だという。
なるほど~。

対談全部がおもしろかったのだが、そのなかで特に印象に残ったエピソードを。

日本語訳で難しいのは「ダジャレ」。
たとえばジェームス・ボンドはポーカーフェイスで本気だか冗談だかわからない独特のジョークを口にする。
こんなシーンが名字幕翻訳家を悩ませた。

ボンドが悪人を追って、銃撃戦になって殺してしまう。
同時に、その先の手がかりが途絶えてしまう。
で、上司のMが電話で「どうなった?」と聞いてくる。
ボンドは答える。「デッドエンドだ」。

この「デッドエンド」とは「袋小路」という意味で、「どうにもならない」というニュアンスもある。しかも、相手が死んだという「デッド」と掛けている。
コレを訳してセリフにするのだが、ところが、ボンドが発したのは「デッドエンド」のヒトコト。

セリフは1秒。字幕は一行以内。
さあ、なんと訳すか?

聞き役の阿川佐和子が「万事休す」ってどう?と聞く。
う~ん、さすが阿川さん。ナイス。
ワタクシだったら、「おジャンだ」が浮かぶ。

しかし、戸田奈津子が切り返す。「それに、死んだという意味も加えなきゃ」。
なるほど~。
阿川、アタマを悩ませる。ひねる。でてこない。
ギブアップ。阿川が聞く「で、戸田さんはなんて書いたんですか?」
「脈がない」。

♪ ♪ ♪ ♪ ♪

これだから戸田奈津子さん訳の映画は安心してみてられる。
阿川佐和子さんだから、こんなおもしろいエピソードが披露される。






このおふたりの丁々発止のやりとり。まるで「桜餅」のよう。

甘味があって、もっちりとした食感の桜餅に
塩味のきいた葉っぱがからんで
プラスαが誕生する。

読後(食後)の満足感と余韻、申し分なし。
あ、この写真とコメント、本文にそぐわないなあ。第一、さくら餅って季節狂ってる。
戸田さんだったらどーするのかな。
阿川さんだったらどーまとめるのかな。

そうそう、この対談の最後に阿川さんが戸田さんにこんなメッセージを書いている。
「どうか末永く、かけがえのない日本の字幕文化を守り続けてくださいませ」。

そうなのだ。
映画の字幕って日本だけのものらしい。
外国じゃ全部吹き替えだってさ。
さすが阿川。





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ストライプ

2008-11-17 15:53:06 | Weblog
けっこう、ストライプが好きみたい。
気がつけばライターまで原色のストライプ。






原色とは混ぜ合わせるとあらゆる種類の色をうみだせる独立した色のこと。
基本は 赤 緑 青 。

わたしたちは色のある生活を営んでいます。
それは、人間の網膜にある三種類の錐体細胞というところが色を感じるからです。
そして、この三種類ですが、長波長に反応するのが赤錐体、中波長に反応するのが緑波長、短波長に反応するのが青波長です。
これらがチカラをあわせて感受することで視神経を経由して大脳の後ろ側にある「視覚野」に到達し、色を認識することができるのです。

でもスゴイですね。
赤 緑 青 この三色であらゆる色がつくれるなんて。

それにしても黒の財布まで、ちょこっと超短いストライプを入れてるなんて
よっぽど色好み・・・かよう。





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SNOW・CUP

2008-11-15 01:02:26 | Weblog
スタバののカップが
「SNOW」ヴァージョンになっています。






せっかくの「SNOW・CUP」なのにこの陽気。
小春日和って春じゃないんだ。

わざとらしく黄色のダウンジャケットとならべたりして。
カフェ・ラッテの白い泡、雪に見えません?
見えないか。

スタバのコーヒーは「フォー・ダラー・コーヒー」といわれています。
このまえ行ったときは500円。
きょう、アメリカへ行くと350円ぐらいで飲めます。

あ、テイクアウト用の紙袋も「SNOW」ヴァージョン。
うらおもて、ナイスです。






なにか、入れたくなりますね。

ワタクシは朝、通勤用の車のなかで飲むコーヒー2カップを入れています。
ちゃんと台座付き。しかも2個用。
さすがフォー・ダラー・コーヒー。

治療を終え、シャッターを降ろし、ふりかえったら
うちのまえの商店街はクリスマスの飾りつけが。






そっか、よのなか、確実に、クリスマスに近づいている。




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麺つゆ焼きうどん

2008-11-13 01:45:01 | Weblog
いよいよ、うどんだ。
そう、焼きうどんだ。
しかも、麺つゆ焼きうどんだ。
え~~っ、ソース抜きの、麺つゆ味の焼きうどん?

それって大昔、スパゲッティに小さくて激辛のケチャップみたいなものをかけて食べた初めての「タバスコ体験」みたい。
いちだい決心。

じつは、先日、作ろうと思ってうどんを買って帰宅したら、オヤジがオレのオレのオレのオレのマツタケをすき焼きにして食っていて、締めにそのうどんを使ってしまったのだ。
で、麺つゆ焼きうどん作りを断念していたのだ。
なにしろ、「マツタケ事件」は173行もかいてしまったのだからさ。

うどんトラウマになっていたのだが、その4日後に作ってみた。(短ッ)

心配だったのは具の野菜類だ。
キャベツ、にんじん(の細切り)、玉ねぎ、もやし、豚肉。
え~~、オレが切るのかよぉ。

ところが、捨てる紙、おっと、まつがえた、捨てる神あれば疲労神、おっと、またまつがえた、拾う神あり、だ。
こんなものが、スーパーに売っているではないか。






「え~~っ、こんなの昔から売ってるじゃん」
って、そんなことまで知らねぇよ。
とにかく、コレを発見したとき、レジで袋代5円を取られても腹はたたなかった。

うどんってさあ、以前、讃岐うどんにハマッていたとき、なんかいも四国に渡り、香川県のアチコチを右往左往し、なにしろ隠れ家的うどん屋さんは午後二時には閉まってしまうので、100円とか150円とかの問題ではなく、コロンブスみたいに「発見」し、「上陸」することが楽しくて、ありつけたうどんのうまかったこと、そのダシのさいごの一滴まですすったあの日。
それを「焼く」かよぉ?!
まだ懐疑的。
でも、いちど興味を持つと自分でやってみたくなる性格は変えられなくて。

せっかく丁寧な丁寧なレシピを送っていただいていたので、フライパンにむかったわさ。
焼いたわさ。
さごに、麺つゆ、かけて味付けたわさ。

われながら、よくでけた。






食ったわさ。
期待してなかった。
期待していなかった「-(マイナス)」分、「+(プラス)」に転じた。
あ~~~まどろっこしい言い方だ。
「うまかった」。そう、これでいい。
なんだったら、ジョシコーセー風に「ちょー」をつけようか。

なぜ、いままで「麺つゆ焼きうどん」を食べなかったのか。
この年まで「源氏物語」を読まなかったとおなじ「忸怩たる想い」をした。

そうだ、堺マチャアキに言わせよう。
「星、三つですぅ~~~~~!!!」




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コスモス

2008-11-10 17:02:32 | Weblog
今週は12月上旬の陽気だそうです。
気温もあまりあがりそうにないですね。
あわててストーブをだしてきた人も多いのでは。

天気もパッとしませんね。
こんなときほど、真っ青な秋空がみたいのに。

そんなココロが曇天のときに「ふわ~っ」とした景色をみつけました。
コスモスです。






風が吹いていたのでちょっとピンボケ。
大きな花びらのわりに、首の部分がやけに細いコスモス。
だから、けなげに映るのでしょうか。

あわい色。
こいい色。
なににでも染まる白い色。

冷たい夕暮れの風にゆらゆら。
うーん、儚げとはこのことか。





で、国道2号線の、高砂どうぶつ病院の前にあるコスモスは









す、す、す、す、すげぇ~~~~~!!!!!
これって、ホントの「コスモス=宇宙」じゃん。

どこまで咲いとんじゃ?!





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マツタケ事件

2008-11-06 01:24:36 | Weblog
我が家に今年最大の事件が勃発した。
「マツタケ事件」だ。

事件というからには、被害者と加害者が存在する。
が、この「マツタケ事件」はそう簡単なものではなかった。
被害者は、わたし。
加害者は、わたしの父。
であるが、父は加害者であることを自認していない。
といってボケているわけではない。85歳だが。
なんというか、ちょっと説明しづらい。それくらいこの事件は複雑なのだ。

まず、この事件の発端から始めよう。

フジモト君というわたしの弟子が東京で活躍している。
彼は大学を卒業してわたしの下に付いた。
彼は優秀だったのでわたしの教えをすぐに飲み込み、いま「一流への階段」を登っているところだ。
優秀という言葉には、優れた技術、知識のほかに、人格も含まれる。
人格という言葉には、人から信頼されることのほかに、人を信頼する度量を持ち合わせていることも含まれる。
フジモト君は、昔のわたしの「薫陶」を忘れず持ち続けている。
で、毎年、この季節になると、大量の「マツタケ」を贈ってくるのだ。

事件の時計の針を進めよう。

その日、わたしが出かけようとしたとき、クール宅急便が我が家に横付けされた。
予感とは胸騒ぎだ。人は胸騒ぎに対してザワザワっとした嫌なイメージを持つが、モワ~ンとした良い胸騒ぎもあるのだ。このときは後者だ。
わたしの脳裏に浮かんだのは、「この季節=フジモト君からのマツタケ」。
まるで、わたしが、純粋に慕ってくれているフジモト君の行為を、あさまし気に待っているように映るかもしれないが、実のところそうなのだ。

クール宅急便が去った後にはマツタケの独特の香りが残った。
そう、密閉された真っ白な発泡スチロールの箱からさえ、マツタケはその存在を誇示しているのだ。
誰がわたしのあさましさを責められよう。

その価値は充分すぎるくらいの豊穣さであった。






わたしは車のエンジンを止めることも忘れ、山の神に御礼を言い、夢中になってデジカメのシャッターを押した。
なんという色艶。
なんという香り。

さて、ここでもう一人の登場人物を紹介しなければならない。
なぜなら、彼女はこの「マツタケ事件」に間接的にではあるが重要な役を担っているからである。
仮に「節子」さんとしておこう。
毎年フジモト君から贈られてくるマツタケは、ある恒例行事となっているのだ。
というのも、節子さんはスコブル料理名人で、彼女の作るマツタケごはんは絶品なのだ。

ここで押さえておきたいことがある。
「素材さえよければ味は一流」などと言う輩がいる。
バカだ。なぜか? 
その輩は、一流と超一流の間には分水嶺があることを知らないからだ。

要は、一流と超一流の間にはわれわれの想像を超えたなにかが存在するということである。
マツタケという一級品を一流の料理名人が調理することで超一流となる。
これは真理に他ならない。
昨年もわたしは節子さん宅にマツタケを運び入れ、マツタケご飯のおにぎりという、これ以上ない「美味」を手に入れたのだ。

話を戻そう。
クール宅急便で運ばれてきた山ほどのマツタケ。
わたしの大脳の前頭葉はすぐにでも節子さん宅にこの宝石を運び込み、翌日に「美味なるマツタケごはん」をせしめる考えをめぐらせていた。
この固い決意を歴史になぞらえてみよう。
古代ローマの「ルビコン川を渡った」、が適しているように思える。
ローマに攻め上がるシーザーが不退転の決意で元老院令を犯し、渡ったのがルビコン川。
大統領や首相など、国家や国際情勢を動かす中枢が、「後戻りできない」という意味で使う世界共通のフレーズである。
わたしの心意気を察することができよう。

だがしかし、歴史に裏切りはつきものである。
マツタケごはんゲット行動を阻止したのは、大脳にある「海馬」という、記憶をつかさどる部位なのだ。
わたしは急いでいた。約束があった。車のエンジンはかけっぱなしの状態であった。
重要記憶器官である海馬脳も、時として盲(めしい)ることがある。

わたしは、とりあえずのつもりで、一階の父の冷蔵庫にマツタケの入ったハコをしまった。

ここで、我が家の冷蔵庫について若干の時間を割くことをお許し願いたい。
そんなことはどーでもいいから早く話を進めろという人は、ものの本質がわかっていない。
あーた、相手はマツタケなのですよ。
実は、我が家は、家族一人に冷蔵庫が一台あてがわれている。
いわば「マイ冷蔵庫」というものが存在する。
このことが、今回の「マツタケ事件」の遠因となっているのでご注意願おう。

たとえばわたしの冷蔵庫には、お気に入りの「ローソンの105円ナッツチョコ」をはじめ、バターは「明治のバター3分の1チューブ型」、卵は「赤穂が育てたミネラルたっぷり玉子かけご飯用」、お醤油はFさんご夫婦のラブラブ倉敷旅行のついでの土産「特製旬味多彩醤油」など、自分のこだわり逸品が納められている。
話が逸れたが、もちろん父には父の冷蔵庫が存在する。
とうぜん、父の冷蔵庫の中のモノは父のものである。
貴重な時間を割いて冷蔵庫の話を持ち出したのはここに今回の事件の分岐点があるからだ。

ここで、我が家の住居構造に数行を費やすことをお許し願いたい。
我が家はいわゆるニ所帯住宅となっており、父は一階、わたしはニ階に住んでいる。
したがって、父の冷蔵庫は一階、わたしの冷蔵庫は二階にある。

とつぜん舞い降りてきた天使、マツタケさん。
急いでいたわたしは、二階へ駆け上がり自分のマイ冷蔵庫に入れるべき天使を、「とりあえず」という悪魔の時間差攻撃に屈し、父の冷蔵庫にしまってしまったのだ。(←ナイスな韻踏み)

事件のおきる状況を「X(エックス)の交差」という。
X(エックス)とは、過去と未来の交差を示す。
これから起きる事件を開陳するまえに、過去のものとなった「伏線」について述べよう。
おいおい、またかい。という声がきこえる。
またでわるいか。ここが最重要なのだ。
「レディ・ジョーカー」をはじめ、数々の名推理小説を残した高村薫さんが作り出した合田刑事だって、ここを素通りできまい。

で、伏線だ。
わたしは親不孝な息子である。
父はそんなわたしに小言を言ったことがない。
母が亡くなりお通夜のときも、わたしは締め切りに追われ二階で仕事を続けていた。
父は画家であるが、その絵を一度も褒めたことがない。
数年前、国立医療センター(当時の国立病院)に父の描いた大作を納品の際、車の屋根からおろす時にガリッと絵の一部を傷つけたことは今もナイショにしている。
唐突であるが、タモリさんのテレビ番組「エチカ」を見ていて、ああ、わたしも親孝行をしなければ、と思ったのだ。
と思ったのが間違いのもとだったのだ。

視聴者を感動させる番組「エチカ」を見て、短絡思考のわたしはたまには親孝行をしようと思い、マイ冷蔵庫に隠していた最高級コニャックを父にプレゼントすることにした。
それはクール宅急便が我が家に来るその日だった。
な、X(エックス)でしょ。

わたしは一階の父のテーブルに最高級コニャックを置き、手紙を添えた。
「たまには最高級もわるくないよ。
 うんと、うまい酒を飲み
 うんと、うまいものを食べてちょんまげ」。
父は感動した。と思う。
だって、めったに口もきかない息子がこんな手紙を書き、最高級コニャックが置いてあり、冷蔵庫には「マツタケ」が入っていたのだから。

父は画家であるからして手先が器用で、白内障にしては色彩感覚があり、85歳にしては食欲旺盛なのだ。
父は近所に出来たばかりのマックスバリューに出向き、牛肉、焼き豆腐、ネギ、扶、春菊を買い揃えた。
こ、こ、これってスキヤキじゃん。

さて、わたしは最近、メールともだちと「焼きうどん」についてメールのやり取りをしている。
我がメルともは丁寧なレシピを送ってくれた。
その焼きうどんの特徴は、味付けを「麺つゆ」でおこない食するという大胆かつ斬新なものである。
用事を済ませ、焼きうどん用のうどん玉を買って帰宅したわたし。
車を車庫に突っ込んだとき、わたしの鼻腔を刺激する「ただならぬ匂い」が一階の食卓から流れてきた。
わたしの口から出た言葉は陳腐なものだった。
「まさか」。

玄関のドアノブを引きちぎらんばかりに開け、食卓に突進したわたしの目に飛び込んできたものは、南部鉄のスキヤキ鍋に残った数枚のマツタケの薄切りだった。
ついでわたしの口から出た言葉はストレートなものだった。
「おれのマツタケェェェェェぇぇぇええええええええ!!!」。
お隣さんにも聞こえるような大声だったが、耳の遠い父には程よい音量だったに違いない。
「おう、おまえの分、2本残しておいてあるぞ」
って。オレのだああああああああああああああ!
だが父の視線は、白内障にしては的確にわたしの右手にぶらさがっている「うどん」に向けられていた。
「やっぱり、スキヤキの締めはうどんだな」
老獪な父のセリフはわたしの全身からチカラを奪い、わたしは敢え無く膝から崩れた。


数本のマツタケと霜降り肉をたいらげてもまだ箸を置こうとしない父と、なぜか日本一の孝行息子になってしまったわたしは、スキヤキ鍋をつっついた。
38円のうどんは、その1000倍の値段であろうマツタケのエキスを存分に吸い込んでいた。
すばらしく美味なうどんであった。

「マツタケ事件」は悲しいエンディングで幕を閉じた。




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京都DE願い

2008-11-03 12:25:41 | Weblog
京都で4~5軒の喫茶店をはしごして、いろいろアイデアをひねりだしたわたしたち凸凹コンビ。
すっかり前頭葉が麻痺してしまい、絞りきったゾウキンのようになっていた。
うん、こういうときは脳を休めなきゃ。
われわれが向かったのは「哲学の道」だった。






いちおう、ワタクシも哲学してみたが、失敗だった。
あまりに観光客が多すぎ、テツガクどころではなかった。
むかしは、しずかで、思索にふけるにはもってこいの道であっただろうに。

西田幾太郎センセイはこの道を歩くことで「西田哲学」を生んだ。
それにあやかろうとしたが、邪念と観光客の多さで断念した。
脳は活発に動かしたあとは、休めると、それまでと異なった領域が活発化する。
脳は24時間営業。休むことはない。
それを休める最も身近な方法は散歩。

最近、よくテレビにも出ている小説家の石田依良さんは構想を練るとき必ず散歩をするそうだ。

散歩は視野を広げてくれる。
色づきはじめた木々。
その変化は新しい季節の到来を告げている。






今週の連休ではそうとう朱色に染まってきているのでしょう。

変化といえば、京都の台所といわれる「錦市場」、学生向けの賃貸マンションの経営に乗り出すらしい。
はあ?
いや、すごいことなんです。
京の錦市場って知らない人はいないくらい有名で活況に満ちていますが、いつどうなるか、それは誰もわからないのです。

以前、町おこしの仕事をしていたときも、活気にあふれていた商店街が、ある大手のスーパーの進出でわずか半年で売り上げが半減し、手をこまねいているうちにシャッターをおろす店続出し、気がつけば商店街は自転車の通り道になっていた・・・という例は枚挙の暇がありません。

応仁の乱で町のほとんどが焼け野原となったり、疫病の大流行で死者が鴨川に累々とよこたわっていたり、そのような苦難の歴史を身を持って知っている京都人。
錦は13世紀には宇治拾遺物語に登場し、秀吉が作った歴史ある町。
近代的なビルのなかにもイニシエを守ろうとする知恵。






地元の人たちだけでなく観光客であふれる町。
それでも、先を見越し商店街振興組合が土地を購入し、マンション経営に乗り出し、その収益金をアーケードの修理やイベント費用にあてるという。

哲学の道を歩きながらこういう、どーでもいい難しいことをとりとめもなく考えてしまうのは脳を休めていない、なあ。

でも、伏見稲荷で「くっつきキツネ」に遭遇したときはココロがやすまった。
女子高生たちが小石を投げている。






くっつきキツネの「輪」の中に、うまく小石が通ると願いがかなうという。
きゃあきゃあ、の無邪気な声。
キミたち、どんな願いを抱いているのだい?
おじさんはねえ、「山本」さんの奥さんが「かわいく描かれますように」って。
ちっちゃいなあ。




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また山本さん

2008-11-02 13:33:47 | Weblog
「山本」さんはごく普通のサラリーマン。
だから、出勤するときは髪を七三にわける。
しかし、「なまけもの」だから、毛が多い。
毛が多いから時間がかかる。
ただでさえ動きが超スローなのに。
今朝も、七三にわけるのに2時間もかかってしまった。
でも、「山本」さんはマイペース。
ご機嫌さんで、ご出勤。






たいへんなのは奥さんだ。
やきもき、やきもき。
「パパ、はやくしないと会社に遅れるわよ」と。

だから、出勤前は2時間も早く起きなくてはならない。
けなげだなあ。
そんな奥さん、いないよね。

鈴木クンはこんな奥さんがうかんだ。






う~~~~ん。
和風かよう。
いいんだけど。
ワタクシのイメージはもっとかわいくて、キュートで、見る人が「なんで、こんな「山本」さんなんかと結婚したんだろう」と思ってしまうようなオンナでなくっちゃ。

ワタクシのリクエストにアタマをひねる鈴木クン。
なかなか出てこない。
そんなときは、メシだ。
堺町でオシャレなカフェに入り、アジアご飯をかきこんだ。






三条堺町あたりは若い観光客でごったがえしている。
おしゃれなカフェもたくさんできている。

満腹は人をしあわせにする。
ちょっと「ガンをとばす」ような顔つきになっていた鈴木クンに笑顔がもどった。






しあわせになった鈴木クンは「山本」さんの奥さんにとりかかった。
私のリクエストのキーワードは「かわいい」だ。

さささっと鈴木クンは「かわいい」奥さんを描いた。






う~~~~~ん。
これ、かわいいか?
いや、かわいいかもしれない。
でも、ちょっとちゃう。
うん、ちゃう、ちゃう。

難しいなあ、生い立ちも、歩んできた人生も、年輪も、まったく異なるわたしたちふたり。
ひとつの言葉でもこんなにイメージが異なるなんて。

なかなかイメージがまとまらないわたしたちはアソコに行くことにした。




はせがわ鍼灸院
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