わくわく!バンジージャンプするっ!

好きなものや気になることについていろいろ語ってみようと思います。

旧渡辺甚吉邸② そして水海道。

2023-09-09 00:56:00 | たてもの
では続きを。
ご興味おありの方はお付き合いください。

 作り付け家具も抜かりな


話が少し逸れますが。

私が大好きな建築家に遠藤新氏がいます。

言わずもがな

帝国ホテル建築時、フランク・ロイド・ライトの弟子として手腕を振るい。

あの

自由学園明日館をはじめ

旧甲子園ホテル、ヨドコウ迎賓館や

岸辺露伴先生のお住まい「加地邸」

などなどを設計された方で

見せていただくたびにその作品の美しさに感動するのですが。


以前、近代建築に関する書籍を読んだ際に

「拙新論争」という記事がありました。


大正から昭和に変わる頃。

住宅とライフスタイルの関係について

遠藤新氏と山本拙郎氏の間で議論が展開されたというものです。


遠藤新氏の建築を見ると建物だけでなく収納から椅子テーブルに至るまで全てトータルでデザインされており、それがまた魅力的なのですが、

遠藤新氏の作品を見た山本氏が「見事な統一感」によって住む人が家具を置く自由がない、住宅は住む人によって次第に成長し完成すると指摘したそうな。

それに対し遠藤氏は漠然と物を見て漠然と買っている人が多い(正に私)。住まい手の趣味を向上させる新しいライフスタイルを提案するべきと反論したとされています。


旧渡辺甚吉邸を拝み。

この話を思い出しました。

家具はほぼ作り付け。

テーブル椅子も今和次郎デザイン。


渡辺甚吉邸が建設されたのが、昭和9年ですから、論争があってから10年近く経っていますが、

これ、どちらかと言うと遠藤新氏の考えに近いような気がしております。


私、完全素人さんなので、論争がどのように帰着したのかも存じ上げませんが、旧渡辺甚吉邸を拝見するに、全部込み込みでデザインされた究極の美が大変魅力的に感じました。


施主の渡辺甚吉氏のリクエストだったのかな…などと考えると当時の白熱の打ち合わせ風景などを覗いてみたいものだ…などと妄想してしまうのでした。


もとい。では

素晴らしい作り付け家具の数々を。


食器棚の取手ひとつ手抜かりなし。




洋服ダンス


これまた取手が可愛い。


作り付けダンス


取手がシンプルなようで柄入りの繊細さ。


ベッドサイドテーブル
これこれ、こういうのが欲しかったのよ。


隅のカーブまで美しい飾り棚。


ダイニングのサイドボード
これまたデザインが凝っている。


ダイニングの食器棚も然り。


 建具いろいろ


窓枠だって只者でなく美しい。




寝室の窓は

網戸付き。しかもピッタリ重なるように作られており、見て景観を損ねず、使って便利という代物。

どれほどの技術が必要なのか。



というわけで。

ほぼ、一周。

写真で見るのと実際見るのは雲泥の差。

ご興味のある方は是非。


見学にあたっては

前田建設工業の社員さんが

丁寧に案内してくださいました。

どんなトンチンカンな質問にも真摯に答えてくださいました。

修復の際のご苦労話や邸内の見どころも

的確にさりげなく説明してくださり、

そのホスピタリティの高さと建物に対する愛情の深さに感動いたしました。


季節が移り変わり、

遅い見学時間を予約すれば

夕景、夜景も拝見できるとのこと。

是非トライしてみようと思います。


地球の片隅で感謝感謝です。


そして我々は

せっかく取手まで来たのだからと

近代建築探偵団(そんな名前?)ちょっと足を伸ばしていにしえの商都水海道に寄ることに。

川による輸送網が盛んだったころ、水海道はとても栄えていたそうで。

きっと近代建築残ってるよね。


渋っ!関東鉄道常総線。



街おこし頑張ろうという気合いの名残りが感じ取れる。。
近くの工場に外国人労働者の方がお勤めだそうで、駅前には多国籍スーパーがあったりします。

てくてく歩くと
ありました。



旧報徳銀行 水海道支店
大正12年ぐらいに建てられたとされています。もったいないことに特段活用されず、臨時の集会所などに利用されているようです。残念だなぁー。

次はこちら。


岩見石版印刷所(昭和5年)
現在も何かの店舗として使用している模様。
綺麗にリフォームされています。



五木宗レンガ倉(明治15年)
幕末から明治にかけて隆盛を誇った水海道。廻漕業を営む五木田家は有力な問屋のひとつだったようです。綺麗に修復されていました。カフェとかにしたら見晴らしもよいので過ごしやすそうですが活用が待たれますがいかに。




水海道一高内武道館(昭和7年)
迷子になってたまたま辿り着けたこちら。
雨天体操場兼講堂として建てられたとのこと。
謎のバルコニー付き。
校長先生とかが挨拶するのか。。
演劇部はロミオとジュリエットが出来そうだとか楽しく妄想。




二水会館(旧水海道町役場)(大正2年)
図書館の隣にひっそり建っていますが
なかなかの面構え。
二階建てかと思いきや、二階窓はダミーで
天井が高いホールになっています。
和室と洋室を備えた大正時代の文化住宅の側面を持ちながら外観は擬洋風建築の趣きの可愛い洋館。
残念ながらこちらも物置のような状態。
お話し会とかやったら楽しそうです。

水海道の街は
とても不思議な街で。
スタンプラリーをやっている気配があるものの、実態掴めず。
国登録有形文化財があり、案内看板もありながら、放置されてる感あり。手付かずで物置になっていたりと。街おこしをしたいようなしたくないような。。
もったいない印象。

お昼を頂いたお寿司屋さんはとっても美味しかったし。

いさみ寿司 (水海道/寿司)

★★★☆☆3.30 ■予算(夜):¥4,000~¥4,999

食べログ

 
地酒屋さんもあったりと。

なかなか魅力的なコンテンツがあるので、街おこし頑張ってほしいなぁー。
今、イケイケのTXの守谷駅から快速でひと駅。
なんとか元気になっていただきたいです。

暑かったけれど楽しい旅でした。













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