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好きなものや気になることについていろいろ語ってみようと思います。

芥川賞

2015-08-19 23:28:22 | 読書録
おはようございます。
最近、拙宅「中原の虹感想文」で検索して下さる方が多いようなんですが、
ごめんなさいねー
あの様なものなので役に立たず。(笑)

「蒼穹の昴」も号泣必須ですから是非。
課題図書はすぐに読める短いものじゃないと
この時期辛いわねー。
皆さん、頑張って下さいませ。

さて、本日のお題。

「芥川賞」

本は好きですが、
恥ずかしながら「芥川賞作品」を
「芥川賞作品」だと認識して手にとったことはなく、
どれくらい読んでるかなーと思って
受賞リストをみたら4冊くらい(笑)でした。

芥川龍之介の作品を熱く語れるほど
たくさん読んだ記憶はありませんが、
教科書に載ってるものを中心に、短編集なんかは昔昔読んだような…。

私の中で芥川作品は
人間の中の黒いものが蠢いてる印象です。

そして。

毎度、芥川賞の時期になると
ニュースは観ますが、
特別読みたいという
衝動に駆られたことがないし、
なんとなく「手に取りにくい」お高い印象も
あったというのが正直なところです。

今年、
お笑い芸人の又吉直樹さんの「火花」が
芥川賞を受賞しました。

又吉さんはオイコノミアなどを観ても
面白い発想をされると感心するし、
彼の書いた読書エッセイなどを読んでも面白いので、
「おっ!」という感じで興味がわきました。

ハードカバーを買うと処分が面倒なので
選評も載っている文藝春秋の9月号を購入、
通勤電車でコツコツ読み、今に至ります。

さて、感想です。

「火花」ですが
最近、読みやすいものしか読んでいないせいでしょうか。
冒頭の表現から
あの「芥川作品」を読んだ時のような
ちょいすぐに情景を思い描くには難しい感じといいますか…。
正直、とっつきにくい感じを受けました。

読みながら
多分
又吉さんは芥川や太宰を含め、他の作家の純文学とよばれるような作品を読み慣れた人なんだろうなぁーと思いました。

同じ匂いがするというか…それは先人の尊敬する作家へのリスペクトが溢れ出したものなのだと思うのですが、そういう作品を読みつけていないせいか、少しカラダに馴染むのに時間がかかりました。

そうかと思えば
主人公と主人公が崇拝する神谷という芸人の
しようもない(失礼!)やりとりが続き、
まるで
又吉さんの漫才のネタ帳を読まされているような気分になったり。

何だか読んだことがない
不思議な小説でした。

多分、この小説を好きか嫌いかは
主人公と神谷さんを好きになれるかどうか…
なのではないかなぁー。

すっごく私小説な感じ。
テーマはお笑いなのに
人間失格とかを読んでいる感じがします。


私は神谷さんのお笑いへの
純粋で執拗な執着は嫌いではありませんが、
「笑えない」のが辛かったです。

「わかる奴だけわかればいい」世界なのは
わかっていますが、

「わかった」ふりさえ許さない
お笑いへの情念が文章から滲み出ていて

面白かった、笑えたなどとは
迂闊にも言えない。

芥川賞リスペクトの精神は
ひしひしと感じたので
受賞するに相応しい作品と言えるかも
しれません。

この後、この2人はどうなるのかなぁー。

神谷さんが千原ジュニア氏に
脳内変換されちゃったのですが、
理由は不明です。(笑)

とにかく
日頃、芥川賞に興味がない
私のようなものが手にとったのですから
又吉さんも
本屋さんも
出版ギョーカイも
作戦成功ってことで。(^^;;

さて。

文藝春秋には
又吉直樹さんの「火花」と同時受賞した
羽田圭介さんの「スクラップアンドビルド」の
2作品が掲載されていました。

こちらの作品の感想も簡単に。

こちらは面白かったですー。
読みやすくて、いつも読んでいるタイプの
小説でした。

介護小説と呼ばれているんですか?

仕事をやめ
自宅で行政書士の勉強をしている
無職で就活中の主人公と
死にたい、死んだほうがみんなのため
が口癖の、特に病気はないが、日々体力が弱り続けている主人公の祖父。

主人公目線で
介護の日々を綴っています。

じいさんの希望に沿って
苦しまず、早く最後の日を迎えられるように
過剰な介護を行って
じいさんを弱らせることを思いつき
実践する主人公。

クールな主人公の母を含め
主人公の彼女

などなど。

すぐそこにありそうな設定で
ありそうな話ではありますが、

主人公の心の動き
じいさんの思い

家族の立ち位置
がリアルに感じられました。

この小説
主人公が就職し、家を出るところで
終わります。
じいさんに見送られながら
旅立つ主人公。

やっぱり彼は孫であり、
やっぱりじいさんは祖父なのだと。
旅立ちを見守るじいさんの背中はしゃんとしてそうで。
何処か逞しいというか
希望があるというか。
そんな印象を受けました。

家族で家庭で介護するというのは
他人にはわからない大変さがあると思います。

主人公の母のように
じいさんに一見冷たく接することも
自立を促し、衰えさせないという
愛のある介護のひとつの手段だったり。
その中にやっぱり毒気を含んでいたり。

主人公が画策した通り
何でもやってあげる足し算の介護が
実は本人の体力や能力を衰えさせることに
繋がったり。
その中にやっぱり辛そうだから
楽させてあげたいという優しさが隠れていたり。

そんな中で
口ではいろいろ言いつつも
心ではいろいろ思いつつも
何だかんだで
家族は家族であり続け、
きっとそれが家族なんだと思わせる
妙な温かさを感じる作品でした。

どっちが好きかと言われたら
「スクラップアンドビルド」かな。

選評もいろいろで
面白かったです。

他のノミネート作品も
ちょい読んでみたくなりました。










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