ここ数日間は平年並みの気候に戻った石狩地方。
アスパラは順調に出てきているところではあるのですが、GW中の強風と悪天候により、表面が傷付いたものが多い為、ギフト発送はいまのところ見合わせております。直売場での販売は行っておりますので、もしお時間があればお越し下さい。小松菜やニラなどの葉物類もあります。
ここ数日間は土壌の物理性について考えております。こういう話をすると、コアな農家の方しかいいね!を押さなくなるのですが、それはそれでいいとして、去年種がこぼれたものが耕してもいないところに元気に育っていたり病気にならずに実っていたりする現場にたまに出くわします。ここでそのこぼれダネがどうしてそんなに元気なのかという要因を考えますと、
・移植していないので根が傷まず、直根が地中深くまで伸びることが出来る
・土壌がロータリーや鍬などにより起こされていないので、土壌中の間隙が形成されたままであり、そこに根が伸びて水や栄養を吸収し、かつ、酸素が吸える状態にある。(一般的にいう団粒構造が形成されている)
・その土地に育った親からこぼれた種なので、その気候に馴染んでいる
と、考えると、
・苗より直蒔きがベター(除草とか早出しとか考えたら一概に言えないけど)
・土は耕さない方がベター(整地しないことで播種機や除草機など各種機械が使えなくなる)
・自家採種がベター(受粉の管理をしっかりしないと。F1の問題もある)
北海道において栽培期間が限られていることを考えると、苗で栽培しないと割に合わなかったり、収穫に間に合わなかったりするので、直播はやれたらやるぐらいで、自家採種は出来るものに関してはやって行きたいと思う。
今一番考えているのは、如何に耕さないか。耕すことは整地してその後の作業をしやすくしたり土壌表面の残渣物を土壌中に漉き込んだりともちろんメリットがあるのだが、どうも砂地だと如何に土壌中にできた間隙を形成したままにするかが重要なのではないだろうか。
省耕起を勧める北大の相馬先生は、ロータリー下のマクロな間隙はサブソイラーで、ロータリー部分は有機物を混和することでその有機物が分解されることで団粒構造を形成させる、と言う。相馬さんはこのときの有機物は5t/10aとかもっととか言っていたのだが、効果のある最小ロットはどのくらいなのだろうか。そして間隙は有機物がロータリーされた後どのくらいの時期から形成されるのだろうか。もちろん土壌の性質や微生物の数などケースによりけりだとは思うのだが。北海道は準備できる期間がなんせ短いので、雪解けから種まきの期間はなるべくスマートに済ませたいものだ。
帯広のやぶ田さんは不耕起で様々な野菜を作っている。肥料やロータリーしていた時間が全く無駄だった、という。やぶ田さんの成功はほっといたからそうなったわけではなく、観察して観察して、あ、除草しなくても大丈夫やん、何か拓いけるで!ということだと思う。不耕起だから何もしないのではない。不耕起だからこそタイミングや植生や雑草の種類を観察しないといけないのだ。兎角規模が大きくなると観察がおざなりになる。面積が大きくなって収量が伸びなければ本末転倒。
起こさないことで求めたいもう1つのメリットは時間とエネルギーの節約である。PTOしんどい。うちにはトラクターが40馬力と50馬力しかないので、これで7町回すのはなかなか至難の業だ。今年はこのことについてどこまでできるか、無理なく取り組んでいきたいものである。