今日から子会社でワークシェアリングが始まりました。通常勤務は週1日のみで、あとの4日は研修日になりました。初日はPCの基礎講座と、世界の状況を知るためにNHKの動画を観ました。PC講座は簡単すぎて少々退屈してしまいましたが、NHKのビデオは非常に勉強になりました

何故世界中が大不況に陥ったのか、今どんな状況なのかを知ることができました。どこの国でも不況を乗り越えようと必死になっていますね。
うちの会社は人材派遣業なので、派遣切りが進んでいる今は非常に深刻な状況になっています。各地にあったオフィスが半分近く閉鎖に追い込まれ、本社の仕事が減少しています。そして今までは私が勤めている障がい者特例子会社で行っていた下請け業務を本社の人達が(他に仕事がなかなか入ってこないので)やる事になり、その結果、子会社の仕事は無くなり、勤務時間のほとんどが研修に充てられてしまったんです

各拠点のオフィスがこれだけ次々閉鎖に追い込まれているのですから、私の勤める子会社だって、いつ閉鎖になるかわかりません。うちの会社はあくまで「人材派遣」が本業で、「障がい者雇用」は本業ではないから、事業を縮小する事になれば、障がい者雇用事業を辞めようという動きが出てくる可能性は十分にあります。
うちの子会社では、今社員の他社への紹介が進んでいます。私が知っているだけでも3人は決まっています。会社側はこれを「この会社はあくまでステップアップの為の会社であり、皆さんに社会に巣立ってもらう為にやっているんだ」と説明しています。でも私の母が支援センターに相談して調査してもらったり、母の知人で社会保険労務士の資格を持っていて、障がい者雇用に非常に詳しい方に相談したところでは、どうも違うようです。
そもそも私の場合は、入社する際、会社が「ステップアップの為の会社である」などという説明は全くされませんでした。その説明が始まったのは景気が傾いてきてからの事です。また私は正式に入社する前に実習を受け、さらに入社後3か月間「トライアル雇用」の段階を経て、正社員になりました。つまりもうその地点で「ステップアップ」しているのです。それに、社員の中にはうちの会社はあくまで練習で、将来的にはもっと大手の会社を目指している、という人もいるとは思いますが、ずっと勤めるつもりで入社した社員だっているんです。更なるステップアップを目指す人たちの後押しをするというのならまだわかりますが、そうでない人たちにまで執拗に「会社から巣立つ」ことを求めるのはおかしいと思います。会社にずっと勤めるのか、巣立つのかは本人が決めることであって、会社が進めることではないのです。
先月までは、子会社では、社員全員の雇用形態を正規雇用から契約にかえるという話が出ていました。社会保険労務士の資格を持っている母の知人の話によると、一般的に障がい者を雇用すると国から一定期間給付金が出るそうです。しかし不況などで授業を縮小せざるを得なくなり、障がい者を解雇しなくてはならない状況になった場合、会社の業績悪化など、「会社都合」を理由に解雇してしまうと、会社は今までに支給されていた給付金全額を返還しなければならないそうです。その場合、ただでさえ状況が悪いのに給付金を返還する余裕はありませんから、会社側としては障がい者を「自己都合退職」させようとするそうです。そうすれば給付金は返還しなくて済みますが、解雇された側にとっては非常に不利になります。業績悪化で会社にいられなくなった場合に比べ、自分の都合で辞めた場合では、次の職場を探すのが大変だし、退職金などの支給額も減額されてしまうからです。
一般的に障がい者雇用の場合は法律で守られているので解雇されにくいんですが、契約社員となると、「契約期間満了」という形で簡単に解雇できます。母の知人や支援センターに調査してもらった結果では、うちの子会社の場合も、それを目的として社員を契約社員にしようとしている可能性が高く、このままではいずれ会社を追われる状況でした。社員の多くは、会社側の上手い説明を信じて、書類にサインしてしまっていました。
現代は障害者支援が進んでいるとはいえ、障がい者はまだまだ社会的には弱い立場にあります。素直で純粋な知的障がい者や、精神障がい者で思い込みの激しい社員などは、会社側としては、会社が不況になった際にうまく説得すれば解雇しやすい存在でもあります。不況で会社が大ピンチになると、どうしても弱い立場の社員は解雇などの政策の対象とされ易いんです。親に説明できなかったり、一人で抱え込んでしまう人が多いので、親が気付いて反発されることもありません。実際今回も、社員の親御さんで全く状況が分からない人が何人もいるようです。中には自分の子供が他の会社に紹介されているのさえ気づかなかった親御さんもいるようなのです。
しかし支援センターに連絡が入ったおかげで、支援センターが会社の上司を呼び出して、契約社員の白紙撤回をするように話して下さったので、正社員のままでいられるようにはなりました。会社の社員の中には(本社の人も含めて)、上司が契約社員の話を撤回してくれて社員を守ってくれたと信じている人たちがいるようですが、実際には支援センターの方の働きかけによって撤回に至った、というのが本当のところです。それでもまだ私たち障がい者社員にとって不利な状況が続いているのは確かですね。
ただ支援センターの方がうちの会社の状況を調査して下さっているので、その点は少し安心です。支援センターの方には、「会社から他社へ紹介するといわれても、絶対に承諾してはいけませんよ」と言われました。障がい者社員の場合は、転職する場合は、会社から紹介で転職するよりも、支援センターに行ってジョブコーチについてもらい、ジョブコーチのサポートのもとで職を探す方が成功率が高いからです。特に今の不況な時期は、今自分が勤めている会社がピンチだからといって、転職しようとしても、転職先の会社も不況ですぐに解雇される場合が多いんです。でも支援センターに行けば、そういう対応をされることがないように職場探しのサポートをしてもらえるし、ジョブコーチに力添えしてもらえれば、採用の可能性も上がります。会社の中だけで判断するのはあまり良い方法とは言えません。
企業は障がい者を雇用すると国から一定期間給付金が出ますが、期間を過ぎると給付金はでなくなります。不況の時期には、給付金がもらえる間はそのお金で障がい者に給与を出して働かせてくれますが、その期間が終わると解雇して他に行ってもらうという対応をする企業が多いんです。
決して会社が悪いのではありません。会社だってなんとか乗り越えようと必死で戦っています。でも業績の悪化が進むと、障がい者のような弱い立場の社員を守ってあげる余裕がなくなってしまうんです。好きで社員を解雇する会社なんて無いと思いますが、余裕がなくて解雇せざるをえない会社は今増えているので、障がい者雇用も厳しい状況なんです。
私は会社や上司を信用していないわけではありません。しかし今本当に大変な状況で、障がい者雇用の事業も非常に厳しい状況ですから、会社側の説明をただ鵜呑みにしてはいけないと思っています。
転職を希望する社員のサポートをするのならまだわかりますが、今回のようにそうでない社員を含めて全員に、執拗に「巣立ち」を求めるのはおかしいんです。会社から「巣立つ」かどうか決めるのは社員自身が決めることですから、会社が口出しする事ではないんです。障がいのない社員だったら、希望してもいないのにしきりに「そろそろウチから巣立ってはどうか」などと言われたら、「不況だから自分を解雇したいんだな・・・」とすぐに気付きます。しかし障がい者の場合は、障がいの種類にもよりますが、理解力が弱かったり、人の言うことを信じ込みやすい方の場合は、会社側の説明しだいでは疑いもせずに納得してしまいやすいんです。
今の不況から、私は、障がい者が働く上で、支援センターなどの「第三者」の介入がいかに重要かを学びました。会社はあくまで会社の方針に従って動いていきますから、時にはそれが社員にとって不利な状況になることがあります。その時第三者の専門機関の支援は必ず必要になります。第三者の支援によって、今回雇用形態の変更が白紙撤回になったように、不利な状況が少しでも改善できるからです。
障がい者が社会で働くためには、会社と社員、親、支援センターの連携が必要です。
今も厳しい状況に変わりはありませんが、何とか少しでも良い方向に進んでいってくれれば、願っています。今はとにかく支援センターのサポートを受けることと、できるだけ毎日楽しく、研修をうけて勉強していこうと思っています
会社のことをブログに書くのはどうかと思いましたが、障がいを持ちながら働く人たちに、少しでも参考になればうれしいと思っています