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花日和 Hana-biyori

2019年のベスト本

今更ながら、2019年のベスト本を並べてみました。年末年始は疲れていて、たいして本を読んでいないコンプレックスというか10コも並べられないしと思っていましたが、それなりに感動した本はあったので、振り返ると楽しいもんですね。フォローしてる方のツイッターが先日番外編的にやっておられて、「年々こういうのが億劫になりますね、よくないですね」という言葉に触れ重い腰があがりましたので、感謝です。


【児童書部門】

1位『はみだしインディアンのホントにホントの物語』
シャーマン アレクシー(小学館)
現在まで続くインデイアンの差別的な境遇を、14歳の少年がユーモアを交えて描く、自伝的ヤングアダルト小説。気づきが沢山あって一気に読めた。インディアンだから貧乏でみっともないと思ってしまうことへの怒り、それが自分のせいではないと分かっている少年から「貧乏は人を鍛えたりしない、ただ貧乏だと教えるだけ」と発せられる言葉が痛切だった。

2位『鹿の王 ‐‐生き残った者‐‐』(上下)上橋 菜穂子(角川書店)
児童書のくくりはちょっと違うかもだけど。大国が辺境の小国を飲み込み、人々を移住させたり、家畜や植生を変えてしまうことで、どのような影響あるのか、とても綿密に描かれていて感嘆。医療や宗教、移民問題やテロ、家畜を超えた動物たちへの思いなど、多くの要素が物語に効果的に溶け込んでいて読み応えがあった。

3位『たのしい川べ―ヒキガエルの冒険』ケネス・グレーアム/石井桃子 訳
丁寧な自然描写と心理描写、気の効いたセリフまわしが楽しい。トラブルメーカーのカエルが愉快担当で、川ネズミとモグラはエモーショナル担当か。自然描写を楽しむべきなんだろうけど、私が一番楽しかったのはキャラクターの面白さですね。


【マンガ部門】

1位『夢中さ、きみに。』
和山 やま (ビームコミックス)
めっちゃ面白くて満足度99%!残りの1%はもっと読みたいのに読めないという欲求不満により。男子高校生ら(女子高生の話もある)のなんてことない日常短編がゆるコントみたいに次々繰り出されて癖になる一冊。前半は林に、後半は二階堂に夢中になる仕組み(読者が)だった。BLではないけれど、そこはかとなく友情を越える感情がじわりと漏れでる部分があり滋味深い。

2位『カッコウの夢』上下/ためこう (on BLUEコミックス)
BLコミック。身体と心の入れ替わりもの、という枠組みを使って報われない恋の執着心が描かれており舌を巻いた。絵がきれいなこともかなり高ポイントです。

3位『PERFECT FIT』1~2巻/たなと (on BLUEコミックス)
BLコミック。片腕が無い障がい者を描いていて珍しいんだけど、だから何?みたいな挑戦的な雰囲気とコメディタッチで引き込まれた。いびつな構い方をしてた自覚ありの田中先輩が、「いよいよ俺は本気で 正面から向き合うのか 恋愛とかいうやつに…」と観念するのが印象的。腫れ物に触るような扱いをされてきたから、今まで他人との付き合いは常に俯瞰だったのかなと。斜に構えていた人が純粋さに触れて愛に向き合う様は楽しい。

【ノンフィクション部門】

1位『ルポ教育虐待 毒親と追いつめられる子どもたち』
おおたとしまさ (ディスカヴァー携書)
胸を衝かれる言葉がたくさんあり付箋だらけになってしまった。
--「教育」と「人材育成」は違う、教育はその人らしく生きていけるよう知識や教養を与えること、人材育成は人を目的のために加工しようとすること。「食材」「木材」など、「材」になった時点でそのものは死んでいる。人間は実際に殺されるわけではないが、生き様はなくなる。--
など。一番大切なことは、子どもの人権を阻害しないこと、と肝に銘じる本。

2位『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』ブレイディ みかこ
イギリスで暮らす保育士でライターの著者が、息子の中学生生活を通してイギリスの公教育の現状、多様性などの考え方を伝えてくれる。息子本人が書いているわけではないけれど、当事者感覚がリアルで色々と勉強になったと思う。

3位『人間使い捨て国家』 (角川新書)明石 順平
これは好きな本というより、暫く精神的に落ちてしまった本。日本の労働環境の劣化、「ブラック企業の横行を許しているのは国家である」と、詳細なデータと弁護士経験をもとに告発、糾弾、改善策を訴える。日本の衰退の元凶は、目先の利益を優先する財界と自民党の癒着であり、「企業優先、人命軽視」の事例の数々に頭に血がのぼる思いで読んだ。全ての日本の労働者は読むべき。

【小説部門】

1位『趣味で腹いっぱい』
山崎ナオコーラ
高卒銀行員の夫と大学院文系卒女性との結婚生活を描く。「働かないものも、どんどん食べろ」という名言で、専業主婦やニートを励ます、ゆるしを感じられる本だ。無職は罪、役に立たない活動をしてないで働け、みたいなぎすぎすした空気に真っ向勝負をかけている。私が好きな文体でとてもよかった。


以上10冊に絞って並べてみました。全体で言えば、概ね上のほうから上位です。しかし小説をほとんど読んでいないことが改めてはっきりしてしまった。
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