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漫画「カレチ」

2012-03-31 23:18:12 | ほんとかてれびとか
国鉄が民営化されてから25年。
国鉄を知らない鉄道ファンも多いわけだが‥

2009年から週刊モーニングで「カレチ」という作品が月一回(当初は不定期掲載)掲載されている。
一度「モーニング」を立ち読みしたとき、ワフ21000が描いてあるコマを見つけて、気になったのだ。
今は「カレチ」が載っているときだけ買っている。

この作品の主人公は昭和40年代の大阪車掌区所属の客扱専務車掌、萩野。
新米専務車掌、萩野の奮闘を描いた作品だ。
(作品内の切符には「昭和49年」の日付が書かれている事が多い)

「参考文献」に坂本衛氏の著書が出ているが、支線(例えば城端線)への乗り継ぎ客を水増しして報告したり、車内補充券の発行時に青函連絡船の運賃を収受しなかったりして、一悶着‥というエピソードが出てくる。
(実際の支線への乗り継ぎ客の件については、むしろコミックの方が実情に近いのかもしれない)

あれだけ「乗客のために奮闘」するのはしんどいだろうが‥

この作品の良いところは、車両がちゃんとバランス良く描かれている、と言う事だ。
最近鉄ネタのコミックをちょくちょく見るが、車両のディテールは細かいが、どうも絵柄とバランスが取れていないものが多い。
(あるコマでは車両が「自己主張」しすぎて「浮いて」いたりとか、他のコマではバランスが悪かったり‥とか)

このコミックは、絵柄自体はシンプルだが、ちゃんと車両も「登場人物」としてバランス良く描かれている。
クハ481とか「シャシャッ」と描いたような感じ(もちろん実際は違うのだろうが)でも、ちゃんと綺麗なスタイルだ。

池田邦彦氏、聞いた事がある‥と思ったら、元々「RailMagagine」誌とかにイラストを掲載していた方だ。
やっぱりスゴい。

実際に萩野が大阪車掌区にいたら、民営化の日をどう迎えたのだろうか。
作内では20代後半くらいだから、昭和62年には40代くらいか。
坂本衛氏のように「後輩に席を譲るよ」と言うにはちょっと早いか。

ひょっとしたら「サンダーバード」とかにも乗務していたのだろうか、「仕事を辞めたら、金輪際使わないよ」と言っているのだろうか、と考えてしまう。
(後半のくだりは坂本衛氏の著書に出てくるが、某事故の後にぞろぞろ出てきたJR「4」の会社の労務管理の事を考えると示唆的ではある。「3」とかも厳しいという話を聞くが)

改めて考えるが、民営化ってそんなにバラ色のエエもんかいな、と思う。


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2 コメント

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Unknown (sherpa_kl250)
2012-04-02 23:01:24
この漫画、私も読んでいて単行本も3巻持ってます。
絵はあまり上手(正直下手な部類)ではないものの、
お話の組み方が上手なので楽しんで読めます。

確かに車両の書き方はバランスよく、
お話にうまく絡まってます。
他のテツ系漫画が「車両」を全面に押し出し、
「?」な展開が多い中、カレチにスポットを当て、
鉄道車両はあくまでも脇役(舞台装置)、
というのがまたいい味を出してると思います。

JRになったいま、車掌さんもここまで乗客のことを考えて
勤務するのは難しいでしょうね。
sherpa_kl250さん (han9_ensen)
2012-04-04 01:24:45
確かにコミックとしては絵柄が古い、というよりむしろ下手(失礼)な部類とは思いますが、車両の描き方がしっかりしておられるのが良いですね。

萩野専務車掌のように乗客の事を考えて行動すると、会社よりも他の「お客様」が五月蠅いような気もします。