無頓着の俳句入門

歴史に残る著名な先生方の教えを無頓着が入門書として初心者向けにわかりやすくまとめました

第3章 俳句の文法 3-8 言葉の使い方(3)

2008-12-10 13:37:56 | 文法編
(10)動詞の活用

①四段活用(「ず」を付けて言ってみてア段の音になるもの→咲かず、知らず)
行 基本 語幹 未 然 連 用 終 止 連 体 已 然 命 令
カ 咲く  さ   か   き    く   く   け   け
ラ 知る  し   ら   り   る   る   れ   れ
(注)口語と文語で送り仮名が違うので活用も異なる。
 言う→言ふ、漂う→漂ふ、添う→添ふ (ハ行四段活用となる)
<例句>冬の水一枝の影も欺かず(未然形) (中村草田男)

②ナ行変格活用(死ぬ、去ぬの2語)
行 基本 語幹 未 然 連 用 終 止 連 体 已 然 命 令
ナ 死ぬ  し   な   に   ぬ   ぬる  ぬれ  ね
   去ぬ  い
<例句>冬蜂のどころなく歩きけり(連用形) (村上鬼城)

③ラ行変格活用(有り、居りの2語)
行 基本 語幹 未 然 連 用 終 止 連 体 已 然 命 令
ラ 有り  あ   ら   り   り   る   れ   れ
   居り  を
<例句>一堂のあれば一塔百千鳥(已然形) (高野素十)

④下一段活用(蹴るの1語)
行 基本 語幹 未 然 連 用 終 止 連 体 已 然 命 令
カ 蹴る  (け)  け   け  ける  ける  けれ  けよ
(注)「蹴る」は単独で用いるより複合動詞として用いることが多い。
→蹴上ぐ、蹴返す、蹴倒す、蹴ちらす、蹴とばす
<例句>蹴あげたる鞠のごとくに春の月(連用形) (富安風生)

⑤下二段活用(「ず」を付けて言ってみてエ段の音になるもの→近付く、定む)
行 基本 語幹 未 然 連 用 終 止 連 体 已 然 命 令
カ 近付く ちかづ  け   け   く  くる   くれ  けよ
マ 定む  さだ   め   め   む  むる  むれ  めよ
(注)口語と文語で送り仮名が違うので活用も異なる。
堪える→堪ふ、冴える→冴ゆ、植える→植う  (下一段活用→下二段活用)
(ア行)→(ハ行)、(ア行)→(ヤ行)、(ア行)→(ワ行)
<例句>白粥の香もちかづけず身ごもりし(未然形) (篠原鳳作)

⑥上一段活用(着る、似る、煮る、干る、見る、射る、鋳る、居る、率るの9語)
行 基本 語幹 未 然 連 用 終 止 連 体 已 然 命 令
マ 見る (み)  み   み  みる  みる  みれ  みよ
ナ 似る (に)  に   に   にる  にる  にれ  によ
<例句>つく羽子の音のつづきに居る如し(連体形) (中村汀女)

⑦上二段活用(「ず」を付けて言ってみてイ段の音になるもの→起く、恋ふ)
行 基本 語幹 未 然 連 用 終 止 連 体 已 然 命 令
カ  起く   お   き   き   く   くる  くれ  きよ
ハ 恋ふ  こ   ひ  ひ(う)  ふ  ふる  ふれ  ひよ
<例句>着ぶくれのおろかなる影曳くを恥づ(終止形) (久保田万太郎)

⑧カ行変格活用(来の1語)
行 基本 語幹 未 然 連 用 終 止 連 体 已 然 命 令
カ  来   (く)   こ   き   く   くる  くれ  こよ
<例句>寒風を来しわが顔の悲しけれ(連用形) (星野立子)

⑨サ行変格活用(すの1語)
行 基本 語幹 未 然 連 用 終 止 連 体 已 然 命 令
サ す  (す)   せ   し   す  する  すれ  せよ
<例句>寒き夜の貨車駐らんとしつつあり(連用形) (山口青邨)

以上