無頓着の俳句入門

歴史に残る著名な先生方の教えを無頓着が入門書として初心者向けにわかりやすくまとめました

第3章 俳句の文法 3-5 俳句の文体(2)

2008-09-06 15:11:50 | 文法編
(5)文節の省略

俳句は多くを語ることができないため、単語や文節を極端に省略して表現する。省略しても前後の関係から意味が通じる場合はできる限り省略し、簡潔な文体で定型のリズムに乗せることが必要である。
<例句> 戦禍まぼろし 野に透く夜の 閑古鳥 (飯田龍太)

(6)文節の倒置

①正常な文節の位置
イ.主語文節が上で述語文節が下にくる
ロ.修飾文節が上で修飾される文節が下にくる(修飾文節どうしは上下自由でよい)
ハ.述語文節は文末にくる

②文節の倒置とは正常な文節の位置を逆にする方法である
<例句1> 主語文節の倒置
茗荷汁に うつりて淋し 己が顔 (村上鬼城)
<例句2> 修飾文節の倒置
春の雨 ひびけり いつの寝覚にも (日野草城)
<例句3> 述語文節の倒置
かぞへ来ぬ 屋敷々々の 梅やなぎ (松尾芭蕉)

(7)句の種類

①構造上の分類
イ.単文句:-主語・述語の関係が1回だけ成立する句
<例句>濃かに 弥生の雲の 流れけり (夏目漱石)
ロ.複文句:-最初の主語・述語の関係が句全体の主語・述語・修飾語の関係として成立する
<例句>オホーツクの波 群だてば 暑が 逃ぐる (石原八束)
ハ.重文句:-対等の主語・述語の関係が2回以上成立する句
<例句>椿 落ちて 虻 鳴きいづる 曇りかな (芝不器男)

②内容上の分類
イ.平叙句:-ありのままを描写して述べる句 (肯定、否定、断定、推量、決意)
<例句>ゆく雁の目に見えずしてとどまらず (山口誓子)
ロ.疑問句:-疑問や反語のかたちで叙述した句
<例句>白地着てこの郷愁のどこよりぞ (加藤楸邨)
ハ.命令句:-命令・禁止・注文などをあらわす句
<例句>梅雨の夜の金の折鶴父に呉れよ (中村草田男)
二.簡単句:-詠嘆・感動をあらわす句
<例句>是がまあつひの栖か雪五尺 (小林一茶)

  以上