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心のままに・・・

実体験をもとに小説仕立てでお話を書いています。
時々ひとりごとも…

星屑の涙・・・19

2013-10-26 09:08:08 | 星屑の涙


「今の何? ね、達也今の人知ってる人?」


動揺していないといえば嘘になるが、その時の私は意外に落ち着いていた


どちらかというと達也の方が焦っていた


「お前こそ知らないのか? あんな若いヤツ・・・オレには心当たりが・・・


 あっ!アイツか・・・」


達也の思いついたことと私の想像はたぶん同じだろう


「美咲のヤツの仕業に違いない・・・ちっくしょう! やりやがったな」


それにしても今の人、私には見覚えのない人だった


恥ずかしいけれど、正直私は人の顔があまりよく覚えられない


それでも最近会った人の中にはさっきの青年はいない


たとえば・・・昼間千秋と一緒だった時、隣りの席にいた男性とも明らか違う


なぜなら年恰好が全く別だからだ 今の男はまだ20代くらいだろう


さすがにそれくらいの違いはわかるが・・・・それにしても、もし美咲が頼んだとして


今ここに私たちがいるということがわかるだろうか?つけられた・・・?いつから・・・?


そもそも今日、達也に会う予定はなかった


夕方電話があったから今こうしてここにいるのに・・・


達也は黙ったまま苦虫を噛みつぶしたような顔でこぶしを握りしめている







「なぁ、真理子今夜はもう送って行くよ


もしかしたらさっきのヤツがウロウロしているかもしれない


もしもお前さんに危害を加えようなどと考えていたりしたら、ヤバいからな」


「いやぁねぇ・・・それは考えすぎなんじゃない? たとえこれが奥さんの仕業だとしても


手を出したら犯罪だわ・・・さすがにそこまでする必要があるのかしら?


こう言っちゃ悪いけれどあちらも好きになさっているのでしょう?


少し勝手すぎるような気もするわ・・・」


「まぁな・・・でもあいつは自分が一番だと思っている


こちらの気持ちがいつも自分にだけ向いていないと気が済まない


オレだけじゃないぜ? 娘が友達と仲良くしているだけでその子にやき持ち焼くくらいなんだ


相手が女の子でもだぜ?


あぁ・・・そうか、女だからか・・・ふむ・・なるほど・・・」


達也は一人で何かを納得したような素振りをして頷いていた


私は昼間のことを達也に話そうかとも思ったが、どうでもいい事だと思いなおした。


「しばらく会わない方がいいんじゃないかしら? 刺激しすぎるとまずいんじゃない?


あちらの出方を見てから動く方が賢明よ


まぁどちらにしても世間さまから見たら私たちのやっていることは


決して認められることではないのだから


これがきっかけでダメになったとしてもそれはそれで仕方のないことだわ」


それは本心だった


素直になれる相手だと思ってはみたが、やはりいけないことをしているのだ


亮介が見たら悲しむだろう・・・今このまま別れた方がお互いの為かもしれない


「嫌だ・・・オレは嫌だからな・・・アイツとは別れ・・・」


「ダメよ! それ以上言わないで頂戴! それ以上言うと・・・」


「おいっ!真理子!どうした? おまえ・・・泣いているのか?」


自分でもわからなかった


男の前で泣くなんて、しかも好きになってもどうしようない相手なのに・・・


「とにかく送って行くよ」


達也は黙って私の肩にそっと手を置きタクシーを拾うと一緒に乗り込んだ