Bass & Love .

~ HAKASE-SUN 在音日記 2024 ~

セルフ・アーカイブス その7 V.A. / Beach Baby

2010-08-17 23:05:23 | セルフ・アーカイブス



皆さん、良い夏を過ごされているでしょうか。

今年の夏は、サバイバルの様相を呈しておりますが、お身体どうぞ、お気を付けて。



今日は、1994年にリリースのこのアルバムをご紹介。


1.LITTLE GRASS SHACK / HERB OHTA
2.渚のアンラッキーボーイズ / いとうせいこう
3.BLUE BEAT MELODY / MUTE BEAT
4.ビー・マイ・ベイビー / ribbon&ピラニアンズ
5.夏の思い出 / 小玉和文
6.風よつたえて / ribbon&ピラニアンズ
7.LET HIM TRY / エマーソン北村 with V.I.P.CREW
8.I'M STILL WAITING / JANET KAY
9.TEA FOR TWO / DETERMINATIONS
10.ONE / エマーソン北村 with DEEP&BITES
11.だいじょーぶ / いとうせいこう&TINNIE PUNX
12.ビー・マイ・ベイビー / 小玉和文

1994年5月20日 PONY CANYON より発売。

当時のキャニオン音源(MUTE BEATなど)と、伝説の NUTMEG(ナツメグ)レーベルの音源、などを集めて、また M4,6,12 は小玉和文さんプロデュース、録りおろしの音源。

和製ラヴァーズ・ロックの走りとなったコンピレーション・アルバムです。

私は小玉さんプロデュースの「ビー・マイ・ベイビー」、「風よつたえて」に、フィッシュマンズの茂木欣一と共に、プレイヤーとして参加。

外仕事のオファーは少なかった時期なので、嬉しかったな。それも、小玉さんのレコーディングで。

バックはピラニアンズのメンバー(当時スカパラを脱退した直後の ASA-CHANG 含む)、欣ちゃんと私、それと小玉さんのトランペットです。

その年4月のド頭に、一口坂スタジオの超豪華な、2スタで録った記憶が。

この現場、キャニオンの A&R ディレクター H氏は、その後私がソロ・アルバムをリリースしている nowgomix records のオーナー。出会いとは不思議なものです。・・・

ちなみに ribbon とは、あの永作博美さんが在籍していた、3人組の女子アイドル・グループです。皆さんまだ20代前半のころです。

「ビー・マイ・ベイビー」は 1960 年代、フィル・スペクタープロデュースで超有名なガール・グループ The Ronettes の「Be My Baby」です。


「風よつたえて」は、小玉さんのオリジナル楽曲。アーリー・レゲエ調のトラックと、さわやかな歌詞の、プラトニックなラブ・ソング。

ボーナス・トラックとして、「ビー・マイ・ベイビー」の、小玉さんによる、トランペット・インスト。

この3トラックは、アナログ 7inch でもリリースされました。

こちらでちょっぴり、試聴出来ます。

ジャケが、小玉さん(による手書きイラスト)の世界観を良く体現していて、素敵ですね。

このアナログ盤は、地方にソロ・ライブに行った時なんかに、DJ が良くかけてくれたりして。

ASA-CHANG のチャーミングなパーカッションが、大フィーチャーされています。

その時永作さんと一緒にお仕事したときの経験が、その後「人のセックスを笑うな」のサントラで「Angel」という曲を作る時に、映画の制作サイドから「永作さんが川原で自転車に乗りながら、大声でサビを歌うシーンがあるので、永作さんが楽勝で歌いやすいようなメロにして下さい」というオファーがあったので、非常に活かされたんではないか、と。余談ですが。

ともかく、個人的にも思い出の詰まった、懐かしいアルバムです。

ジャケット・デザインは、あの大滝詠一「A LONG VACATION」のジャケを手掛けた、永井博氏によるもの。最高ですね。


お盆も過ぎちゃったけど、まだまだ夏はこれから・・かも!?




セルフ・アーカイブス その6 LOVERS ROCK NITE CREW / No.1

2010-07-11 11:30:09 | セルフ・アーカイブス



渋谷・宇田川町に拠点を置くレーベル Grand Gallery の総帥、井出靖さん総合プロデュースのアルバムです。2008 年 7 月 23 日 リリース。

詳細はこちらです・全曲試聴可


私は M1 , M2 , M4 , M6 のトラック・メイキングと制作、プロデュースを担当。
M10 はキーボードを担当してます。

なかなかの豪華メンバーなのではないでしょうか?

M1 のマイケル・ジャクソンは、マイケルの70年代の曲。外部ソングライターの曲です。

これは永積くんのチョイス。彼にとって、個人的に思い出深い曲だそうです。


スタジオに入って1時間半。柔軟体操をしたり、セージの煙を焚いたりして、じゅうぶんに身体と心をなじませてから、歌ってくれました。

歌はテイク・ワン。1発OKです。

もう1テイク歌ってもらいましたが、最初のやつのほうが全然エモーショナルでした。
直しもやんなかったんじゃないかな?

後半のダブ=ショーケーススタイルで、PJ のDJ=トースティングをダビングしてます。これも最高。

http://www.youtube.com/watch?v=rR5Awf3d-Xg


M2 の曽我部くんは、ニール・ヤングの渋ーい曲のカバー。ちょうど曽我部恵一バンドのツアー中のRECで、声がガラガラ。甘い歌声を想像してたので、「大丈夫?」とか心配したものの、いま聴くとすごく切なげで素敵だと思います。さすが、です。

リトテンの田村玄一さんに、ウクレレとスティール・ギターで南国風味を出してもらいました。


http://www.youtube.com/watch?v=BREYCGWOouw



M6 の MariMari ちゃんは、彼女にとっても、「人セク」サントラ以来、1年ぶりのREC だったと思う。Mari ちゃんらしい、これまた切ないウィスパー・ボイスをたっぷり聴かせてくれてます。原曲は Leslie Duncan だと思いますが、これは Lani Hall のバージョンをたたき台にしてます。


http://www.youtube.com/watch?v=O9Q5oMj1wlc



渋いフルートは EGO WRAPPIN AND THE GOSSIP OF JAXX の武嶋聡くん。彼にはここ一番で、度々お世話になっている存在です。

ベース・ラインはルーツ・レゲエの THE CONGOS 「ROW FISHERMANS ROW」かな?から引っ張ってきました。


M6 は AOR の巨匠、ボズ・スキャッグスの名曲。これは私の選曲。



http://www.youtube.com/watch?v=NkZGAscEdLw



キック4つ打ち、レゲエで言うところのミリタント・ビートに乗せて。
武田カオリちゃんの歌ですから、もちろん極上です。極上。

全てのトラック、ホーン関係は、いつもお願いしているサックスの山上ヒトミさんと、トロンボーンの ICCHIE 氏、前述の武嶋くんでございます。

ギターは、Grand Gallery とも親交の深い、TICA 石井マサユキ氏。彼のギターが入ると、トラックの「品格」が上がります。



手前味噌というやつではありますが、この心地よい「まったり」感あふれるリディムは、少なくとも国内では私くらいしか出せないんじゃないだろうか・・と思ってみたり。

そして、愛機 AKAI MPC3000 (=ドラムマシン)の恩恵でもあります。


このあたりの機敏をわかって下さる方が、今後さらに、、また少しでも増えてくれることを願いつつ。


最後の M10 トラックはバンド・スタイルの1発録りです。バイオリンの金原千恵子さんと、トランペットのこだま和文さんが、主メロをかわるがわる取りつつ、です。

http://www.youtube.com/watch?v=Gw8JkJdfeSQ&feature=fvst



選曲はこだまさん。こだまさん自身にとっても、思い入れ深く、あたためてきた曲でもあります。彼にとっての初カバーは1994年リリース、「集団左遷」のサウンド・トラック盤。
私も当時、フィッシュマンズのリズム・セクションと共に、ピアノで参加しています。・・


バンド・メンバーはドラムに屋敷豪太さん、ベースが元ルースターズの井上富雄さん。
ギターが秋広真一郎。フェンダー・ローズが私 HAKASE-SUN 。

GOTA さんのドラムは、遊び心があって、包容力があって。やっぱすごかったな。
井上さんのベースも、レゲエのベース・ラインを弾きつつ、ぜんぜんレゲエじゃなくて、ロックぽかったりするわけだれども、音というか演奏の佇まいが、とにかく太い。有無を言わさない感じ。


さて、そのような感じで紹介してまいりましたが、私以外の、Grand Gallery のエンジニア・トラックメイカーの太田桜子さん制作のトラックも含めて、トータリティのある、すごく聴きやすいアルバムだと思うわけです。時代に左右されない。時を経るにつれて、輝きと、そして、価値を増す作品= evergreen だと思います。

私自身も、リリースした2008年聴いた印象よりも、今年聴いた印象のほうが、なかなかググっと来ちゃうわけです。

宮古島なんかに持ってって、友人の車でかけたりしても、すごくなじんでました。


ジャケの微妙な色あせ具合、最高のデザインセンスだと思います。

こんな、ハンモックな夏を、一度でいいから過ごしてみたいものですね。

モルジブでも、行ってこようかな。



さて、さらに告知です。

この Grand Gallery レーベルの5th Anninersary を記念して、

7/23(金)、恵比寿 Liquid Room で、イベントを開催するそうです。



詳細はこちら。 http://grandgallery.jp/5th/




どうですこの、錚々たるメンツ。よく皆さん、スケジュール揃ったな・・みたいな。


私はDJではありませんので、本職で LOVERS ROCK NITE CREW バンドに参加させて頂けるということで、光栄でございます。

(HAKASE-SUN key. 外池満広 key. 石井マサユキ Gt. 根岸孝旨 B 屋敷豪太 Dr. Likkle Mai Vo. 曽我部恵一 Vo. RAS TAKASHI Melodica こだま和文 Trumpet 金原千恵子 VI)

22:40~ リキッドルームメインステージです。



これは見逃せませんね。





セルフ・アーカイブス その5 UA / あめふりヒヤデス 12inch

2010-06-26 15:25:20 | セルフ・アーカイブス
こんなシーズンに、ぴったりの曲。





1997 年リリース。UA 初出産後、初の 12inch 。

ドラマの主題歌にも使われた、「悲しみジョニー」とのカップリング。

翌年リリース、40 万枚以上のセールスを記録したアルバム「AMETORA」にも収録された。


当時、所属レーベルを通じて、リトルテンポにソング・ライティングのオファーが。

各メンバーが筆を競い、デモの DAT テープの最後に、地味にひっそりと収められたこの曲が、採用となった。

リズム録りは、川越の GO GO KING RECORDERS 。

ダビング&歌録りは、新宿2丁目のテイクワン・スタジオ。

全て、アナログ 24ch 録音。



バックは勿論、リトルテンポ。

芸術的なスティール・パンは、玄さん(田村玄一氏=当時サポート)。


ミックスは、当時のリトテンが世話になっていた、ロンドン・ブリクストンのスタジオ sparkside studio 。


LKJ のキーボーディストだった Henry Holder の手による。


私も同行。UA & 関係者も。


クラクラした。


このブルーでダーク・トーンな曲が、当時 UCC コーヒーの CM にも使われた。

サビの、「あなたの肌が、ひからびすぎて痛い あなたのことを、嫌いになってみたい」の部分だったかな。

それほど時代は、UA に飢えていた。


その他諸々、エピソードや個人的思い入れには事欠かない曲だが、あとは
僕の胸に、ひっそりとしまっておきましょう。


今日は UA @ 日比谷野音。(行けないけど)

この曲、やってくれると、いいな。・・



あめふりヒヤデス

 作詞:UA 作曲:HAKASE


ヒヤデスをはやく 見つけなくちゃ

飽きらめた雲は はやい
嫌ね
耳鳴りがいつもの色 予感させる
つむじ風
二人きり 素敵な夜だけど
去年より長い髪が邪魔をしたの

あなたのことが 大好きすぎるみたい
ヒヤデスはどこに隠れたの

とりあえず 夢を見たら
すぐに 電話して
天気予報 相談しましょ

あなたの肌がひからびすぎて痛い
あなたのことを嫌いになってみたい

ヒヤデスはどこに居るの
ヒヤデスをはやく 見つけなくちゃ

流れ星を数えて
ヒヤデスを誰かはやく助けて
ラクダ色 愛のコブが乾くよ
ヒヤデスさん 次の雨は何色





私はこの曲を、いまでもとても愛しています。













セルフ・アーカイブス その4 Philharmonic Reggae Session

2010-05-03 20:47:34 | セルフ・アーカイブス




Philharmonic Reggae Session 「Classic For Reggae Lovers」、KING RECORD より 2007年7月リリース。

詳細はこちら。クラシックの名曲中の名曲の数々をレゲエのラヴァーズ・ロック風に、スイートなアレンジで聴かせるという、企画ものカバー・アルバムなわけです。




メンツは、私が一応、バンマス。


HAKASE-SUN(アレンジ、キーボード、ピアノ、シンセドラムほか)ex.FISHMANS、from LITTLE TEMPO、川上つよしと彼のムードメイカーズ

金澤義(ドラム)from The Miceteeth.

森寺啓介(ギター)from The Miceteeth.

和田拓(ベース)from The Miceteeth.

武田カオリ(ヴォーカル)from 川上つよしと彼のムードメイカーズ、TICA

北原雅彦(トロンボーン)from 東京スカパラダイスオーケストラ

武嶋聡(フルート)from EGO-WRAPPIN' AND THE GOSSIP OF JAXX

尾崎あゆみ(トランペット)from スカポンタス

巽朗(アルト/ソプラノ・サックス)ex. The Determinations

etc...



なかなか錚々たるメンバーの方々。





この年の春は忙しかったな~ 馬車馬のようにレコーディングしてました。

自分のソロ・アルバム「Le Ciel Blue」~マスタリングでロンドン~「人のセックスを笑うな オリジナル・サウンドトラック」~それ終わってすぐに、大阪に行ってこのアルバムのプリプロ~すぐ本チャン。

このアルバムは、昔から仲のいい The Miceteeth. のメンバーと、せーのの1発録り、打ち込みじゃなくて、バンド・サウンドで録ろうって決めてたから、大阪に泊まり込みのREC 作業。

スタジオは谷町4丁目の WANSK STUDIO 。REC スタジオ兼リハーサル・スタジオもやってる。

大阪時代のエゴ・ラッピンとか bonobos も、リハで使ってたらしいという、伝説のスタジオです。bonobos の松井泉くんは、ここで下積みサウンド修行してた、らしい。

オーナーの犬島さんがちょっと変わったというか面白い人で、スタジオの階段でカブトムシ飼ってたり、「オーナーが人見知りのため、スタジオは会員制」とか。

ちなみに、犬島さんのスタジオだから「ワンスク」ではないらしい。「たまたま」だそうで。

話がそれまくってしまったが、なかなか味わい深い、東京にはないタイプの、血の通ったスタジオなわけです。

マイスのメンバーと音、出してる時は、高校の後輩とかとバンドやってる感じで、楽しかったな。

REC は4/20~5/10 くらいまでだったかな?毎日お天気が良くて、

エンジニアも、「人セク」のサントラでがっちりタッグを組んだ 山口 泰さんだったから、ばっちりだったな。

「人セク」のレコーディングが1曲だけこぼれたので、スタッフと MariMari ちゃんが、0泊2日で大阪まで来てくれて、主題歌の Fishmans カバー「MY LIFE」を深夜に REC したのも、いい思い出。

そう、このアルバムのキー・パーソンで、大阪のスティール・パン / パーカッション奏者の 山村 誠一さんが、大活躍してくれたな~。

師匠、その節はたいへんお世話になりました!

またなんか、一緒にやりましょ。





大阪のあとは、GW 中だったかな、山梨の清里にある町営ホールを借り切って、武田カオリちゃんの歌もの「Lover's Concerto」とか、バイオリンの方々のダビングをやったり。

これも超楽しかった。カオリちゃんもご機嫌で、気持ちいい歌が録れました。

M2 、果てしなく幸せになれる1曲。


この曲以外はすべてインスト物。


自分にとっては、この後に手掛けることになる 3,4 枚ほどのカバー物アルバムの礎となる作品なわけです。・・

こちらで試聴できます


というわけで、普段 HAKASE-SUN の音楽を気にかけてくれている人、追っかけてくれている人=ファンの方々にも意外に知られていない、当アルバム。

愛と真心のこもった、とても質の良い作品だと思うので、ぜひご一聴頂きたいと思っているわけです。

と言いつつも、残念ながら現在廃盤になっております。

amazon や ヤフオクで手に入ると思います。

iTunes でも買えると、思います。



そんな感じで!!!



























セルフ・アーカイブス その3 ~V.A./HAPPY BIRTHDAY~

2010-03-22 00:00:00 | セルフ・アーカイブス


1, DOUBLE FAMOUS / HAPPY BIRTHDAY TO YOU 
2, naomi & goro / PARABENS A VOCE (HAPPY BIRTHDAY TO YOU) 
3, HAKASE-SUN / HAPPY BIRTHDAY TO YOU 
4, PEPE CALIFORNIA / HAPPY BIRTHDAY TO YOU 
5, EMERSON KITAMURA / HAPPY BIRTHDAY TO YOU 
6, NOBUYUKI NAKAJIMA / HAPPY BIRTHDAY TO YOU



2007年5月リリース。

青山スパイラルビル1FのCDショップのレーベルfarloveより。
定番 お誕生日ソング「HAPPY BIRTHDAY」を、私を含めた数組のアーティストさんがカバー。

私のトラックは、可愛いめのオルガン・インスト物。
なかなかラブリィな仕上がりではないでしょうか。

あまり知られてないけど、bonobos ベーシスト 森本夏子さんの歌が2番から入ってます。

なんとトラックの最後にはなっちゃんの「おめでとう~~」の声いり。ファン垂涎!必携!

farloveのサイトでも試聴出来ます。良かったら聴いてみて下さいね。


…そして今日は私の、何十何回目のバースデーです。










セルフ・アーカイブス その2 Likkle Mai / Your Love Disco 45

2010-02-11 22:40:34 | セルフ・アーカイブス
2006年リリース、Likkle Mai 1st アルバムより 12inch cut 。





「YOUR LOVE」SPOTLIGHT MIX 、通常の歌物のケツにダブ・バージョンがくっつく、伝統の SHOWCASE STYLEE 。後半のダブミックスの部分で、私のオルガン・インストが聴けます。
通して8分くらいの、長尺バージョン。

マイちゃんと、ダンナの堀口(The K)のお宅に訪問して、REC しましたね。
堀口は、1995年くらいに、私が Reggae Disco Rockers の一応メンバーだった時に同籍。
弱冠20数歳で、10人くらいの大所帯の、一応バンマスを任されていた記憶あり。
非常に才能のある男です。その時は坊主頭でした。

マイちゃんたちと私は、同じHD レコーダー(ALESIS ADAT HD24 ての)を使っていて、貴重な ADAT 仲間でもある。

ちなみにミックスも The K によるもの。Audio Active のスタジオかどっかでミックスしたのかな?音最高。素晴らしい耳の持ち主です。

盤のプレスは高音質、高音圧で定評のあるチェコスロバキア盤。

この 12inch 、いまでもどこかのネット・ショップで在庫あるのでは?

マイ夫妻、去年にハワイにライブ行ったそうで、その時に、「Your Love の 12inch 、現地ですんごい評判よかったですよ~~」とのこと。


嬉しいこと言ってくれるじゃないですかマイちゃん。


さて、明日は LIQUID ROOM で、我らが Likkle Mai がオーガナイズする、一大ダブ・イベントですよ!





セルフ・アーカイブス その1 「人のセックスを笑うな」オリジナル・サウンドトラック

2010-01-10 16:11:41 | セルフ・アーカイブス
過去、自分が携わってきた音源を、記憶を頼りに振り返る「セルフ・アーカイブス」を始めます。

まず1発目は



映画「人のセックスを笑うな」オリジナル・サウンドトラック盤。

ジャケの2人は、永作博美さんと松山ケンイチくん。

芸能人の方々をジャケに使った、まこと贅沢な装丁。


映画の撮影は 2007 年1月~3月まで。サントラの発売は翌年、2008年1月16日。

音楽担当が僕に決まるまでのいきさつ・・・は、CD のライナーノーツ(監督の井口奈己さんによる)に詳しい。



そもそも井口さんが、かなり古くからのフィッシュマンズ・ファンだった、ということのようだ。



映画音楽全部を任されるのはは初めての経験、(リトテンで一度、バンドでやったことはあるが)、さてどうするかということで、手探り、試行錯誤の毎日。

クランクインの前に、永作さんが自宅で服を脱ぎ捨てるシーンで、部屋のラジオから 1970年代の洋楽ヒット曲が流れてくる、というシーンがあったので、その歌物は先に必要だった。

録ったのはちょうど、3年前の今日。南青山の CRICKET STUDIO にて。

監督と私が選んだシンガーはずばり、TICA の武田カオリさん。

彼女も、前年の出産後、初 REC だということ。いきなりぶっつけ本番のレコーディング、というわけ。

バンドメンバーは僕が全て選んだ。ギターに TICA 石井マサユキくん、ベースはエゴ・ラッピンのバンドの真船勝博。共に、ケミストリーやハナレグミのバックもやっている強者ぞろい。

ドラムは、当時エゴ・バンドの一員だった菅沼雄太。しなやかなドラムを叩く、大好きなプレイヤーだ。

サックスはこれまたエゴの武嶋聡。

15畳くらいの、決して広くないスタジオで、みんなで「せーの」で1発録り。

ピアノは、1930年ごろに作られたという、超ビンテージの STEINWAY GRAND 。
鍵盤は、象牙で出来ている。美術工芸品の域。

練習で軽く合わせてみて、「じゃ録りまーす」の一言で、まずテイク・ワン。
ばっちり。

もう1回くらいやったかもしれないが、テイク・ワンが OK テイクになった。

何度もテイクを繰り返すと、だんだんまとまった音になってくるのだが、やはり最初にやったテイクに、全てのエッセンスが詰まっている。それは間違いなく。

その日は、テイク・ワン・ラッシュ。ダビングしたパーカッションやシンセ、サックス(武嶋くんお任せのラインによる、ブルージィで素晴らしい楽想)も全て1発OK にした。

武田さんも、1回録って、その次のテイクがOKテイクになったが、通常しょっぱなは実質、練習みたいなものなので、実質テイク・ワン。

やはりこの曲には、得がたいマジックがあったとしか思えない。

それだけに、思い入れもひとしお。発売から数年たった今も、多くの人たちの心を打つ楽曲として、愛されている、らしい。

「ANGEL」。




「ANGEL」も、相当な推敲を重ねて、譜面は消しゴム、修正液の跡だらけ、みたいな、かなり作りこんだ曲だった。

その後は、映画の撮りと、自分のソロ・アルバム「Le Ciel Bleu」の制作があったので、いったん一休み。

「みるめのテーマ」等のピアノ曲、その他の劇伴曲10数曲は、3月の終わりから1週間くらい、締め切りの 3日前くらいに仕上げたような気がする。

もう完全に、「火事場のバカ力」モード。


ただ、監督の井口さんの自分的尺度、イケてるかイケてないかのジャッジが、純度が高いというか、瞬時に判定してくれる人だったので、その辺は非常にやりやすかった。研ぎ澄まされたカンを持つ人である。

残りは、4月中旬に、河口湖スタジオを3日間押さえて、録りきったな。

初日は「みるめ~」とか、ピアノ曲をずらっと。仕上がっている映像をみながら、
「このシーンから始まって、ここのタイミングで曲を終わって下さい」みたいな、
映像見ながらピアノを弾く、シビアな作業だった。

夜に、東京からベースの真船くんとサックスの武嶋くんが到着して、スタジオに入ってきた瞬間、「待ってました!この曲弾いてくれる?」みたいな、あまりにも無茶ないきなり REC にも、素晴らしいプレイで応えてくれた。「ファミレス1」だったかな。

2日目は、古いレコーダから取ったみたいな、劇伴曲を。
ドラムの菅沼くんがその日 NG だった。でもリズム欲しいな、みたいな話になって、サックスの武嶋くんに急遽、スネアをスッタカスッタカ叩いてもらった。
さすが筋がいい。大阪の通天閣みたいな、くいだおれ人形みたいな、なんとなく浪花っぽい、コミカルなテイクがいっぱい録れた。

バイオリンは阿部美緒さん。本来だったら数人でカルテットとかでやる局面も、ダビングで全部演ってくれた。デモが元々鍵盤で作ったので、バイオリンで出ない低い音域とか、弦をゆるめて弾いてくれた。
偉大なるフレキシビリティ。

腕のいい人ばかりなので、あらかじめ用意した譜面をさくっと見て、難なくばっちりこなしてくれた。ほんと有難かった。

高原にあるスタジオ。シカの群れが、10頭くらい遊びに来たこともあったな。

3日目は映画のテーマ・ソング、フィッシュマンズの名曲「いかれたBaby」を。
バンド全員そろって、せーので録音。
春らしい、ふんわりとやわらかい質感の、いいテイクが録れた。

途中、時間が余ったので、シンガーの MariMari ちゃんと、「なんかやってみっか?」ということで、ほんとに遊びのつもりで、「いかれた Baby」をピアノと歌で演ってみようかと。これに関しては、録ってるつもりはなくて、ほんとにちょっとした気まぐれで。

これも1発。なかなかいい演奏だったのだ。
あれ、ひょっとして、今の、レコーダー回ってなかったかな~?と思って、コンソールのほうに目を送ると、「今の録ってたよー^^」とのエンジニアのお言葉。

曲のド頭がブツ切りで始まっているのは、そういう訳。

「いかれた Baby ( unplugged )」が収録されているのは、そういったいきさつ。

この曲も「奇跡」だ。そして、MariMari と、この曲を一緒にREC している、という事実に、魔法のようなめぐり合わせを感じていた。その時。


河口湖で録った10数曲。最終日、夜中のスタジオで、25:00 くらいから始めたかな?駆け足で、全てミックス作業。終わったのが 06:30 だったような。
これはきつかった!

河口湖からの帰りに、エンジニアの山口泰さん(この人も偉大なフレキシビリティの塊)と、日帰り温泉行って、どこかで手打ちそば食べて、すごく救われた気分だったな。


さてこれで全て終了、お疲れさまでした!!!という段階で、エンディングに使う予定だった「いかれた~」が諸般の事情で使えないらしい、という事態が勃発しまして。

監督とプロデューサー含め、頭を抱えて悩んだあげく、やはりフィッシュマンズのカバー、という点には是非ともこだわりたい、という監督のお言葉。

かくして、やや勢いのある楽曲「MY LIFE」が選ばれた。私がフィッシュマンズに在籍していた頃、直に携わった楽曲を。

じゃあ、いつRECするんだ?という話。映像と音楽の音合わせは、1週間後に迫っている。・・・この辺の流れはライナー・ノーツにも書かれているが、私が直近に、大阪のスタジオで、別企画、別制作のアルバムを録音する、という予定になっていたので、じゃあそのプログラムが夜中に終了してから、朝までそのままスタジオを借り切ってやりましょう。皆さん大阪にお越し下さい、と。
かなり無謀なプランニング。でも、もうそれしか手がなかった。

ちょうどその時、別企画のRECでバックをお願いしていたのが、大阪のスカ・バンド、仲のいい The Miceteeth の面々。

ドラムの金澤くんとか、ベースの和田くんあたりは、中学生のころ、私がいたころのフィッシュマンズをクアトロで見たことがある、と聞いていた。

じゃ、流れ的にばっちりじゃん?と、自分の中で閃きまくった。

谷町4丁目の WANSK STUDIO で深夜のレコーディング。MariMari ちゃんも駆けつけて、怒涛のセッション。
5,6 テイクくらい録ったかな。井口さんが選んだのは、多少ヨレてはいるものの、
モリモリと勢いのあるテイク。
0泊2日で、皆さん帰京。

映像と音楽の音合わせ、その前の日の話。ギリギリ、セーフ。


もっともっと、書きつくせないエピソードもあるのだが、感嘆したのは、監督井口さんの閃きと、直感。何度助けられたことか。

このサントラ盤に関しては、実質上、井口さんと私の共同プロデュースと申し上げて差し支えないと思う。

そしてプロデューサーの西ヶ谷氏(東京テアトル)、いつも温かく見守ってくださった、アソシエイト・プロデューサーの相良みどり女史(お元気ですか?)、またその他、多数関わって下さった、優しい優しいスタッフの方々には、今もって感謝の念を禁じえない。

音楽はもとより、映像制作も、今までなかった大胆な「間」と手法で持って、おそらく手探りの感もあったであろう現場だが、映画は結果、予想された興行成績を大幅に超える、大ヒット作となった。

このアルバムも、監督の類稀な感性によって、自分の知らなかったポテンシャルを存分に引き出してもらった、言ってみれば実に愛着の深い作品なのです。

発売後2年経った今も、ロング・セラー街道驀進中!


こちらで試聴できます。