寂光
ともだちのお母さんから
もう長くはないのですよと
聞かされていたから
いくら 月の輝く夜でも
病院へ向かう
ぼくの足取りは重かった
部屋を訪ねた時
眠っていたともだちが
何かの物音で目を醒まし
「やぁ 来てたのか」と
さみしそうに笑って
てのひらを合わせ
同じ経文を
三度くりかえした
ともだちは上体を起こし
生きてることを
たしかめるみたいに
ゆっくりと 時間をかけて
みかんの皮を剥ぎはじめ
窓から射す月の光は
今たしかに在る
ともだちの
この世のかたちに
ひそやかに
降りそそいでいた
清崎進一著 ”新選組になればよかった” より
私が時々紹介させて頂く、清崎進一さんの”新選組になればよかった”の中に
よくこのブログに遊びに来てくださるmisakiさんの
若くして亡くなられたお友達が好きだとおっしゃった詩が三編ある。
改めてこの詩を読むと、詩の主人公とお友達が重なって涙が溢れた。
若くして逝かれた方のご冥福をお祈りし、
今回は「寂光」を捧げよう。
ともだちのお母さんから
もう長くはないのですよと
聞かされていたから
いくら 月の輝く夜でも
病院へ向かう
ぼくの足取りは重かった
部屋を訪ねた時
眠っていたともだちが
何かの物音で目を醒まし
「やぁ 来てたのか」と
さみしそうに笑って
てのひらを合わせ
同じ経文を
三度くりかえした
ともだちは上体を起こし
生きてることを
たしかめるみたいに
ゆっくりと 時間をかけて
みかんの皮を剥ぎはじめ
窓から射す月の光は
今たしかに在る
ともだちの
この世のかたちに
ひそやかに
降りそそいでいた
清崎進一著 ”新選組になればよかった” より
私が時々紹介させて頂く、清崎進一さんの”新選組になればよかった”の中に
よくこのブログに遊びに来てくださるmisakiさんの
若くして亡くなられたお友達が好きだとおっしゃった詩が三編ある。
改めてこの詩を読むと、詩の主人公とお友達が重なって涙が溢れた。
若くして逝かれた方のご冥福をお祈りし、
今回は「寂光」を捧げよう。