前回書いた、カツァリスの3月3日茅ヶ崎公演は 「とんでもなく」 素晴らしかった。当分
これほどのには出会えないだろうと思っていたら、そのわずか二週間後に プレトニョフ と
東京フィルハーモニー交響楽団 がこれまた見事な、忘れられない演奏をきかせてくれた!
(3月17日 オーチャードホール)
失礼ながらこれまで東フィルについて、プレトニョフ手兵のRNO (ロシア・ナショナル管弦
楽団) とのコンビには遠くおよばないと思っていた。しかしこの日のグラズノフの 『四季』
はそれを完全撤回させるに十分なもの。
ゆっくりと、いつくしむようにメロディーの弧を空中にえがくプレトニョフの指。その指に
すべての響きが集まり、オーチャードホールの高い天井へのぼってゆく。
全員が心をひとつにして自然への愛をうたいあげる、奇跡のような瞬間がおとずれた!
プレトニョフがはじめて東フィルを指揮したのは2003年だから、もう十年も前になる。
残念ながらその演奏会は聴きのがしてしまったけれど、その前月にソリストとして出演
したベートーベンのピアノ協奏曲全曲のほうは聴くことができた。変幻自在にして強烈な
オーラをはなつピアノに、オケがくらいついていくようすは 「ピアノで指揮をする男」 の
面目躍如 (『皇帝』 ではプレトニョフがナポレオン見えてきたくらい!)。ただN響のときと
違ってなんだかお互い惹かれあっているような、あたたかい雰囲気を感じたんだよね。
あれが原点だったのかな… あのときプレトニョフの指はピアノという楽器をかいして東
フィルのメンバーとつながっていたけれど、今はもう直接つながっている。
ところでプログラムの前半、これも楽しめたんだけど (マエストロ自作のジャズ組曲!^^)
後半のグラズノフがあまりにも素晴らしかったためか、ほとんど印象にのこっていない(笑)。