今夜の会場は、いわゆるホントの小型ライブハウス。
舞台前には、50席ほどの折りたたみイスが置かれ、
その後ろには、高いドリンクテーブルとイスのセットが5組
12.3人が座れるようになっていますが、
その他はスタンディングで、後ろの方のお客さんや
後から会場に入ってきた人は、決して見やすいステージ
ではありません。
全員スタンディングで、盛り上がるパンクバンドなどに
一番向いているかも知れません。
■今日の出演者
1番手は紅月ノリコ
2番手がギャンちゃん
3番手、arp
4番手 Kat
ラスト RYTHEM
・・・でした。
武部さんつながり・・・という贔屓目をなくしても
ギャンちゃん以外で何とか聞けたのは、RYTHEMだけ。
想像以上にしっかりとした女性二人で
なかなか年季の入った音と楽曲でした。
まだ若いのに、ちょっと器用貧乏になってしまうんでは・・・?
と逆に心配したくなるような、
変に場慣れしたところが若年寄みたいで、
僕の第1印象では、逆にマイナスポイントでした。
他のバンドはいちいち話したくないくらい
詩に対する姿勢がいい加減で、
一種冒涜と感じる部分もありました。
勘違いと冒涜が重なると、これより怖いプロはいません。
プロデュースの問題でしょうか?作為的すぎました。
単純にピアノの演奏だけとっても、ギャンちゃんはピカイチ。
上手さと表現力が際立っています。大人のピアノです。
武部さんに言わせれば、
「まだまだ鍛え方が足りない」と言われるでしょうが、
ただの弾き語りではない、バックボーンとしての音楽的素養と
ライブで養われた真の実力が「出すぎてない」ところが一番のミソ。
あ~ぁ あの渋谷DUOのライブを、みんなに見せたい!
普通に良い曲を書いて、唯一無二の個性を出すこと
それが、どんなに難しいことか・・・
ユーミンを知ってる武部さん
ユーミンを聞いてきたギャンちゃん
この、コンビだからこそ、成せる神業です!
■で・・・ギャンちゃん☆
今夜は2番手か4番手かな?とは思っていたものの
暗いステージの右側からゆっくり出てきた姿を見ても
出てきた瞬間には、ギャンちゃんだと
・・・ちょっと気が付きませんでした。
ヤマハのエレピ1台の、まるでインストアーライブのような
シンプル(?)な舞台。
短めのスカートに変形ポニーテイルの髪上げセット
ハイヒールを履いていたので、背丈もさらに高く感じました・・・
でも、まだ暗いステージの上
ピアノの前に座り、スーッと息を吸い込み
聞きなれたイントロが流れてきて初めて、
お仲間と顔を見合わせてしまいました。
また、グランドピアノではないので
いつも以上に正面を向いてのパフォーマンスになり
足で、ペダルを叩けない分、
感情のうねりとリンクしたアクションが、
ちょっと多め(?)で、
今夜のギャンちゃん、
結構、見て楽しめるギャンちゃんの要素大!でした。
インストアーライブをステージで見てる感じ(?)でした。
もちろん良い意味で。
1.誰かが誰かを
数々のライブでトップを飾ってきた名曲。
前回のイクスピアリ復活ライブは、
なかば必然的に「願い唄」だっただけに
今回が本当の再スタート!という意味ではふさわしい曲でした。
何度聞いても惚れ惚れするような、ピアノのイントロ、
この美しい音色はギャンちゃんの必殺技!
姿かたちにちょっとビックリさせられた、出だしでしたが
この曲で一安心、
またひとまわり大きくなった感じで聞き終えました。
最初にギャンちゃんコールを出来なかったので
この曲への拍手の余韻にまぎれて「ギャンちゃ~ん!」
ギャンちゃんのお返しは「は~い!どうも~」でした。
「楽屋で若いパワーをたくさんもらって来ました!」
「どこに行っても、最近・・・最年長なんです~」
なんて、話しから
「子供の頃、季節はずれの歌を唄うと親に凄く怒られた・・・
それを凄く覚えていて、だからって訳ではないんですが、
こうして自分が歌を書くようになって
それなら、どの季節に唄っても良い曲を書こう!と思いました」
「季節の移り変わりの、やるせなく脆いところは
言葉にしづらい・・・
それは、人を好きになる恋する気持ちにも似ていて、
そんな風な四つの季節を書いた歌があります」
っていう、ちょっと珍しい曲紹介で・・・
2.桜色舞うころ
桜色の照明が美しく、これもイクスピアリでは無かった曲で
昨年はレコードが擦り切れるように何回も聞いた曲ですが、
随分久し振りに聞いた感じがしました。
長くて色っぽい曲ですね、やっぱり。
最近、個人的にもじっくりと詩を読み直している曲だったので
こうして、弾き語りでじっくり聞けたことは大満足でした。
そして、MCなしで
硬質のピアノのイントロが印象的なあの曲・・・
3.旋律
ピアノの上の譜面をひっくり返したので
「ピアノ」かな?と、思ったら聞こえて来たのは・・・
あのイントロでした。
重いテーマと踏んだのでしょうか?照明がバックとサイドだけで、
表情が十分に見て取れなかったところが、
ちょっと残念でしたが・・・
これ本当に良い曲。
このカップリングで新曲「ピアノ」への期待感が倍増されました。
このメロディ、この詩が
CD化され文字となって目の前に現れる・・・
そんな瞬間を思い描くだけで、瞼が熱くなります。
「立ってる皆さん、足が痛かったらゴメンナサイ
座ってるみなさん、ラッキーですね!」
「昔から私は旅行とか行くことが、あんまりそれが楽しみだと
もう一日目から帰る日のことを思って、気持ちが・・・沈んだりして、
なんか、そういうの凄くよくないなあ・・・
と思いながら大人になったんですけど、
そういう、いいこと幸せな気持ちを無くしてしまう事を恐れる気持ち、
みたいなものが、私が歌を書こうと思った最初の気持ちになったな・・・
と今では思っています」
そして、イクスピアリとほぼ同じく
病気と手術の話しから、ピアノにまつわる話しがここでありました。
ギャンちゃん的には、
今日は、あんまりうまく話せなかった(?)って感じでした。
ただ、この曲紹介も今のうちは良いけど
自分の大病や手術の話しなどは、
わざわざ曲に添える必要はないと思うので、
メディアへの一定の露出が終わった後は、
もう少し広い意味合いを持たせ、
人の死や生、去る人と送る人への唄・・・
との曲紹介でいいように思います。
それでも充分説得力があります。
まあ、そこいらは作り物ではなく、
正直に唄って話しているギャンちゃんなので、
自然に良い方向へ変わっていくように思います。
たった、2回で、
本人の話すテンションが、
こんなに前向きに変わってるくらいですから。
全然、心配することではありませんが、
欲を言えばもう一歩、違うスタンスでの
(良い意味での)売りが欲しいところです。CDに期待します。
でもでも、これもちろん空前の名曲。
「そんな手術のゴタゴタの寸前にこの歌を書いて、
レコーディングをさせてもらって
そのことも、
ホントに歌い手としてありがたいことだったんですけれど、
その歌が晴れて10月10日にリリースされることになりました」
「前以上に元気になったので、これからはこの歌を
大切に届けていきたいとおもいます」
4.ピアノ
照明が真上からのスポット一発に切り換わり
ステージもいよいよ佳境に入ります。
ギャンちゃんの演奏はこの日の曲のなかでは、
やはり一番熱いものでした。
特に「・・・悔しさと」の「くや~ぁ しさと」ってとこは
いきなり泣けます。
私が先にいくのは、ほんの少し
いたずらな風、吹いただけ
言葉にならない夜はピアノを弾いて
二度と叶わない音で
空へ旅立つ 私のために
そして今夜の終曲
「いろんなことがあって、少しは成長したかな?とおもいきや
元気になったらなったでまた、いろいろ欲が出てきて
ぐるぐる悩んで、一歩進んでは一歩下がる・・・
という感じで日々を過ごしていますが、
いつまでも、そんな感じで、自分の素直な気持ちを切り取っていって
皆さんの、何か力になれば嬉しいなと思って唄っています」
「今から15年ぐらい前、はたちぐらいの時の曲で
一番長く唄い続けている曲を、
今日は最後にお届けしたいと思います」
「今夜はどうもありがとう」
この「ありがとう」が、とってもいい「ありがとう」でした。
5.ずっとはるかあなたと
これは「ピアノ」が生まれ出たことで
見事に強化再生された曲。
できれば、「ライブではいつも続けて唄われる曲」なんていう
新しい生き方をあげて、少しでも多くの方に聞いて欲しい曲。
聞く人にとっては、いつも新曲となることが可能な
とても鮮度の高い、極上の味わいが
ひとつひとつの言葉の隙間に溢れ出てきています。
今日はこの曲。
とても力強いピアノでした
そして、この3~5の連鎖は、ギャンちゃん史上最強です。
心にたっぷり涙があふれます。
「どうもありがとうございました~」
舞台裏への消えぎわに、可愛く手を振るギャンちゃんは
ご本人の言うとおり「前よりも元気」でした。
■会場を出たのは、もう夜の10時をまわっていました。
RYTHEMがちょっと救ってくれたけど
持ち時間30分で
ギャンちゃん2番手での3時間半というのは、
ちょっとキツイかな?
でも、スタッフの手作りの暖かさがとても心地良い
後味の良い、さわやかなライブでした。
今のままだとどう足掻いてもインディ止まり
ギャンちゃんのあともダメだったんですね
RYTHEMは知ってたし、新曲もちょっと良いかなと思ってたんで
聴いても良かったけど、まあ帰って正解でしたか
「ピアノ」ってギャンちゃんVerの「ひこうき雲」のような
「千の風のように」のような..
ちょっと外れてるかな
ユーミンは「死」の歌
たくさんあるんですよね・・・
僕も「千の風・・・」は、
ちょいよぎりました。
でも、そっちへ行っちゃいけないな、
・・・と
もっともっとパーソナルに
ネガティブに
シンガーソングライターらしく
唄い込んで欲しいですね。
はい、帰って正解でしたよ!(苦笑)
ってか、帰れるのが羨ましかった…
一人終わるごとに、
そのアーティストのファンに聞こえたら
絞め殺されそうな辛辣批評をしまくってました。
「ピアノ」を思い出すたびに頭をよぎるフレーズ、
「ほかの人にはわからない」
という想いが通底していると感じました。
決して、「わかんないでしょ」と突き放すのではなく、
こちら側が「経験しなくちゃ分からないんだよなあ」と
感じさせるような。