Halftone Music presents ~MUSIC DIG~
◆会場:渋谷O-nest(渋谷区円山町2-3-6F)
◆公演日:2007年10月5日(金)
◆時間:開場19:00 開演19:30
◆出演:川江美奈子、Jusqu'à Grand-père、masterpeace
武部聡志、鳥山雄司
■生憎の雨も降り出した金曜日、渋谷百軒店の夜
O-WESTもO-EASTも全会場でライブが実施され
夜5時過ぎ~7時の時間帯は、交通整理の警官も出ててんやわんや・・・
そんな中、整理番号の順番も関係なく、何の呼び込みもなく
いきなりの開場~★
入ってみたら、イスは5列の約100席のみ
しかも後ろ2列は、全て「関係者席」として確保
先に入った一般客も席が、、ほとんどなく座れずに、
「関係者」のために確保された、その席の後ろで立ったまま~★
最後部や一部に席を設けるならまだしも
こんな小さなライブハウスの会場中央に、
たった100席のうち40席近くも「関係者」に割く始末~★
さらにさらに「関係者」のほとんどは
開場時間を過ぎてもなかなか現れず
開演を10分以上もおす始末
もちろんライブが始まっても空席がたくさん~★
おまけに開演の遅れを知らせる、無愛想な
敬語しらずのシロウトMCにイライラ~★
今回のライブの性格上、やむを得ない会社の事情はあるでしょうが
「観客」と「関係者」どっちが大事なの?という開始前でした。
ただまあ、各事務所スタッフの方々や会場スタッフの方々も
てんやわんやの大騒動なのは、見ていても手に取るようにわかり
みんなが一生懸命駈けずり回っている状況では、
観客の分際であまり執拗な苦言を呈することも出来ず、
状況をお伝えするに留まりましたが・・・
それも会場の観客のムードがとても良く、
これから始まるライブが「かなり良さそうなもの」であることが
充分察知できる内容だったからで。
実際、始まったライブは本当に楽しいもので
そんな事務所や会社のぐだぐだなどは、忘れさせてくれる
2時間強でした。
■masterpeace
開場のライトが落ちると、ステージに飾り気のない男性がひとり登場
開演前の無愛想なMCの主が「こいつだ!」とわかり
ちょっとムカムカしましたが、その人物がmasterpeaceその人と
分かったことで、まあいいか・・・という感じでのスタートでした。
開演前のMCってのは重要だな。
「最後まで、長くなりますが、楽しんでいって下さい」
1.アメイジング・グレイス(ハープ・ソロのみ歌なし)
2.monogatari
3.LOVERS
相当に緊張しているに違いないブルース・ハープ
御世辞にも上手いといえるピアノではなく
ボーカルも曲も実に未熟。
それが良いといえば、それまでで
武部さんは、後のコーナーで彼の楽曲のコード進行の独自性などを
才能としてほめていましたが・・・
詩の内容にまで興味を持つようなミュージシャンでは
ありませんでした。
今夜のライブは、2曲歌ったところで次のアーティストを紹介。
最後の1曲を次に登場のアーティストとコラボして、バトンタッチ!
という段取りで進められました。
腕達者なミュージシャン達だからこその展開。
なかなか楽しめる、こういうライブならではの「お宝」でした。
ここでギャンちゃん登場です。
ギャンちゃん貫禄あります、
髪にウェーブを軽くかけ、細身のジーンズが良くお似合いな
ちょっとアダルティなギャン姉さん♪
「今日の紅一点!
今日は彼女の演奏を聞きに来たんだよ!
ってかたもたくさんいると思うんですが・・・
紹介します!川江美奈子~!」
「こんばんわ~!」
「は~い!」なんて感じで始まりました。
「なんかいつも酔っ払ってるみたいな感じ」
「なんとなくこうホロ酔いのひとみたいな・・・」
とmasterpeaceを、メチャクチャな紹介。
フォローするものの
「本当にやさしいひと、彼といると自分が腹黒く思えてくる」
・・・もう、スタートから舞台はギャンちゃん独壇場。
リハーサル中も彼が演奏を間違えたりすると、
「ハイ!もう一回!」と、結構手厳しかったらしい・・・
「ああ、そういうことバラすのねぇ・・・」と、ギャンちゃん、
斜め目線がちょっと恐い。
で、選んでくれて曲は
二人が好きなジェームス・テイラーも歌ってる曲、ということで
ギャンちゃんファンにはおなじみ。
「まあ、やってみようか?」と始まりました・・・
4.The Water is Wide(w/ギャンちゃん)
ギャンちゃんは中央の椅子に座ったまま、
masterpeaceがピアノ弾き語り。
アレンジは、アイルランド色はなく
どっちかというと、ウエストコースト風に
ハモリを活かした、シンプルなピアノバック。
こういう荒削りな感じなこの曲も、なかなかいい。
■川江美奈子
そして、ここからはギャンちゃんひとり。
「あらためましてこんばんわ。川江美奈子です」
「後ろで立っているかたも、お仕事でお疲れでしょうが・・・
どうか我慢してください、すみません」とスタート。
「この曲は春だけの歌のつもりではなく、
4シーズン聞いていただきたい曲なのでぜひ、
今、今のあたりは、おそらく2番の頭あたりに相当します」
5.桜色舞うころ
ちょっとライティングが過剰な感じはしましたが
今夜の「桜色」
秋にふさわしく「虫の声」のイントロから始まり
ギャンちゃんのやさしい微笑がひとつあり
会場からの微笑み返しを受け
あのイントロに流れ込んでいきました。
名曲というのは、こういう曲のことを言うんだろうな・・・という演奏。
前にも感じましたが、
ピアノを叩く、ひとつひとつのフレーズが、
もうギャンちゃんの「声」と化しています。
時としてピアノとギャンちゃんのユニゾンになったり
時には、声がピアノの裏で情景を描く筆の役目をしたり
ギャンちゃんの声にピアノがハモったり
もう、ギャンちゃんとこの曲があってこその
ピアノとの見事なパフォーマンスでした。
その愛すべき関わりへの羨ましさが、
別れの愛おしさに変わってゆくように・・・
次の曲と僕達を見事につないでいきます。
6.ピアノ
今夜の「ピアノ」は、今までのライブで一番の出来でした。
何よりギャンちゃんの気迫が演奏前からひしひしと感じられました。
「待ちに待った新曲です、1年半ただゴロゴロしていたわけでなく、
イロイロなことが私の周りで起きて、曲は書き続けていました。
これを書いたときは、最初はラブソングとして書いたんですけど、
ちょうどそのころ入院をする機会がありまして。
それをきっかけに、またいろんなことを考えました、
その時の素直な気持ちを書いてみようと思って書いたのが・・・
ピアノという新曲です」
今回のトークからは、歌のテーマの幅を広げた曲紹介になっており
必要以上に、自分の病気や死の影を漂わせることは、
控えているようでした
「いく人と、送る人」という、(死も含んだ)様々なシチュエーション
での、行く側のひとの歌として歌われていました。
CD発売を直前に控えて、わずかに羽ばたき
ちょっと浮遊した感触が、実に儚げな光を放っていました。
「では、今日は、ピアノをここで歌います」
一旦、鍵盤から両手を降ろし
イスを少し後ろに引き
少し上を向き
大きく息を吸いこみ・・・
視線を再び鍵盤におとすと
そっとピアノに近づき
その瞬間に、ギャンちゃんの魂が指先からピアノに
流れ込みました。
転調部分と
エンディングのピアノがとっても綺麗。
「秋から冬にかけて、どんどんライブをやっていきます」
って言ってました~♪
ここで鳥山さんを呼び込んで、
ハーフトーンに最近入った話をして
鳥山さんが「新人です」というと
すかさず「後輩で~す」とギャンちゃん
「嘘ですうそうそ、嘘ですよ~!」と叫んでも、もう後の祭り。
耳を赤くしながら毒づくギャンちゃん
鳥山さんが「草鞋を脱いで・・・」って言えば
「やっぱり草鞋たくさん履いていたんですね~」ともう止まりません。
先日の六本木で「スペイン」を歌った話になると
またまた「ボサノバの女王」と冷やかされていました。
そんなお二人の競演は、今回もボサノバ。
二人とも題名がわからず、電話をかけまくったり、ネット調べたり
タイトルが出て来ずに、大変だったらしい・・・
7.悲しみよさようなら (Tristeza / Goodbye sadness)
ヴィニシウス・ヂ・モライスとアントニオ・カルロス・ジョビンの共作
■鳥山雄司
上手いとは思いますが、ベテランなのに味がないというか
むしろ僕はこの人の、エレキ・ギターの方が好きです。
こういう骨のない、無味乾燥なアコースティック・ギターは
正直、あんまり好きじゃないです。
単独ライブは行かないだろうし、絶対CDは買わない音楽です。
8.Away from Home 旅の空から
そして・・・
せっかくだからという事で、PAなしの生ギター演奏で代表曲を・・・
9.世界遺産のテーマ
鳥山さんはここで、京都で大人気!という
ジュスカ・グランペールを紹介。
彼らの十八番という曲を一緒に演奏しました
10.Gypsy Dance 2007
■ジュスカ・グランペール
フランス語で「お爺さんまで」
年をとっても末永くやっていこうという意味でつけたバンド名だそう。
なかなか会場の反応もよく、ライブ後のロビーでは
一番CDが売れていたんじゃないでしょうか?
京都出身ということで、
関西人らしい場の盛り上げ方はしっかり得とくしてて
トークでは、意図的にシロウトらしさを上手い具合に残しつつ
演奏になれば、冗談なしにビシッと決める!
というところが受けてました。
個人的には、あんまり必要ない音楽ですが、
安心して楽しめる音楽としては、今の日本で貴重かも知れません。
11.三条大橋の下で
12.めざめ~Reveil
軽快な演奏が終わり、ホンワカしたいいムードの中
最後に武部さんが登場します。
「ハーフトーンのボス、ピアニスト!武部聡志!」
「さて何やりましょうか?決まってるんですけど」
「バイオリンとガットギター、ピアノという組み合わせで選んだ曲」
・・・はジャズのスタンダード
13.アントニオ・ソング(w/武部聡志)
いつもとはちょっと違う、ジャズ・テイストたっぷりな武部さん
なかなかさわやかな演奏でした。
■武部聡志
そして、ここからは武部さんひとりですが・・・
その前に、カメラがたくさん回っていることの説明。
なんと!武部さんが、
あのNHK「プロフェッショナル」に登場するそうです。
現在は、その取材で24時間カメラが追っかけていて
これが半年続くそうです。
窈ちゃんレコーディングの現場などもイロイロ取材してきたらしい。
でも、それが40分にまとまるから・・・きっと良い物になるでしょう♪
「僕は持ち曲がないので・・・初めて演奏する曲を持ってきました」
という一曲目は、映画「西遊記」の中で、
悟空と姫が雪の中で戯れるという
映画の中でも、実に浮いた変なシーンに流れてた曲。
武部さんは一番良く出来た、と思ってる曲だそう。
14.Princess Reimi(from 西遊記 ピアノ・ソロ)
映画の中ではイマイチでしたが
こうやって、ピクアップして曲のみを聞くと、なかなかの佳曲。
武部さんの演奏も情感たっぷりなやさしい演奏で素敵でした。
■ここで、再びギャンちゃんが登場!
masterpeace、鳥山雄司さんも加わりセッションが始まりました。
そして選曲は・・・
二人のアーティストの、武部さんが思う一番好きな曲
ということで
まずmasterpeace
武部さん一生懸命、ホメて伝えて盛んにフォロー
さすがのプロデューサーです。
最初のパフォーマンスに比べると、随分落ち着いて歌っていました。
15.幹の音
武部さんの、弾きまくりピアノが凄かったです。
ギャンちゃんも軽快なハモリを一発。
そしてギャンちゃん!からはこの曲。
レコーディングがとっても楽しかった話と
今回のライブのテーマにも絡めた、曲のテーマが紹介され
「たったひとつの名前では収まらない、素敵な関係があるはず、
たとえば、お客様と私達も(その関係に)名前はないけど
いい関係じゃないですか?そんなことをうまく歌に出来ないかな?
と思って・・・ちょと奇跡でもあり、私は嬉しく思います」」
16.relationship(最後だけコーラス 武部聡志)
各パートのソロを交え、ボーカルも一部masterpeaceのソロがあり
あの去年の「DUO」を思い出す、
バック・バンド付のギャンちゃんでした。
実に楽しそうにニコヤカに、ギャンちゃんなりにパワフルでした。
最後の最後のハモリは。二人のボーカルに合わせて
武部さんも一声!「relationshi~p!」で会場は大喝采~♪
■最後は、ジュスカ・グランペールも参加し全員で・・・
17.僕らの音楽
鳥山さんが「武部さんの曲で一番好きな曲」と紹介
各パートのソロ・パートをきちんと盛り込んだアレンジで
コーラスもきちんと入ってました。
そして・・・
ここで最後のメンバー紹介でしたが
どうやら、武部さんの紹介の仕方を
アンコール後の紹介方法と勘違いしたギャンちゃんが
「?」と突っ込み
そのギャンちゃんの間違いを「これで、いいんだよ」と
みんなに指摘され
「全て私が悪いんです・・・」と言いながらも
全く悪びれた様子はない、我らがギャンちゃん。
「ということは、このあとにも曲があるわけ?」
とトボけたので
なので・・・
そんなら・・・
「わざわざ、引っ込んでから出てくることもないし・・・
このまま、もう一曲やっちゃいましょうか?」
というボス武部さんの一言で
そのまま、やることに決定。
最後は武部さん自身の選曲。
「一個だけ、真面目な話をさせてくれる?」
「僕がハーフトーン・ミュージックというのを作ったときに
凄く好きなアーティストがいて、そのアーティストの音楽を聴いて
ミュージシャンになろうと思ったし」
「いまだに僕がやり続けているのは、
そのアーティストのアルバムを
越えるものを自分で作れていないから・・なんだ」
「僕にとってはリスペクトして止まない、
スティーヴィー・ワンダーの曲を最後に用意しました」
18.オーヴァージョイド(スティービー・ワンダー)
武部さんが言っているのは、
「トーキング・ブック」「インナーヴィジョンズ」
「ファーストフィナーレ」という70年代の超傑作3部作や、
その後の「キー・オブ・ライフ」あたりのことですが、
この曲はちょっと新しい1985年のアルバム
「イン・スクエア・サークル」からの曲で、もう往年のキラメキは
ないものの、「パート・タイム・ラバー」など
順調にチャートに曲が入っていたころの、良く売れたアルバムです。
黒っぽさもちょっと薄れ、ギャンちゃんらの、
ちょっと若い世代向きの選曲だったんじゃないでしょうか?
でも、いかにも難しそうな曲。
■ギャンちゃんの暴走(?)で、本来アンコールでやる予定の曲が
本編最後になってしまった展開。
作り物のアンコールをやるよりは、むしろとても清々しい終幕でした。
鳴り止まない拍手に呼び戻され、全員が再び登場したものの
「プロとして、ちゃんと練習した曲をお聞かせしたいので(武部さん)」
と演奏なしで挨拶のみ。
それでも、最後の最後の拍手は、さらに大きく長く続くものでした。
「プロフェッショナル」収録の話があったからではなく
開演前のゴタゴタを含め、良くも悪くも
「プロ」を感じさせるライブでした。
アマチュアの手作りも良いけど、プロの手作りの「匠」は、また格別。
王監督が松坂、イチローで優勝した、
WBCの日本チームの凄さと同じような感動を
味わうことが出来ました。
ミュージシャンの方々の一生懸命な演奏
裏で支えるスタッフの方々の汗が見えてくる素晴らしいライブでした。
ステージの上はスリルと緊張が溢れて
手を抜けないプロの厳しさが見えるからこその「手作りライブ」。
演奏後の最後の笑顔まで、みんなが汗びっしょりになって演奏し
観客を、たっぷり楽しませてくれる
こんなライブは格別です。
武部さんの観客の心を射抜く「ボス」としての選曲、
演奏のリーダーシップ。
そして、「夜想フ会」やユーミンでもおなじみ
トマトさんのアーティストを活かす、きめ細かなステージ作り。
見事なお仕事です。
武部さん自身も、出来には満足されているようで
またの期待を持たせてくれるエンディングでした。
END
MUSIC DIG 、そのステージと客席が渾然と織りなす音世界の息吹が伝わってきます。
プロとは形のことではなく、 志 を抱いて 意と感動 を表すことのできる方だと思えます。
ありがとうございます。
またの期待、が嬉しいです・涙。。
ギャンちゃん的に、
「masterpeaceさんは、ハモリおたく心がくすぐられる、
この人とハモってみたい人」
だったとか。
…その割には、
ギャンちゃんが買うほどには、
彼はそんなにハモリ上手ではないと感じましたが(笑)
まあそれでも、生でまたThe Water Is Wide
が聴けたのは嬉しかったけど。
masterpeace、もっとよくハモれ~とやきもきしましたが(苦笑)
ハモリがうまくできるかどうか、
きちんと相手に寄り添えるかは、
「ボーカル二人の編成だから仕方がない」
という問題ではないと思いますよ、noboruさん。
オーバージョイドは、
ギャンちゃん的には低いキーで
多少歌いづらいだろうに、
そこもうまくやってましたね。
これまたギャンちゃんのほうが
ハモリパートが多くて、
きっと彼女的には
「おいしいとこ取り!」
だったんでしょうね^^;
自曲以外をいかに歌いこなせるか、
アーティストとしての実力が問われるところですよね。
安心して聴いていられる、
さすが、ギャンちゃんですね。
楽しまれたようですね。。
でも。
「いいなぁ」とか言わない。
会場のどこかで私も聴いてました♪(笑)
「秋から冬にかけて、どんどんライブをやっていきます」
嬉しいですね
どれか一つでも行けるといいな
レポ読ませていただきました。
ありがとうございました
はい。
素直に期待しちゃいます。
>リラさん
ナイス・フォローありがとうです!
ギャンちゃんは、
初めて聞かされる曲でも
ホント、安心して聴けます。
>ちゆさん
聴いていただいていたようで・・・
ひと安心です♪
どれかひとつでも
また、お隣で。
でも、それ以外は普通かなって感じでした。
この日のギャンちゃんの出で立ちはね年相応に
色っぽかったです(*^^*)ポッ!