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高速道路と「守破離(しゅはり)」

2004-12-07 12:37:45 | Weblog
私が毎回更新を楽しみにしているブログの一つ「梅田望夫・英語で読むITトレンド」の12月6日のエントリがとても興味深かったので反応してみます。

「梅田さんと、将棋の名人として有名な羽生さんとの会話」ということ自体がまた興味深いのですが、それはさておき。その中で「インターネットの普及によって、将棋の世界で何が変わったか」という問いかけに対する羽生さんの次の発言が実に興味深くて面白いと感じました。

「将棋が強くなるための高速道路が一気に敷かれたということだと思います。でも、その高速道路を走り切ったところで大渋滞が起きています」

詳しくは元の梅田さんの記事を読んでいただきたいのですが、これを聞いて「守破離(しゅはり)」という言葉を思い出しました。

「守破離(しゅはり)」とは、元は茶道か何かの言葉だったと思いますが、これはあるものを学び始めてからその道を極めるまでの三つの段階を表した言葉です。「守」は教えを守り学ぶこと、「破」は教えを元にしつつもそれを破るように応用すること、「離」は教えから離れて自分の世界を創ることです。

この話を梅田さんが要約されている将棋の羽生さんの発言に照らしてみると、

「情報の整理のされ方と行き渡り具合の凄さ・迅速さ(序盤の定跡の整備、最先端の局面についての研究内容の瞬時の共有化、終盤のパターン化や計算方法の考え方など)」

という部分が「守(しゅ)」に相当して、

「24時間365日、どこに住んでいようと、インターネット(例、将棋倶楽部24)を介して、強敵との対局機会を常に持つことができる」

という部分が「破(は)」に相当する(「破」をガンガン試すことができる)のではないのかなあ、と個人的には思います。

つまり、昔なら厳しい修行を必要としていた守破離の「守」「破」については、「高速道路」の整備によって、誰もが恐ろしいほどのスピードで達成することができるようになって来ている、とも言い換えられそうですね。

しかし「離(り)」となると、話は別のようです。

また梅田さんが要約されている将棋の羽生さんの発言を引用すると、

「そうやって皆で到達したところで直面する大渋滞を抜け出すには、どうも全く別の要素が必要なようである」

なるほど、本当に深い発言ですね。個人的には、ここでいう「まったく別の要素」とは、抽象的なことですが「その人の思想」なのかもしれませんし、「その人の魅力」とでも言うべきものなのかもしれないなあ、と個人的には考えています。

ここで出てくる将棋の羽生さんは、まちがいなく「離」の境地に達した方ですが、たったこれだけの会話の中からも羽生さんとしての思想が垣間見えますし、また魅力的な人であるということを感じ取れます。

この「離」の境地に達する方法については、多分永遠のテーマでしょう。私も今後、継続的に考えていきたいものです。