灰色の賢者の部屋

RPG一般(特にD&D3.5e)がらみの考察

D&D3.5版におけるエルフの成長と寿命について

2007-11-06 12:45:49 | Weblog
一書に曰く、エルフとは、古代北欧神話集に登場している。エッダにはAlfr[あるふ]とあり、語源にはラテン語のalbus[白]、alpes[山]。古代北欧語のelf、elv[水]などが考えられるが、一般には「白く輝くもの」という解釈がなされている。現在のelfは英語からの逆輸入であり、ドイツ語のalpはナイトメア的な魔物の意である。

そんな、エルフは精霊的なイメージがあり、とても長寿な種族であると言われている。

D&D3.5版のプレイヤーズハンドブック(以後PHB)の日本語版P.107によると、人間の寿命が70+2d20歳(平均:91歳!!)に対して、エルフは350+4d100歳(平均:554歳!!!)と人間の約6倍長寿である。

ところで成人になる年齢は人間15歳、エルフ110歳と約7倍である。

また、D&D3.5版のサプリメント「自然の種族」のP.13によれば、
エルフは25歳で精神的にも肉体的にも成熟するが、もっと歳を経るまでまず子の親になることはない。エルフは100歳にならないうちは、ひとところに落ち着いて家庭を持とうとは思わない。
とある。

さらに、同ページの枠囲みにはこのようにある。
エルフの子供は15歳くらいまでは人間の子供と同じくらいの早さで成長する。 中略 しかし、エルフの肉体的完成を終えるのはもう少し遅く、身長と体重が25歳を迎えるまでに止まるのは稀である。

では、成長期が長いエルフは、人間より大きいのか。PHB P.107で身長を比べると、

人間の平均
男 5フィート9インチ(30.5×5+9×2.54=175cm)
女 5フィート4インチ(30.5×5+4×2.54=163cm)

エルフの平均
男 5フィート(30.5×5=153cm)
女 5フィート(30.5×5=153cm)

エルフの平均が小さい。

また、D&D3.5版のサプリメント「宿命の種族」のP.34によれば、

ハーフエルフは、人間の中で育てられたハーフエルフは、肉体的にも感情的にも仲間よりゆっくりと成長する。

とある。

これを総合すれば、どう判断できるだろうか。


PHBによれば、エルフは6倍成長が遅い、長寿命種族であり、生まれて少なくとも6年間は立つこともできず、下手すると12年間ははってよちよち歩きしかできないことになる。

一方、自然の種族によれば、肉体成長は25歳だから、二倍弱しかない。

矛盾がある場合、もっとも簡単な解答は誰かが嘘を言っている場合だ。

私の考えでは、D&D3.5版のエルフは、自然の種族の二倍弱(約1.7倍)を支持する。ただし、「15歳くらいまでは人間の子供と同じくらいの早さで成長する」は嘘である。やはり二倍弱(約1.7倍)くらいゆっくりかかると考えるのが自然だ。

そうすると、寿命はもちろん二倍弱(約1.7倍)の平均:91*1.6666≒152歳となる。

寿命を短くする根拠は、もう一つある。耐久力である。人間は平均10に対し、エルフは8と不利であり、病気や怪我に弱く、寿命を縮める根本的な原因となる。小さな怪我は魔法で治すこともできるが、通常の魔法であれば、寿命を延ばすことはできない。そのため、長生きは難しいのだ。

また、私の独自の計算によるとコモナーの大半は3レベルまでしかならないことにより、人間で一年当たり100の経験点を得るということになった。それでいけば、エルフは成人時にもっと多くの技能や特技をもってもおかしくないのに、まったく反対で、人間の方が多くの特技と、技能を身につけている。
そのくせ、エルフには知力や判断力にペナルティーがなく、物覚えが悪いという話も聞かないし、イメージと異なる。

それから行けば、二倍弱(約1.7倍)という値は、許容範囲と思われ、すくなくとも25歳から110歳の経験上のブランクという不思議が解消される。

結論は、D&D3.5版のエルフの成長と寿命は二倍弱(約1.7倍)であり、それを6ないし7倍と言うのはエルフのはったりであり、みんなはだまされているのだ。

他のシステム、例えば「指輪RPG」においては、指輪物語直系のエルフのため、ほぼ無限の寿命があった。もっとも、あのシステムではエルフは人間よりほぼすべてで優れていて、なっとくできないこともない。
「ソードワールド」においても精霊界の元住人であり、長寿命なのは、精霊の血が流れているから。

それに、対してD&D3.5版は人間型生物のひとつに過ぎない。他のイメージが強すぎるだけなのだ。


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