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推理小説の新人賞に応募した会心の自信作が、何者かに盗作され別人の作家名で受賞してしまう。
作品を盗んだ犯人は、自身が新人賞に応募するために作家と、その友人を勘違いして殺害してしまい、
更に作家をも殺害しようとする。
作品を盗まれた主人公、作品を偶然手に入れ盗んだ男、そしてもう1人は作品の・・・。
この3人の男が複雑に入り組んだ作品の盗作に於ける驚きの真相とは・・・。
こういった推理小説で、真相は実は夢オチだったとか、主人公が狂っていて実は妄想だったとかは、
描かれている内容の、主人公が見た事、言った事、やった事が嘘になってしまうから、
それを信じて読んでいた読者が、最後に大いにシラけてしまうから絶対にやってはいけない
掟破りの手法だが、今回の作品は、逆にそれが功を奏していると自分は思う。
でも、その手法に失望し怒りを覚える読者も多くいるだろうとは思うが。
折原一の作品は、おそらく初めて読んだと思われるが、同作家の他の作品も読んでみたいと思った。
多少雑な面と、いくつかのツッコミ所はあるが、斬新で久しぶりに面白いミステリーを堪能できた。
そして、ある事がきっかけで、偶然この作品に出会う事ができた幸運に感謝したい。