自らこの世を去った
成人式前の男の子の一周忌が
キャンセルになった
半年前に予約していたが
大都市近くの海に散骨し
一周忌をやる意味が見出せない…
との理由だった
違う檀家さんから電話が入る
『主人の為の墓地が完成した
開眼供養をお願いしたい』
『いつがいいですか?』
『○日の大安がいいです』
男の子の一周忌が
キャンセルされた日だ
『分かりました
お時間は何時がいいですか?』
『あんまり早くても大変なんで
法事と同じくらいがいいです
用意する物は?』
『お酒一升瓶、塩、線香、水…
季節のお供物は用意してもしなくても
お任せします』
『近所に聞いたんだけど以前は
お祝いだから鯛なんかも用意したんだって?』
『はい。でも昔ですよ
今は負担にならないようにしてます』
『じゃあ赤飯、紅白餅用意しても大丈夫?
気持ち…だからさ』
『ありがとうございます』
そうか
その日は大安だったんだ
同じ日
同じ時間
【悲しみの一周忌】ではなく
【喜びの若くしてなくなった
御主人のための開眼供養】…
悲しみの仏花…供物ではなく
喜びの赤飯…供物
仏事は仏事でも
意味がまったく違う
そして
仏事が出来るのは幸せな証拠…
『人は最期どうやって死ぬかだよ』
と知り合いから言われたが
大黒さんは
皆さんで
仏事を行える最期であってほしい
心からそう思う