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酒のツマミになる話題をセッセセッセ。独断偏見は”味付け”です※文中の敬称は略。

その12~院内から甲子園のカクテル光線を臨む

2024-05-25 | 日記
悶々としたベッドの上で、つくづく幸せだな、と感じる。
これがガザやウクライナなど戦火の病院なら、インフラは突然の空襲でズタズタ。
コンピューター制御で管理された医療システムは、とんでもないことになる。
若い看護師たちは、パソコンのデータ管理にかかりっきり。
これが停電、システム崩壊などになったら、助かる患者も命を断たれる。
もちろん、我が身も同様。
ベッドでのんびり治療など受けていられない。
阪神大震災などの天災もそうだ。
助かるはずの命は無念の思いをしただろう。
さて、とうとう入院生活も2か月目に突入した。
退院の心地よい声は未だ聴けない。
けれど来るべき日に準備は怠りない。
元球児のリハビリ師Kくんのお墨付きを貰った。
「それだけ歩ければ、もう大丈夫ですよ」
付き添いを卒業した。
今は点滴ポールにドレーンをぶら下げ院内通路を歩く。
朝昼晩の食後、がらがらポールを引きながらリハビリ。

だが、いくら歩いても1回800歩がせいぜい。
それでも、距離を伸ばすと違う風景が見える。
武庫川河川敷の向こうに、目映いばかりのカクテル光線。
8階の待合室の窓越しに甲子園球場が見えた。
まだ歩けない頃、看護師に聴いた。
「夜はここから、甲子園球場の光は見えるんじゃない?」
「さあ、見えないんじゃないですか」
近いはずなのに、そんなものか?と思った。
よく考えれば彼女たちは、夜景を見る余裕もなく多忙なのだ。
加えて若い看護師たちの野球への関心は薄い。
話はそれた。
そんな甲子園の灯の下、GT戦が行われていた。
巨人右腕の戸郷翔征がノーヒットノーランを達成。
伝統の一戦での甲子園快挙は、あの澤村栄治以来、88年ぶりだった。
我が体内のノー菌ノー膿瘍は、いつ達成出来るか?

患者の出来ることは体力、免疫力をつけること。
出されたものは、完食する。
昔から好き嫌いのはっきりした偏食主義だが、院内ではそうもいかない。
食って歩いて、痛みに耐えて、、今はそれしか出来ない。