手の震え メスを使わない最新手術
手の震えをメスを使わずに治療できる最新手術として、経頭蓋集束超音波照射治療(FUS)があります。MRI画像を使って脳深部の振戦の原因となる神経活動の異常な部分に超音波のエネルギーを集束させて照射し、熱凝固することでふるえを軽減させる治療法です。皮膚を切らずに体外から超音波を当てるため、従来の手術療法と異なり、頭を切らずに治療することができます。
FUSは、2019年に本態性振戦に保険適用になった新しい手術です。本態性振戦とは、原因がはっきりしていない振戦(しんせん)を指し、振戦とは自分の意志に反しておこるリズミカルなふるえを意味します。
FUSは、約1000本の超音波のビームを一点に集中させて温度を上昇させるため、皮膚切開、穿頭、脳に電極を刺入することなどが一切不要で、患者さんにとってストレスが少ない手術です。ただし、欠点としては、超音波が通りやすくするために全剃髪が必要になります。
また、難治性の震えで、薬での軽減が乏しい場合に、脳外科的な手術で震えを軽減できる場合があります。脳の震えに関係する数ミリの狭い部分を電気的に破壊する手術(電気的凝固術)、破壊する代わりに細い電極を埋め込み電気刺激を行う手術(脳深部電気刺激法)などがあります。