異形の仲間たち見聞録

私が見てきた精神疾患者たち

小説『呆け茄子の花 その二十四』

2017年03月03日 21時17分00秒 | 小説『呆け茄子の花』

精神科のプログラムで「外部講師」としてではあるが、

毎週土曜一度の90分が唯一の「就業時間」であった。

尚樹は、自分が「健常者」のときに比べると、

とても「働いている」というものでは無かった。

そして、もう一つ彼が自身で「拘束時間」としていたのが、

卒業した大学の「もぐり」での講義受講であった。

ただ、問題は片足の尚樹は「もぐり」での受講は目立ちすぎたが

本人は「卒業しましたが、ひきつづき・・・」と、大学講師にことわって受講していた。

受講している講義の内容は「佛教における時間論」というあまりにも地味であったが

「重箱の隅をつつく」様な学びは尚樹が好むところであった。

この「二つの拘束時間」を除く時間がどのように混乱して乱れていても

寝て過ごすことはなかった。

内心「物足りなさ」を感じながら心は徐々に焦り始めていた。

 

その二十五に続く・・・

 

 

 

 

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