ハチの家文学館

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全身詩人、吉増剛造展

2016年07月09日 10時29分51秒 | ハチパパのひとり言

東京国立近代美術館で開催中の『全身詩人、吉増剛造展』に行ってきた。いま彼は77歳。

あまりにも衝撃的、前衛的で、理解できないものの、身震いを感じずにはいられなかった。


2㍉程度の微細な文字がびっしり書き綴られた夥しい文字の数々、銅板の巻物に刻まれた詩、また、多重撮影の荒々しい写真などからも異色というより、鬼才という感じがした。

また、1㍍四方の紙や原稿用紙に書かれた詩作品、大量の肉声カセットテープなども展示され、吉増氏自身の詩の朗読とともに映像作品も映し出されるなど、詩人展としては考えられないスケールの大きいものだった。

20代から書き綴ったノートの原本も展示され、書き写しはOKだったので、一部掲載しておく。

日誌 1960.1.13

何でも屋のオレは、この先の死ぬまでの時間                                                       をどう過ごそうとしているのか                                                                   判らない

何か未来があるような錯覚を近頃している                                                       人間に一定のカーブがあるような錯覚                                                                  楽に食うための手段ばかり考えている                                                  退屈せずに                                                                認められて                                                                 親に対しても

そんなことが自分の欲望かもしれない

はっきりしていることは                                                              恋をしたいこと                                                                創造したいこと                                                                 (人工美を)  

そんな職業に従事することと混乱する程                                                       自分は頭が悪いのだ

カメラマン                                                                  美術評論家(演劇 映画 評論家)                                                          小説家                                                                                                                  バーテン                                                                                  船乗                                                                                 土工                                                                         板前                                                                                映画監督                                                                                   シナリオライター                                                                                                           スポーツ記者                                                                カメラマン                                                              

詩 人 (職業ではないからだ!)

愛したい

 人間を!

   女を!

   太陽が消え果てる程!

 

1961.9.19 頃 昭和36年 22才

中略

を難解にする作業をぼくは始めようと                                                             思う。                                                                     ぼくはあまりに判らせるために、明らかに                                                                 するために、詩の中心を分裂させ続けた。                                                       詩を難解にする。

 

1965.10.14 昭和40年 26才

さあ酒だ!  肉だ!  性交だ!                                                                                                                                 生活の考えられるだけ悲惨な構造を                                                     厳密化さだめよ!

第一 三彩、可能な限り早く退職、いざとなったら

        無責任に放棄せよ!

   その後約半年・・・思考の連続

第二 住居 安アパートを借りるか

第三 結婚 長いスランプの原因を立ちきる

   ためにSexの満足も必要だ!

   そのため、唯一の親孝行のために

   子供を作る

   あとは知らんぜ・・・

        候補・・・=====

   これは甘えか           

        そうではない

        熟考せよ!

 

28/7/8記 

(展示の一部は写真撮影OK。金髪の若い女性など外国人の入場者も目立った)

 

 

 

 



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