昨日の夜。
先に自分の晩御飯を食べ終えて、
おわんなどを洗っていたら、
玄関のドアの鍵がガチャガチャと、
開けられている音がした。
夫が帰ってきたんだな、と思い、
冷めたお味噌汁を温めなおそうかと、
ガスコンロに手をかけて、やめた。
リズムが違うのだ。
ふたつある鍵穴をガチャガチャいわせて、
ドアが開いて、
夫が「にゃあにゃ(ただいま、の意。やめてほしいが、やめてくれない)」
と言って、家に入ってくるリズムが。
鍵穴ガチャガチャの後、シーンとしている。
一体どうしたんだろう、と、
私がドアの方へ行って、
扉を開けたら、
ちゃんとそこに夫は立っていた。
お出迎えなんて、
何年ぶりだろうという行為なのに、
開口一発、
「もう準子ちゃん(ここでは仮名)キライ!!」
と、いきなり言われて、
「何やこいつは!!」とムカツイタ。
「なんでいきなりそんなこと言われなあかんの!?
さっさと入ってきぃや!!」
と、言い返しても、
「もうキライや、あほう!!」
と、これまた子どもみたいなリアクション。
理由を聞こうとしたら、
「あとで言うわ……」とふくれっつら。
で、食事をし始めたところでもう一度聞いたら、
「別に理由なんかないわ……」と完全に沈静化して、もぐもぐ。
一体私が何をしたのか。
日頃のことを思えば、
「キライ!」と言われることの、
思い当たる節は多々あるけれど、
ドアを開けた行為になんの落ち度があると言うのか。
しばし考えて沈黙していたら、
「怒ってるの?」と夫が聞いてきたので、
「あんたが怒ってたんちゃうんか!?」
と聞き返したけど、
「別に怒ってないよ」と言う。
……わけがわからん。
バラエティ番組の笑い声にもごまかされ、
考えるだけあほらしくなって、このことは流れた。
★
今日も先に、晩御飯を食べ終えて。
洗い物もし終えて。
お風呂が沸くのを待ちながら、
ソファーに寝転んで、TVを見ていた。
いつものように、
鍵穴ガチャガチャの
夫が帰ってくる音がした。
私はTVに集中していたので、
夫の晩御飯の準備への行動に
すぐには移れなかった。
「にゃあにゃ」と、玄関の方から夫の声がしたので、
「にゃー(夫がやめてくれないので、私が『おかえり』と言うのをやめた)」
と、ソファから言い返す。
寒いので閉めていた、
リビングのドアが開いた。
その音に反応して、
寝転がったままそっちの方に顔を向けると、
「ぶひっ!!ぶひぶひぶひっっ!!」
と、鼻をブタにした、夫が入ってきた。
あまりにも似合ってたので、私は思わず爆笑した。
「なんかめっちゃ似合ってるんですけど!
そのまま、天竺でも目指したら?」
体型と、顔の輪郭と、ブタの鼻が、本当にマッチしてる。
こんなにブタの鼻先が似合う人だとは!!
夫は背広を脱ぎながら、
「本当は、昨日したかったのに。
準子ちゃんったら、急にドア開けるんだもんなぁ~」
と、
昔の『西遊記』の、
西田敏行の猪八戒っぽく、ぼやいた。
あぁ、それで「準子ちゃん、キライ!」だったのか。
理由が言えないわけだ。
たまたま百均で、見つけたらしい。
「なに。会社で使うの?」使わないよな……。
「ううん。この時のためだけに」
私の反応にすっかり満足して、夫はブタの鼻先を外した。
写真を撮っておこうか、と言ったら、
「残るのは、イヤ」と言って拒まれた。
さて。どうなるんだろう。この鼻先は。
急速に夫からの興味を失った、
リアルなブタの鼻先は、
敏感にそのニオイを嗅ぎ取って、
テーブルの上から、不安げに、
我が家の天井を仰いでいる。ぶひ。
先に自分の晩御飯を食べ終えて、
おわんなどを洗っていたら、
玄関のドアの鍵がガチャガチャと、
開けられている音がした。
夫が帰ってきたんだな、と思い、
冷めたお味噌汁を温めなおそうかと、
ガスコンロに手をかけて、やめた。
リズムが違うのだ。
ふたつある鍵穴をガチャガチャいわせて、
ドアが開いて、
夫が「にゃあにゃ(ただいま、の意。やめてほしいが、やめてくれない)」
と言って、家に入ってくるリズムが。
鍵穴ガチャガチャの後、シーンとしている。
一体どうしたんだろう、と、
私がドアの方へ行って、
扉を開けたら、
ちゃんとそこに夫は立っていた。
お出迎えなんて、
何年ぶりだろうという行為なのに、
開口一発、
「もう準子ちゃん(ここでは仮名)キライ!!」
と、いきなり言われて、
「何やこいつは!!」とムカツイタ。
「なんでいきなりそんなこと言われなあかんの!?
さっさと入ってきぃや!!」
と、言い返しても、
「もうキライや、あほう!!」
と、これまた子どもみたいなリアクション。
理由を聞こうとしたら、
「あとで言うわ……」とふくれっつら。
で、食事をし始めたところでもう一度聞いたら、
「別に理由なんかないわ……」と完全に沈静化して、もぐもぐ。
一体私が何をしたのか。
日頃のことを思えば、
「キライ!」と言われることの、
思い当たる節は多々あるけれど、
ドアを開けた行為になんの落ち度があると言うのか。
しばし考えて沈黙していたら、
「怒ってるの?」と夫が聞いてきたので、
「あんたが怒ってたんちゃうんか!?」
と聞き返したけど、
「別に怒ってないよ」と言う。
……わけがわからん。
バラエティ番組の笑い声にもごまかされ、
考えるだけあほらしくなって、このことは流れた。
★
今日も先に、晩御飯を食べ終えて。
洗い物もし終えて。
お風呂が沸くのを待ちながら、
ソファーに寝転んで、TVを見ていた。
いつものように、
鍵穴ガチャガチャの
夫が帰ってくる音がした。
私はTVに集中していたので、
夫の晩御飯の準備への行動に
すぐには移れなかった。
「にゃあにゃ」と、玄関の方から夫の声がしたので、
「にゃー(夫がやめてくれないので、私が『おかえり』と言うのをやめた)」
と、ソファから言い返す。
寒いので閉めていた、
リビングのドアが開いた。
その音に反応して、
寝転がったままそっちの方に顔を向けると、
「ぶひっ!!ぶひぶひぶひっっ!!」
と、鼻をブタにした、夫が入ってきた。
あまりにも似合ってたので、私は思わず爆笑した。
「なんかめっちゃ似合ってるんですけど!
そのまま、天竺でも目指したら?」
体型と、顔の輪郭と、ブタの鼻が、本当にマッチしてる。
こんなにブタの鼻先が似合う人だとは!!
夫は背広を脱ぎながら、
「本当は、昨日したかったのに。
準子ちゃんったら、急にドア開けるんだもんなぁ~」
と、
昔の『西遊記』の、
西田敏行の猪八戒っぽく、ぼやいた。
あぁ、それで「準子ちゃん、キライ!」だったのか。
理由が言えないわけだ。
たまたま百均で、見つけたらしい。
「なに。会社で使うの?」使わないよな……。
「ううん。この時のためだけに」
私の反応にすっかり満足して、夫はブタの鼻先を外した。
写真を撮っておこうか、と言ったら、
「残るのは、イヤ」と言って拒まれた。
さて。どうなるんだろう。この鼻先は。
急速に夫からの興味を失った、
リアルなブタの鼻先は、
敏感にそのニオイを嗅ぎ取って、
テーブルの上から、不安げに、
我が家の天井を仰いでいる。ぶひ。