日々・ひび・ひひっ!

五行歌(一呼吸で読める長さを一行とした五行の歌)に関する話題を中心とした、稲田準子(いなだっち)の日々のこと。

キツネとタヌキ

2006年06月27日 | お仕事な日々
朝イチで、『ボ』のところへ、お給料を取りに行った。

     ★

あれから、
Aさんとは、度々会っていた。

彼女は、
そのヒトノヨサから、
私と『ボ』の間で、
板ばさみの役回りをさせられたり、

(例えば、
Aさんに対して、
私をその互助会に
名前と口座を借りるだけでもいいから、
入会させたら、私の残りの給料を振り込んでやる、とか)

不本意な状態に陥ったりしていたのを聞いていたので、

(丁度Aさんはその頃、身内に対して、
Sさんの『アムウェイ』のセールスに、
加担してしまったかたちになっていて、
その不本意さに、ものすごくへこんでいた)

「そんなに、人のあいだに、挟まれないで」と、
励ますつもりで、
Aさんのいる前で、
『ボ』のケータイに電話をし、
直接交渉した結果、
次のお給料日にお金を取りに行くことにしていたのだった。

その時、
「ちょっとほっとした?」とAさんに聞いたら、
「かなり痛快だった!」と答えたAさん。

そんなAさんは、今日も、
「明石駅に着いたら、一緒に会社へ行きましょう!
ひとりより、ふたりで行くほうが、気が楽でしょう?」
と、明石駅で待ち合わせをしてくれた。

そりゃまぁ、そうですが。

そうじゃなくても、大丈夫だったけど、
お言葉に甘えた。

これだけ気の回るAさん。
ジコチューの私とは大違いだ。

一体どれだけの苦労と励ましを受けて、
ここまでになっているんだろう。

そんけーのまなざし。

     ★

そんなAさんとふたりで会社の中に入ると、
『また少し、太られました?おぐしもまた少し……』
と思われる、『ボ』が座っていた。

事前にメールで、10時に行くと言っていたのに、
私を確認して、初めて、
お給料明細を書き始めた(手書きでっせ、手書き)。

待つ間に、私とAさんは、
楽しく会話。

無口になって、電卓をたたく『ボ』。

うるさいのか、それとも、孤独感が沁みてくるのか、
程なくして、『ボ』は、ある契約書をAさんに渡した。

Aさん戸惑いながら、「え?今からですか?」という。
『ボ』下を向きながら「そう」と答える。

Aさん、心残りがちな感じで、
「じゃ、行ってきます」と憮然として出て行った。

一瞬、状況が飲み込めなかったが、理解して、
一対一になる。

『キツネ(私)とタヌキ(ボ)のばかしあい』という言葉を、
頭の中で思い描いた。

話しかけたほうがいいのかと思ったが、
『ボ』が電卓をたたき続けているので、
はばかられ、
座ったまま、待つことにする。

『ボ』ーっとする(笑っとけ!笑っとけ!)

     ★

お給料袋が『ボ』から手渡された。

そのお給料袋を見て、「あっちゃー」と思って、
指摘しようとする前に、
『ボ』から、話を切り出された。

てっきり、
新しい生活のことを、聞かれるのかと思いきや、
(※大阪へ転勤する夫についていくというウソで、
この互助会の営業の仕事をやめているので)

6月から新しいシステムになった歩合制の話を
しはじめた。

私に言わせれば、
「だから何?そのシステムだったら、
このお給料は発生しないって話?……ってことはないようだけど」
っていう内容だった。

せっかく山下くんの『抱いてセニョリータ』を、
鼻歌で歌いながら、
「クロサギ」のように、
新しい生活をしているウソの「自分像」を
設定してきたのに。つまんねー。

会話の引き出しが、乏しすぎるぜ、このタヌキ。

     ★

『ボ』の話にひととおりうなづいたあと、
「給与袋の名前、間違えているんですけど」と指摘した。
下の名前を間違えていたのだ。

「嘘!」と慌てる『ボ』。
「明細から書き間違えてるわ!!」と言う。

書き直そうか?と言われたが、
別に困ることはないわと思ったし、
また長々と待たされるのも嫌だったので、
「もうこれでいいです」と受け取った。

ただ、指摘したかった(攻撃したかった?)だけなので。

だが少し、笑いあったので、場が和んだ。
そのついでで、

「今日はバス活
(※バスに乗って移動して、ある地域でポスティングしたり、
アンケートを取ったりすること)
ないんですか?みなさん出て行かれないようだけど」

と、思わず会話を持ちかけてしまった。
すると、

「いや、あるよ」と一言言われ、流れを切られた。

キツネとタヌキが、
どうでもいい話を投げ合ったところで、
キャッチボールになるわけもなく。

「じゃ、次の待ち合わせがあるんで、行きます」
と言って、私は立ち上がった。

お互い、もはや、
「お元気で」の一言もなく。

Aさんの出産は9月。

求人広告も出していることは、出しているらしいが、
電話の問い合わせがあっても、面接まではいかないらしい。
(そりゃそうだろう。電話の時点で、『年齢は?』とか、ネホリハホリと聞かれたら)

彼女がいなくなったら、どうするのか知らないが。

私は元気でいるつもりだが、
『ボ』は先々のことを考えると、元気がきっとなくなるのだろう。

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