日々・ひび・ひひっ!

五行歌(一呼吸で読める長さを一行とした五行の歌)に関する話題を中心とした、稲田準子(いなだっち)の日々のこと。

ひぐち君と野獣

2009年04月19日 | 夫との日々
新居の、
ローンの正式な契約(よかったけど、契約できるなんてびっくり!)と、
入居説明会のため、夫と電車で梅田へ。

行きの電車で、並んで座って、
いろいろ話していると、突然に、

「キミ、ひぐち君に似ているなぁ。
ほら、あの、『髭男爵』のひぐち君」

何を言ってるんだーい(『チーン』とグラスを鳴らしましょう)

最近、髪を鎖骨辺りまで切ったのだが、
その髪の長さと、眼鏡をかけている、というだけで。

「『ひぐちカッター』って、やってみて!」

と、夫に言われても、知らない。そのギャグ(失礼な)。

そんなことを、ちょっとだけ、根に持っていたので。

     ★

ふたりでだと、車移動が多いので、
渋滞の多い梅田なんて中心地には、
こんな強制的なことがない限りまず行かない。

なのでつい、
ジュンク堂だとかの大きな書店や、
百貨店内のとんかつ屋さんとか、
結構歩き回って、帰りは夜遅くなった。

乗換の京橋駅で、
長々と電車を待っているときのこと。

話すこともなくなって、
沈黙している私の目に、
劇団四季の『美女と野獣』の公演ポスターが、
飛び込んできた。

あの、ごっつくメイクをした野獣の顔が、
顎の輪郭の肉付きがよくなった、
夫の顔に似ている。

なんのオブラートもなく、私は夫に、

「なぁ、キミ、あの『野獣』に似てるよね。
ごっつくメイクしているあの顔に。メイクもしていないのに」

と、押して押して言った。

しかし夫は、ポスターをしばし見た後、

「まぁ、俺は本当は王子様やからな」

と、軽く余裕の笑いをかましながら返してきた。

……うっ、うまい。思わず笑ったのが、なんともくやしい。

ようやく電車が構内に入ってきて、
人の波に押し流されながら、夫と私は、
電車に乗り込んで、ドア側に立った。

その目の前にまた、劇団四季の『美女と野獣』のポスターが。
夫も、同じく見ていたので。

一矢報わずには、いられない。

「まぁ、本当の姿に戻ることはない、王子様やけどな」

決まった!と思った私を、
夫はさらに鼻で笑って、

「『本当の愛』を一生知ることはないからなぁ」

と、途中から噴き出しながら、返してきた。
どうやら私の返しは、読まれていたようで。

悔しいが、また笑った。

『ひぐち君』に似ていると言われ、
頭ごなしに「ちゃうちゃう!!」と否定した私。

『野獣』に似ていると言われ、
「本当は王子様だけど、一生『本当の愛』を知ることはない可愛そうなボク」
というところまで、持っていった夫。

ついつい笑ってしまった、
という点においてもそうなんだけど、
相手の言ってきたことを、
一旦飲み込めるかどうかというような、
度量的なところでも、
まだまだ私は、修行が足りなかったようです。くそぅ。

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