日々・ひび・ひひっ!

五行歌(一呼吸で読める長さを一行とした五行の歌)に関する話題を中心とした、稲田準子(いなだっち)の日々のこと。

きれていく人・つながった人。

2006年05月08日 | お仕事な日々
今週末まで、仕事へ行くつもりだったのは、ひとえに、Aさんを気遣うためだけだった。

お金のためでも、ましてや『ボ』のためではない。

が、「夫の転勤で……」なんて、
いけしゃあしゃあな嘘をついている私に、
中途半端さを持て余した『ボ』は
今日で仕事を終わってほしいと言う。

私的には、それはそれでラッキー。

     ★

GWに入る前、
アムウ○イのSさんに、
「GWの予定は?」と聞かれていた。

すっかり、警戒心を持っている私は、
実家の大阪に帰っていると偽り、
「なら仕方ないわね。バーベキューに誘おうと思ってたけど」
なんて言われたけど、苦笑い。

他人の家族の中で、
バーベキューに参加できるほど、
社交的ではない私。
その状況を想像するだけで、
孤独。

ちょっとうんざりしてきていた。

そして、今日。
アンケートをとる場所で、
声をかけてくるSさん。
今日で辞めると告げるとびっくり。

そこからは、いつにもまして、
積極的になった。

「一緒にお弁当を食べよう」
と言われたけど、
Aさんと外で食べることにしていたので、
と、断る。

が、近くのファミレスで、
Aさんとふたりで食事をし、
私がお手洗いに行っている間に、
Sさんは、Aさんに連絡をとり、
あっという間に、場所をつきとめやってきた。
今度はこっちがびっくり。

仕方なく、ドリンクバーを追加注文して、
塗りなおした口紅を、ベタッとコップにつけながら、
Sさんのマシンガントークに耳を傾ける。

Sさんが言うには、
とにかく、家に引きこもってはいけない。
そうなると、
気を張らないから、おしゃれ心をなくしてしまう。
外へ出るようにしなくちゃだめよ、
という主旨を語りだした。

私は、
Sさんの主張に
Aさんがうなづくといった構図を、
見守るかたちで、沈黙。

あぁ、伝わってくる。
そんな話題で、
「私の家に遊びに来なさい」と、
ナチュラルに持っていこうとしている、
Sさんの思惑が。

唐突に、私は話題に切り込んだ。

「でもね、私引きこもっていたけれど、
外へ働きに出るようになってから、
かえって太ってきたんですよ」

悲しいけど、これは本当です。

お弁当の後、小太りな『ボ』は、
必ず、おせんべいなどのおやつを食べさせたり、
午後の外回りから帰ってきて、
何の仕事の指示もしていないことに対する
フォローのつもりなのか、
ケーキを買ってきたりしていたし、

Aさんも妊婦さんなせいか、
小刻みにお菓子を食べていて、
そのお裾分けをもらったりしているうちに、
いつしか、家に、
お菓子を常備させるようになってしまい、
変な空腹感に対する処置方法がついてしまったのだ。

そんな一連の説明をして、Sさんの話題を断ち切った。

     ★

お勘定を済ませる為に立ち上がる。
Aさんが先にレジに向かった時、
ふたりだけになったのを、チャンスとばかりに、
「週末、私の家に遊びに来ない?」と、
Sさんは、聞いてきた。

私は、
「もう、転勤のための引越の準備の
予定を考え始めているので、
ちょっと遠慮したい」と、

おまえ、それは、予定は開いているけれど、
あなたの予定は組み込まないって、
言ってるようなもんじゃんか、と、
自分に突っ込みを入れたくなるような理由で断った。

お勘定を済ませ、
Sさんは、お客さんのところへ行くといって、
そのまま去っていった。

事務所に戻る道すがら、
Aさんが、
「もう、絶対、稲田さん(ここでは仮名)を、
言い方悪いけど、『カモ』だと思っているようですよね。
すごい、積極的」
と言った。

やっぱり、そうですよね、とうなづく。

「あれだけ、追いかけてくるのだから、
Sさんちに一回だけ行きますか?
私も一緒に行くようにしましょうか?」
と気を使って、言ってくれた。

うぅ……。いい人だ。

私がさっき断ったというと、
「その(断った)理由って、結構ストレートですね」と、
多少その断り方に驚いている様子だった。

そうなんだよな、と思う。

一生懸命、周囲に馴染もうとするあまり、
相手をちゃんと見ずに、
自分のホンネをちゃんと見ずに、
相手に合わせる。

で、無理に合わせていた場合、
途中から違和感が爆発して、
お面が割れて、豹変する。
てのひらを返すようになる。

私としては、面食らうまでに、
「もうダメです!もうダメです!」という、
なんらかのサインを出していると思っているのだけれど、
初対面のお慕い具合が、かなり好印象になるらしく、
大概気付いてもらえない。

この豹変振りは、
様々な人間関係の面で、
大きなネックとなる時もある(今回はこれでよかったと思っているが)。

これは、直らない気がする。
年をとって、
激するエネルギーが切れて、
別の何かに(涙もろくなるとか)変質するまで、
こういう不器用さは続くのだろう。

あきらめの境地。

「Sさん。悪い人ではないんですけどね……」
と、私が苦く言うと、
「うん。悪い人ではないんですけどね……」
とAさんが呼応する。

『ボ』とSさんは、もう会うことはないだろう。
だが、Aさんとは、市民ギャラリーの展示が始まれば、
連絡を取り合う約束をした。

きれていく人。つながった人。
とにかく、明石での生活の、このステージは終わった。

明日は白夜ちゃんが大分から来るし。

次へコマを進めます。

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