日々・ひび・ひひっ!

五行歌(一呼吸で読める長さを一行とした五行の歌)に関する話題を中心とした、稲田準子(いなだっち)の日々のこと。

流浪のマネキン

2007年09月23日 | お仕事な日々
やむ終えず、日曜日もお仕事。
夫は休み。市議会選挙。

帰りしな、
地下鉄の最寄駅で待ち合わせて、
一緒に投票に行く約束をしていた。

     ★

私「昨日と今日、同じメーカーで、同じチョコを売ってんやんか」

夫「うん」

私「でな、昨日はな、めっちゃ売れたみたいやねん。
  ビターとミルクとあってんけど、両方合わせて、約70個」

夫「へー」

私「でもな、今日は大変やった~!ちょっと、想像してや。
  まずは、凹の字」

夫「は?」

私「とりあえず、想像し!」

夫「はぁ……」

私「その凹の字のへっこんで入るところは、レジや買ったものを入れる台とかが、
  あるところです」

夫「……はぁ」

私「両方の出っ張ってるところは、出入り口。
  右側が、野菜とかを売っているところで、主に入り口になるところ。
  左側が、特設の売場の棚があるところで、主に出口になるところ」

夫「はぁ(地図かいな……)」

私「で、私は、左側のその特設売場の『新発売特集』になっている棚のところで、
  試食販売をしていました。
  さて問題です。
  あなたは、いつ、マネキンさんに気づきますか?」

夫「多分、興味がないので、気づきません」

私「あほぅ!!、……まぁ、でも、そういうお客さんもいたわ。実際。
  まぁ、大概な、買い物をし終わってから、
  重くなったビニール袋を抱えてから、マネキンの存在に気づくんよ。
  さて第二問です。
  あなたが、両手に重いビニール袋を持っているところへ、
  マネキンさんが、
  『いかがですか?』とおいしそうなチョコを並べた紙皿を
  差し出してきました。
  あなたなら、どうしますか?」

夫「長澤まさみちゃんなら、『ア~ン』って口を開けて、入れてもらう。
  でも、あんたやったら、見てみぬ振りをする」

私「……くそっ!ある意味、正解。
  つまり、買ってもらえないし、
  試食もしてもらえないという状況だったのよ……」

あー、めんどくさくなってきた(笑)やぁ~めた!
普通の書き方に戻します。

     ★

そういう売場で、12時近くまで売っていた。
で、ようやく、出勤してきた(フレックスかな?)、
担当者さんが、
「売れていますか?」と陣中見舞いに来てくれた。

正直に、「売れてません……」と答える。

でも、この担当者さんだって悪くない。
スーパーの建物の構造上、試食販売が出来るところって、
そこしかなかったんだから。

困った末に、担当者さん、
「じゃ、実験的に、2Fへ行ってみましょうか」と、
提案してきた。

……2F?

行ってみると、お菓子売場は、
衣料品・雑貨などが売っている2Fの端にあった。

エスカレーター上がってすぐのところを整えてもらって、
「ここなら、お菓子を買う意識の人が来て、
真っ先に見えるところなんで」と、言われる。

私にとっては未知の領域のほうが、希望があるかと思って、
「わかりました。頑張ります」と、
棚積みの商品の一部と荷物を持って、2階へ移動した。

ところが。

     ★

2階に上がってくるお客さんは、
1階に用事があるお客さんより、はるかに少ない(当たり前か……)。

しかも音楽が、静かで、優雅。

活気ある「いらっしゃいませ~!」などの言葉を、
発せられない雰囲気が。

近づいてくるお客さんには、自然と、
百貨店系のお上品さで声をかけてしまう状態で。

フ、フラストレーションが……。

声も出せない。お客も来ない。
つっ立っているだけしかできなくて……。

お昼休憩のことでまた現れた担当者さんに、

「す、スイマセン……休憩が終わったら、
また元の場所で売らせてください……」
と、弱音を吐く。

     ★

休憩が終わった。

元の場所に戻ろうとした私に、
担当者さんが三たび声をかけてきた。

「試しに、あそこで売ってみてくれる?」

それは、生鮮魚が売られている前のエンド。
冷凍食品売場の端っこ。

確かに、普通に人が近寄ってくるかもしれない。

しかし、そこは、ぶるぶる震えるほど、さぶいっっ!!

建物自体が小さいせいか、冷気のたまり場のようだった。

流転の果てに、極寒の地……。

それでも、お客さんは普通に近寄ってきてくれて、
さぶいので、長くトークは展開できなかったが、
普通に売れ出して、
時間は加速的に早く過ぎて行った。

時々、寒さのあまり、
指先の感覚が痺れていたときは、
どうなるかと思ったけれど(笑)、
とにかくなんとかかんとか、盛り返した。

     ★

頑張って、書き方を戻そう。

夫「それで、何個売れたん?」

私「35個。昨日の丁度半分。午前中6個だったから、
  これでもいいほうだと思うけど。
  それにしても、
  味よりマネキンより、場所って重要なんだね。つくづく思った。
  試食サンプルも半分以上は使った。
  つまり、場所さえよければ、それなりに人は食べてくれるってこと。
  ……で、はいこれ。おみやげ」

夫「何?」

私「試食のサンプル品としてつかったチョコ。
  ほとんどスーパーの人にあげたけど、
  ちょっぴりくすねてきてん」

夫「……『ア~ン』はせんといてや」

私「誰がするかよ。あたしが長澤まさみでもせぇへんわ」

そんなことをしゃべりながら、
市議会議員の投票をする小学校まで、ダラダラ歩いて行って、
ついでにラーメン屋さんに立ち寄って、
帰り、
道路上の歩道を示す白線の上を、
デューク更家のタケノコのようなポーズ(わかります?)で歩いて、
人に見られて、
「ちょっと恥ずかしかったね……××」とか言いながら、
帰っていきました。

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