「広報ふくつ5月号」の新設校建設の特集記事は、もう読まれましたか?3月号の同じ特集記事は、問い合わせ先が「市まちづくり推進室」と「市教育部教育総務課」の二箇所で、どちらが主動して書いたのか判りませんでした。今回5月号の特集記事の問い合わせ先は、市教育部教育総務課一つになり、福津市教育委員会が書いた”新設校建設記事”であることが判ります。この特集記事を一読して、やっぱりそうだったのかと思うことや、何故災害想定の規模(数値)を予想最大数値で考えないのか?石巻市立大川小学校事件控訴審判決を教育委員会は知らないのか?次々と疑問が湧いてきます。 次に一つ一つ考えてみたいと思います。
1.福津市教育委員会の優先順位
教育委員会の優先順位は、①「郷づくり」②「9年間の連続した学び」であることです。やっぱり「学童・生徒の安全」が最優先でないことが、ハッキリ判りました。この教育委員会の優先順位が、そもそも間違っています。福津市教育委員会が”学童・生徒を中心に据えた優先順位”を考えなければ、福津市行政のどの部署も学童・生徒のことを真剣に考えることはないでしょう。
「(小中学校の)9年間の連続した学び」が何故重要か、また説明されていません。公立・私立の中高一貫校を目指す生徒が増えたり、サラリーマンの転勤族の家庭が増えるなか、これははたして重要なことでしょうか?世界がダイナミックに変革・変動している時に、狭い地域にばかり目を向けさすことが、本当に生徒にとって正しい教育なのでしょうか?
2.中央公民館案を止めた理由は、通学距離が遠くなることか?
新設校の候補地から中央公民館案を止めた理由は、「現在通学している小中学校より通学路が遠くなる。」からだと言ってます。しかし新設小学校の進学中学校が福間中学校から津屋崎中学校に変更されることで、西福間5区のほとんどの中学生は現在通学している中学校より通学距離が遠くなります。つまり「通学距離が遠くなること」は中央公民館案を止める理由になりません。
3.災害発生の想定数字を最大値で、何故考えないのか?
福津市教育委員会は、災害想定数値を小さく見せるのは、住民の不安を小さくする他に、自分達の責任範囲を小さくすることで、万が一大規模災害が発生した時、責任逃れをするためでもあります。しかし2019年(令和元年)10月10日の石巻市立大川小学校控訴審判決以降、世の中のルールは変わったのです。これ以前は「想定外の災害」に対しては、自治体及び教育委員会は、裁判で責任を追及されることはありませんでした。しかし現在は「地震発生前においても自治体及び教育委員会の過失を認め、学童・生徒の安全確保義務は、実質的には自治体にある。」となっています。その為福津市以外の多くの自治体では、千年に一度の災害であっても想定される最大値を採用しています。
大川小学校控訴審判決についてもっと詳細に知りたい方は下記の論文をお読みくさださい。
・専修大学法学部 飯 孝行教授:大川小学校津波訴訟控訴審判決の意義と遺族の思い。