第5章 呪われたイリアス・オレオ王国の歴史。王、王妃の行方は?(18)
しかし、グミ族(黄金毛族)のカミュエルの方もまんざらではなかった。
師匠であり、実の父親でもある、グミ・キュエールの同じ弟子で、親友でも
あった、ユーコ族(調節眼族)のルペイジの妹のユーコ・サヴォーヌを、
密かに想っていたが、キュエールによる、ルペイジの左眼失明事件のため
に、もちろん、絶縁状態になり、サヴォーヌとも会えなくなっていた。(その
直後に、サヴォーヌがクトールの襲撃に会い、間一髪、ルペイジによって、
命は救われたが、両腕を切断されて、危うく死にかけたことは、知りもしな
かったが。)もちろん、サヴォーヌと、友里可は見た目は全然似ていないが、
何故か、サヴォーヌの面影を、友里可の中に見る思いのカミュエルだった。
そして、つい、出来上がったばかりの偽造の名刺、江藤亨という偽名入り
で、おまけに電話番号無し、住所なし、偽名のソール企画の社名と、メール
アドレスだけが、記載してあるのを渡しながら、「しがない、フリーの記者
だけど、何か困ったことがあったら、このアドレスにメールして」と、言い
残して、友里可の前から消えたのだった。彼女からすれば、得体の知れない
自分になぞ、連絡はくれないだろうと、確信しながら。だが、数日後、彼女の
方から連絡のメールが、届いたのだった。「わたし、今日は仕事休みです。
もし、良かったら、どこかでお茶でも、飲みませんか?」と。この世界に潜伏するために、