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みそひともじであそぼ

前の人の言葉を受けて、あなたの三十一文字をコメント欄へアップ!

2005年6-7月の殿堂入り!!

2005-08-06 | ■まる好み殿堂■
今回は2ヶ月分まとめてです。スミマセン。

暑い中、作品を並べ替えていて、
だんだんとクラクラしてきてしまいました。

恋の熱さに。

ことにようかんさんの歌を集めると、
その温度はさらに増します。

と、いうわけで、まずは、
「どうせ暑いなら、とことん熱くセレクション」を、どうぞ。

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●6号室の彼 (ようかん)

赤電話
かけて呼び出す

足音で
今日は逢えると
胸躍らせる

●今は駐車場に・・ (ようかん)

彼探す
時間も楽し
駅からは

共同トイレの
お城へ向かう

●季節はずれ (ようかん)

窓明かり
二つの影が
くっきりと

すきま風入る
部屋暖かく

●ときめく頃 (ようかん)

雨宿り
肩触れるほど
そばに立ち

雨音も鼓動の
ように走り出す

●夏 (ようかん)

夏祭り
花火の合間の
暗闇に

触れる指先
顔まで熱く

<評>この勢いで行くと、昭和乙女の歌集が1冊、出来ちゃいそう。

   年配の方が短歌ブームに乗って、「昭和乙女」をテーマに作ったらいい
   のに・・・って思ってたんですけど、どうもあちらはアカデミックで。
   若いようかんさんの方が、よっぽど万葉集な気がしました。
   
   「共同トイレ」が「お城」になったり、「すきま風」が「暖かく」
   なったり、恋って本当に魔法使いなんですね・・・。


●この季節 (ようかん)

どうしても
「万歳」できない
訳がある

人目に晒せぬ
ぷるぷる二の腕

<評>・・・と、持ち上げておいて、コレを出す(笑)
   「万歳」については後日、まとめて記事を上げますが、
   この歌は、ナーバスになりがちな話題に、笑いを吹き込んでくれました。

   それにしても「二の腕」、筋肉が付くのも落ちるのも早い!
   ここ1ヶ月で体感しました。


そして、ここからは、もうちょっとヒネた「敗戦国男子」の歌。
男の昭和って、悩ましい・・・。

●・・・遠くなりにけり (つかさ)

久々に
銭湯にゆく
下駄鳴らし

下宿と言う名の
失せしビル街

<評>ビルに囲まれて残る銭湯も、頑固。
   あえてビル街で下駄を鳴らす男も、頑固。
   「平成男」だったら、こんな意地は、張らないでしょうね。


●逢引き現場を・・・ (つかさ)

息潜め
ピントを合わす
望遠の

先の二階の
窓明かりかな

<評>なんでだろう?夏っぽい。夏の蒸し暑い中、開け放された窓を狙って、
   息を詰めた男が、見える・・・。
   よく考えると、昭和って、大らかな時代だったんだなぁ・・・。
   平成じゃ、コレ、「ストーカー行為」ですもん。

●すきま風にご注意 (つかさ)

すきま風が
ふたりの間に
しのびこみ

曇天のそら
土砂降りになる

<評>私の「すきま風」も、こちらのイメージ。
   「土砂降り」って、どんなだったんでしょ。
   涙が降った?皿が降った?(笑)

●??? (つかさ)

白々と
雪と砂糖が
混りあい

美しき嘘
ウェディングドレス

<評>「白・雪・砂糖」で、黒ですか・・・。
   最近、こういう毒のある若いモンが少なくて、
   三十路女は少々物足りなく感じております。

●無邪気なバンザイ (つかさ)

レストランに
始めてゆきし
幼子が

バンザイをする
日の丸ランチ

<評>この光景に微笑むことが出来ない・・・というのは、
   日本人としてのトラウマ、なのでしょうか。

   しかし、まぁ、ヒネた昭和男子も、こうして立派におじいちゃん
   ・・・なんですな。

   やっぱり、平和、なんだ。


2005年5月の殿堂入り!!

2005-06-05 | ■まる好み殿堂■

編集の際、並べ替えることによって、改めて気付くことがあります。
(編集者の特権ですね。)
今月はなぜか、どの御題を通しても時の移ろいを感じさせる歌が多いように思いました。
春から夏に、一気に変化する月だからでしょうか。

では、まず、この肉体的変化から。

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●下瞼に (ようかん)

目に違和感
埃と思い
引っ張れば

縮れた白髪
プツンと抜ける

評:三十路女としては、「次はこれか~?」と、直近で恐くなりました。
  (ちなみに私は髪に2、3本です。)

●そろそろリフォーム (つかさ)

眼はかすむ
鼻は利かない
耳もだめ

指令の脳は
電池ぎれ

評:「さらにその先にはこうなるのか・・・」と、遠い自分を想像したりして。
  「眼・鼻・耳・脳」の箇条書きって、殴られまくりのボクシングっぽく効きますね。  

お次は、女性の経年変化ものを2題。

●時が来るまで (ようかん)

うつむいて
頬染め恥じらう
時を経て

咲き乱れたい
散るその日まで


●年輪 (ようかん)

幾重にも
衣纏いし
美しさ

単衣散るごと
棘も解けゆく


評:どう読んでも、「咲く前」と「咲いた後」(笑)
  特に後者、「艶熟」ぶりに思わず吐息。

あ、そうそう。
あの蕾、「薔薇」じゃなくて、「牡丹」の娘デス(笑)


そして、ひたすら淋しい歌が続く「モノクロシーソー写真」。
情報の少ない「モノクロ」のせいなのか、それぞれが登場人物や背景を付け足して、
詠んでおられるんです。


●淋しい一人遊び (つかさ)

ばあちゃんが
手ぬぐい被り
縁側に

見つめおりたり
腕白坊主を

評:微笑ましい光景なのに、
  ばあちゃんの背中の先には、だあれもいない部屋が広がっていそうで・・・。

●両手を広げて (ようかん)

ひとりでも
遊べるもん!と
シーソーの

真ん中に立ち
バランス取りぬ

評:淋しさに対して負けず嫌いぶりを発揮してるっぽいなぁ、この子。「もん!」が(笑)
  大人になると、 この「もん!」が意地っ張りに見せちゃうんですけどね。

●雨の日 (ようかん)

降る雨に
打たれし遊具の
冷たさか

悲しくなりぬ
我が心まで

評:温度がある歌だなぁ・・・。錆びた鉄が濡れた時の、あの匂いを思い出しました。

●さびしい眼差し (つかさ)

モジリアニの
絵のような女(ひと)
境内の

ベンチに永く
鳩を見ていた

評:あの濁ったような眼で、見つめてるんですか?鳩を。
  「不遇な人生の末路」・・・だなぁ。

●モノクロ写真の不安 (つかさ)

見つめれば
闇の向うに
浮かぶ顔

二重面相?
月光仮面?

評:なんか、他の歌とは明らかに違う方向で、暗い(笑)たしかに心霊写真っぽいですけど。
  そういえば、今月は韓国版「怪人21面相」が捕まった月でした。
  ・・・って関係ないか(笑)

最後に、こりゃまた別の暗さが胸を打ちました。

●大工だった祖父が (ようかん)

ピーちゃん(鶏)を
見せるだけだと
建前に

出かけ一人で
帰った夕暮れ

評:合掌・・・。


2005年4月の殿堂入り!!

2005-05-01 | ■まる好み殿堂■

4月、前半は宴会ものが多かったのですが、
月末が近づくにつれ、「眠い~」が多くなったように感じました。
前半のハイテンションに、後半は疲れちゃうんでしょうかね(笑)

今月は10+1首、選んでみました。(敬称略)
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●天仰ぎ (ようかん)

「うわぁ、此処」
「此処、きれいだね」

足元で
踏みつぶされし
すみれ、たんぽぽ

評:私達が春の味覚を堪能出来るのも、こうして見落としてくれる人達のおかげなのです。

●ごぶさたですみませーん (さち)

めんどうくさッ
チャリでいけよと
いいながら

「帰りはちゃんと
  メールしろよな」

評:ごちそーさまー(笑)さちさんの旦那さんの爪の垢、送って下さい。

次、3つまとめて。

●馬鹿だよね (つかさ)

まるまると
ふくよかなりし
女人来て

夢より覚めぬ

エイプリルフール

●煙に巻かれて (つかさ)

「もういいよ
しつっこいな~」

くゆらせる

煙草のけむりに
巻いてうやむや

●空気にぶつかる (つかさ)

「もっとやれっ」

喧嘩している
うちが花

するりと逃げる
風船よりは

評:こんなことばかり言っているから・・・(次へ続く)。

●春の夜の酒もまたよし (つかさ)

長き影
一対となる
春宵の

ほろ酔い歩く
灯下にむつみ

評:一つの影になってくれるのは電柱だけになり・・・(次へ続く)。

●ついてないよな~ (つかさ)

「贅沢な・・・
しょうちゅう
焼酎 いもじょうちゅうだよ」

パチンコ景品
じゃがりこ一個

評:勝利の女神にも見放され・・・(さらに次へ続く)。

●料理法は? (ようかん)

生け贄と
言う名の男
まな板に

乗せて捌くは
女の常か

評:まな板の上に乗せられてしまうわけです。
  それにしても・・・。

●密かな楽しみ (ようかん)

「グウ、キュルリ」
「グルグル、キューン」

耳元で

囁く歯科医の
腹の音を聞く

評:他の歌が可愛らしいのに、時々本性?が垣間見えますね、この方(笑)
  口開けた状態で楽しんでるのかと思うと、かなり笑えます。

●静かな午後 (ようかん)

ひざまくら
する人もなく
耳そうじ

縁の温きに
猫ウトウトと

評:あくびが移る・・・ならぬ眠気が移る歌。
  こんなにほんわかとかわいいのに・・・(笑)

  さて、最後は爽やかに。

●風たらふく呑んで (つかさ)

「仙人は
空気があれば
じゅうぶんだ」

鯉勇ましく
空泳ぐ春

評:風を「呑む」って、豪快!
  う~ん。5月だ、5月!!5月もよろしくお願いしま~す!!

2005年3月の殿堂入り!!

2005-03-19 | ■まる好み殿堂■
「なつかしきテノール」・・・つかささん

春浅き
路地をくる風
ほくほくと
歌うがごとき
い~しゃ~きぃ~も~

選評:
ももいろの春風に乗って、スピーカーから黄色い声が、ほくほくした香りが、
届いてきて、「うわ~!食べたい!」と、心の底から思わせてくれました。
だって、最後の「い~しゃ~きぃ~も~」って、絶対にあのスピーカーの音が
頭に鳴り響くでしょ?(笑)
「焼き芋」という秋を思わせる言葉を、暖かい春風に軽やかに乗せてしまえる
遊び心で、まる好み殿堂入り、決定!!