タイトル(必須)

漫画の感想とかそんなん

魔人探偵脳噛ネウロ(6)

2006年06月11日 05時25分47秒 | 漫画
魔人探偵脳噛ネウロ 6 (6)

集英社

このアイテムの詳細を見る

ハンター錠二、満太郎に続く大食い界のホープ、女子高生で探偵の桂木弥子と、
彼女を探偵に仕立て上げ事件から発生する『謎』を裏から食らう、助手で魔人の脳噛ネウロ。

そんなネウロが鵜飼いの様に弥子を酷使して、『謎』が解けた時に放出されるエネルギーを食う為に事件に自分達から出向いて魔人の力で解決し食事する。
トリックはあるけど、推理はあまり重要でないハジけた探偵漫画、脳噛ネウロ。

この漫画、とにかく犯人がぶっとんでます。
6巻前半の髪で全ての人間を判断する、女性連続切断魔の噛み切り美容師。
凶器は超巨大鋏。シザーマンもビックリ。
鋏の構造で人体をぶった切るのは難しいのでしょうが、
そこは山田芳裕チックに演出重視な漫画です。

過去にもドーピングコンソメスープ、ヒステリア、デイビッドといった、
ジャンプってーより、チャンピオン漫画側の領域の、
イロモノってーよりゲテモノの犯人が出現しました。
しかしこの漫画は、そういったネジがぶっ飛びまくった犯人達を、
さらなる力技でねじ伏せて屈服させる、ネウロの犯行を解く場面も面白いのですが。
ただの女子高生である桂木弥子が犯人を解く場面も面白い所。

自分の力に疑問を感じ、ネウロが自分の何に期待を持っているのか。
そんな思い悩む弥子と、彼女が過去に捕まえた歌手であるアヤとの対話は、
この漫画がただのイロモノ漫画でない部分の真骨頂。

そもそも人間と物理レベルで格が違う魔人であるネウロの視点からしてみれば、
食事である『謎』を次々に生み出す人間という存在自体に興味はあるのですが。
個々の人間の心情なんて食後の残りカス。
魅力的な『謎』の前では、ネウロにとって「なぜその人が罪を犯すに至ったか」という事件の動機なんて、些細な物でしかありません。
事件の『謎』であるトリックはネウロの魔人的頭脳と魔界777ツ道具によって弥子の手が届かない所で解決されるのですが。
なまじ手が届かないせいもあってか、弥子の事件への興味はその犯行がいかにしてなされたかより、自分の手が届く範囲、人間である犯人自体を考えるようになります。
最初に遭遇した事件で殺されたのが弥子の父親で、犯行方法なんかより、
犯人が何故自分の父親を殺したかを聞かずにはいられなかった、というスタート地点から彼女の姿勢は決定されてたのかもしれませんが。

強すぎる魔人である為に人間を知らないネウロと、ネウロの超絶能力により、やれることがないため人間を理解することに特化していく弥子。
そんな二人あわせてこその魔人探偵脳噛ネウロ。
ネウロが最終的にどの様な形で弥子の力を必要とするのか、
またその為にどの様に弥子を成長させるのかは楽しみな所です。

 

そして6巻後半は魔人であるネウロが興味を持つ人間。
人間でありながら物理的に人間を超える男。
細胞を操り自分の姿を変化させ、他人を赤い箱に変える怪盗X、サイの再登場。
登場からして国家の最高権力者を箱に詰める飛ばしっぷり。

脳細胞も変化していくため自分が曖昧なサイは人間を解体することで人間を、自分を知ろうとする者なのですが。
その過程で出合った人間ならざるネウロに強く興味を惹かれます。
ネウロを解体し箱にすることを目的とするサイの挑戦状が届き、
『謎』を求めるネウロがサイの予告状先である芸術家の屋敷に向かうことで再戦スタート。
屋敷から謎の臭いを嗅ぎ取り、以前発生した事件を調べるネウロと弥子。
屋敷に住む者であるカボチャ頭を殺して成り変り、ネウロを虎視眈々と狙うサイ。

屋敷で再び事件が起こり、サイに家族を殺されたとされる笹塚刑事とお供の石垣刑事も現場に到着。
いつものメンバーが出揃った所でさてどうなることかと次巻に続くわけですが。

巻末オマケはそんな石垣刑事。
ただのオタク刑事かと思われた彼ですが。
フツーの人はこの漫画にいないのかしら……