Appleは6月11日(現地時間)、米国サンフランシスコで開催したアプリケーション開発者向けのカンファレンス「World Wide Develpers Conference 2012」で、iPhoneやiPad、iPod touch向けの次期iOS「iOS 6」の概要を発表した。
iOS 6は2012年秋のリリース予定で、開発者向けのβ版は11日から配布するという。
対応機種は「iPhone 3GS」以降のiPhone、「iPad 2」「新しいiPad」と、「iPod touch(第4世代)」。
iOS 6では、新たに200以上のユーザー向け機能を提供。
新機能の追加だけでなく、細かな使い勝手の向上なども図っている。
基調講演では、新しい機能のうち「Siri」「Facebook」「電話」「FaceTime」「Safari」「フォトストリーム」「メール」「Passbook」「アクセシビリティ」「マップ」の10の機能が特に大きく紹介された。
Siriがより賢く
最初に発表されたのは、音声エージェントサービスの「Siri」の拡張だ。
これまでよりもさらに多様な情報にアクセスして回答を提示してくれるようになる。
例えばスポーツ、レストラン、映画などの情報が調べられる。
スポーツは野球、サッカー、フットボール、バスケットボール、ホッケーの情報に対応しており、野球の試合の得点のようなニュース情報だけでなく、直近の試合の情報や過去の成績、統計情報なども回答する。
レストランなら近隣の店舗をピックアップし、Yelpの情報も確認できる。
OpenTableアプリと連携して席の予約も可能だ。
映画については位置情報や上映時間からお勧めの映画や映画館を推薦。
「Rotten Tomatoes」による映画のレビューがチェックできるほか、監督や出演俳優から映画のタイトルを答えるといったこともできる。
またTwitterや、iOS 6で連携が強化されるFacebookへの投稿もSiriが行ってくれる。
文字を打つことなく、ツイートしたり、Facebookのウォールに近況を投稿したりできる。
またiOS 6ではSiriからのアプリの起動もサポート。
操作しなくても、声で命令するだけでアプリが立ち上げられる。
このほか「Eyes Free」として、自動車メーカーと連携し、ハンドルにボイスコマンドボタンを搭載する取り組みも推進する。
講演ではBMW、GM、メルセデス、ランドローバー、ジャガー、アウディ、トヨタ、クライスラー、ホンダなどが12カ月以内の対応を表明していることが明らかにされた。
これまで「iPhone 4S」でしか利用できなかったSiriだが、iOS 6になると「新しいiPad」(iPad 第3世代)でも利用可能になる。
対応言語はさらに増え、スペイン語、イタリア語、フランス語、ドイツ語、韓国語、台湾の北京語、香港の広東語、中国本土の北京語と広東語を始めとする15カ国語に対応する。
ローカルサーチにも対応予定だ。
Facebookの統合
2つ目に紹介された新機能は、「Facebook」のiOSへの融合だ。
すでにiOS 5でTwitterとの連携を深めたiOSだが、もう1つの世界標準とも言えるSNS、Facebookの機能をiOSと密接に連携させることで、近況の投稿やシェアなどが自在に行えるようになる。
カメラを立ち上げ、撮った写真をそのままFacebookに投稿する、といったことも簡単にできる。
手がふさがっているときは、Siriに投稿してもらうことも可能だ。
FacebookのイベントはiOSのカレンダーと、友達のプロフィール情報は連絡先と同期させられる。
iTunes StoreとApp Storeには、Facebookの「いいね!」ボタン(Like!ボタン)が用意されるので、気に入った楽曲やアプリの情報も簡単に共有できるようになる。
電話機能の強化
これまであまり変化がなかった「電話」機能にも、iOS 6では大きく手を入れられる。
電話の着信があったのに電話に出られない場合、これまでは「拒否」するしかなかったが、新たにテキストメッセージで返信したり、後でリマインドしたりする機能を用意した。
これなら会議中などに電話があっても、「折り返し電話します」といった定型文をすぐに送れる。
リマインダーにアラームをセットすることもでき、例えば「1時間後」にリマインドしたり、「現在地から移動」したときにリマインドしたり、あるいは「家に帰ったら」リマインドしたりできる。
電話やメールの着信を完全にサイレントにする「Do Not Disturb」機能も用意する。
手動でオンにした場合はもちろんだが、あらかじめセットしておいた開始時刻と終了時刻の間だけ有効になるような設定も可能。
夜中に電話がかかってきても音を出さず、画面も点灯させない、といったことが簡単にできる。
バイブレーターも動作しないので、まさにホテルなどによくある「起こさないでください」カードと同じような効果をもたらす。
ただし、特定の「Favorites」(よく使う項目)に登録した人からの電話やメールのみ音を出す、といった設定もある。
3G回線でのFaceTimeサポート
iOS搭載デバイス間で、テレビ電話ができる「FaceTime」は、これまでWi-Fi環境下でしかりようできなかったが、iOS 6では3GのネットワークでもFaceTimeが利用できるようになる。
日本でリリースされるときにどのような対応になるかはまだ不明だが、Wi-FiがなくてもFaceTimeが利用できると、さらに利用シーンは広がりそうだ。
また電話番号とApple IDを登録しておけば、iPhone宛てにかかってきたFaceTime通話をiPadで受ける、といった使い方も可能になる。
Safariの新機能
Webブラウザの「Safari」の使い勝手も、iOS 6でさらに向上する。
Appleのクラウドサービス「iCloud」との融合を促進し、「iCloud Tabs」と呼ぶ同期型のブックマークを新たに用意。
他のデバイスのSafariで閲覧していたWebページを、iCloud Tabsを経由し、別のデバイスで簡単に閲覧でき、家のiPadやMacで見ていたWebサイトを、外出先のiPhoneで確認する、といったことが容易に行える。
「リーディングリスト」には、リンクだけでなくWebページのデータも保存するようになるんで、インターネット接続がない環境でも内容の確認ができる。
eBayやCraigslistのようなサイトには、Safariから直接写真や映像のアップロードも可能だ。
iOS 6では、Safariで端末の画面を横向きにすると、全画面モードになる。
より広い画面でページを見たい場合になどに便利だ。
共有の幅を広げるフォトストリーム
iCloudの導入とともに用意された「フォトストリーム」は、iOSデバイスやMacの写真をiCloudを介して同期させることが可能なサービスだが、iOS 6では共有の範囲を「同じApple ID」から「iOS 6搭載デバイスでiCloudを利用しているユーザー」や「OS X Mountain Lionを搭載するMacのユーザー」に拡大。
あらかじめ設定した仲間同士で写真が簡単に共有できる「シェアドフォトストリーム」機能が利用できる。
シェアドフォトストリームは、通常のフォトストリーム同様、Apple TVでテレビに映し出したり、Webブラウザで参照したりも可能。
Apple製品でなくてもシェアドフォトストリームの閲覧は可能だ。
シェアドフォトストリームのメンバーは、写真にコメントを付けられ、ほかのユーザーからもそのコメントは閲覧できる。
友達や家族が写真を共有したら、ロック画面にアラートを表示させる機能なども提供する。
重要なメールを仕分けするVIPリスト
「メール」アプリの機能も、iOS 6へのアップデートともに強化する。
主にメールボックス内のユーザーインタフェースの変更が中心だが、「VIP」フォルダを用意し、重要なメールの見落としが発生しないようにする。
VIPのリストは適宜変更可能。
リストはiCloudで同期できる。
写真や動画のメールへの添付も簡単に行えるよう改良を加えた。
電子決済やクーポン券になるPassbook
飛行機の搭乗券やコーヒーショップのクーポン、映画の入場券、店舗の会員証など、さまざまなチケットやカードを、電子的に1つにまとめることができるアプリが「Passbook」だ。
これは今までになかった新しいタイプのサービスだ。
Passbookは、その名の通りチケットやクーポンなど、「パス」に分類される物を収集し管理・使用できる便利なアプリ。
例えばユナイテッド航空のサービスなら、飛行機の出発ゲートの情報などが手元で簡単に確認できるほか、ゲートに変更があった場合などにはプッシュ通知で譲歩の更新を行ったりする。
NFCやFeliCaのような近距離無線通信の仕組みは用いておらず、画面にQRコードやバーコードを表示したり、会員番号を明示したりすることで利用する。
位置情報と連動して、お気に入りのカフェが近くにあったらロック画面にポップアップを表示するような機能も提供。
NFCとはまた違った発展を遂げる可能性を秘める。
より使いやすくなったアクセシビリティ機能
視覚や聴覚に不自由があるユーザーでも快適に使えるよう、iOSにはもともと「アクセシビリティ」機能が用意されている。
iOS 6では、これをさらに使いやすくする。
特に注目なのは、利用できるアプリを1本に限定し、不意にアタのアプリに切り替わってしまったり、子供が勝手にアプリを切り替えたりしないようにする機能。
また、ホームボタンを利用できないようにしたりして誤操作を防止したり、アプリ内の特定の領域へのタッチを無効にする機能などもある。
一から作り直したマップ
これまでiOSデバイスの「マップ」アプリでは、Googleが開発したGoogle Mapsの提供を受けていたが、iOS 6ではAppleが開発したマップアプリを搭載する。
ベクトルデータの地図情報は拡大や縮小にスムーズに追随し、配色も見やすい。
ターン・バイ・ターン(交差点などで曲がる方向を指示する)方式のナビゲーション機能も備える予定だ。
ローカルサーチもサポートし、位置情報から関連する情報を引き出せる。
ショップの名前や電話番号、WebサイトのURLなどはもちろん、Yelpでのレーティングなども確認可能だ。
Siriに近くのガソリンスタンドを探してもらい、ナビゲーション機能で現在地から案内してもらうようなこともできる。
このほか、iOSデバイスの移動速度などをプローブ情報として活用する交通情報の提供機能や、Siriの音声によるナビゲーションなど、興味深い機能も用意する。
Googleのストリートビューに変わる特徴的な機能として、Flyoverという機能も用意する。
これは一部の大都市に限られるが、3Dグラフィックで再現された街の上を飛行機で飛んでいるかのような景色が楽しめる機能だ。
ストアのUI変更、中国向け機能の追加も
このほか、具体的なデモはなかったが、iTunes Store、App Store、iBookstoreのユーザーインタフェースも変更される。
過去の検索履歴をiCloudで共有し、別のデバイスでも簡単に過去に検索したコンテンツをダウンロードしたりできる。
中国市場向けには、中国語辞書の強化や手書き文字認識の改善、iCloud経由での辞書の共有といった機能も実装。
Safariの検索として「Baidu」が選べるほか、「Youku」や「Tudou」で簡単に動画の共有が可能になる。
「Sina Weibo」への投稿などもサポートする。
数々のアップデートが盛り込まれる予定のiOS 6のリリースは秋の予定。
このタイミングで、今回は言及がなかった「新しいiPhone」も発表される可能性がある。
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