まんさくの花いつ見ても乾きゐる・・・高田正子
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春立つや枝の先まで水明り・・・加藤岳雄
[自分流の鑑賞]
春の兆しが始まった。未だ光は弱いが、小川に反射した光が、堤の木々の枝の裏側までに光を届けている。水明かりの反射光で周りが明るくなったような気がする。 . . . 本文を読む
暮れぎはや不二もあらはに冴えかえる・・・木津柳芽
[自分流の鑑賞]
冴え返るとは春の初めの頃、寒さがぶり返るこを言う。寒さが戻ってきて、空気が澄み、夕日をバックに富士山のシルエットが寒々しく、くっきりと浮かび上がっている。 . . . 本文を読む
何もなき二月と思へば霰降る・・・百合山羽公
[自分流の鑑賞]
気候が温暖な遠州地方。二月は北西の季節風が強いが暖かで、雪が降ったり、氷が張ったりすることはめったにない。しかし、今年は例年になく雪が多い年だ。突然、北西の山並みに黒い雲が現れ、霰が降り始めた。 . . . 本文を読む
伊豆の海や紅梅の上に波ながれ・・・水原秋櫻子
[自分流の鑑賞]
伊豆半島は沖に黒潮が流れているため、冬暖かい場所である。伊豆高原あたりの小高い丘の梅園であろう、紅梅の咲くのも早く、梅の木々の上に太平洋の潮の流れが輝いて流れている。早春の暖かい伊豆半島の風景である。 . . . 本文を読む
紅梅の吐きたる息をふかく吸う・・・朝倉和江
[ 自分流の鑑賞]
紅梅の吐く息とははなの香りを言っているのであろう。ようやく咲いた、淡い紅梅の香りを胸いっぱいの吸って、春の勢いを貰ったかのようだ。 . . . 本文を読む
紅梅や沖より変る潮の色・・・渡邊千枝子
[自分流の鑑賞]
早咲きの紅梅を除くと、普通紅梅は白梅の後に咲き始める。真赤な紅梅が咲く頃はだいぶ春らしくなる。丘にある梅園よりは遥か遠くの沖まで見え、何か潮の流れも遠くより春の色に変わって来ているように見える。 . . . 本文を読む
白梅の仄か色めく夕日ざし・・・林 翔
[自分流の鑑賞]
早春の光の弱い夕日が山端に沈みかけている。ようやく咲き始めた白梅の花びらを透かして、淡く白さを浮き上がらしている。弱い夕日の茜色と花びらの白とを対比させている。 . . . 本文を読む
磯山の迫りくるくらさに梅しろし・・・水原秋櫻子
[自分流の鑑賞]
海の近くの山に白梅の花が咲き始めた。日が沈み始めて磯に突き出した山の影が黒くなり始めた。その黒を背景に白梅の白さが一段と増してきた、海の潮の香りも良く合う。 . . . 本文を読む
山国の小石捨て捨て耕せり・・・沢木欣一
[自分流の鑑賞]
山国の急な斜面の畑で春の種を撒く準備に耕している。急な斜面は小石が風や雨に運ばれ落ちてくる。毎年繰り返す石を捨てる作業だ、づっと昔の先祖より続けてきた。石が多く表土も少ないので、収穫は少なく労働はきつい。しかし文句も言わず、こつこつと作業を続ける。 . . . 本文を読む