照り合ひて影をなくせる白牡丹・・・芳賀孝雄
[自分流の鑑賞]
初夏の日差しの下で、強い香りを放ちながら白牡丹が満開である。真っ白な花弁に光りが反射して、隣の花の影を照らし出して、その影を無くしてしまう。
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田園に吾が歌へば蛙鳴く・・・浜口豊治
[自分流の鑑賞]
水田は畦も作られ、水も張られて田植えの準備が整っている。その畦道を歩きながら日本民謡を口ずさみながら散策をしていると、水田の蛙たちもいっしょに歌い始めた。我が家の周りは水田で蛙たちの合唱を毎夜聞いている。特に騒がしく感じない、精神状態が良いのかもしれない。 . . . 本文を読む
花明り流して川の暮れてゆく・・・浅利恵子
[自分流の鑑賞]
川幅5m位の川の堤に桜並木が満開である。その桜が川面に映り白っぽく光っている。川の流れは緩やかで花明かりが流れてゆくように見える、周りも暮れてきて殊に白さを増してきた。 . . . 本文を読む
雨もまた花うつくしくするものよ・・・玉手のり子
[自分勝手の鑑賞]
糸のような春の雨が大きな桜の木に降り注いでいる。咲き始めたばかりの梢の先の桜の花より、薄桃色の雨雫が垂れ落ちている。桜が咲くとき雨は嫌がられるが、良く見ると雨もまたいいものだ。 . . . 本文を読む
囀や心解(ほぐ)せる雑木山・・・吉田悦子
[自分流の鑑賞]
近くの小山を散策する。雑木林があり、既にに緑の若芽が山一面に広がっている。頬白や四十雀などがしきりに囀っていて、世間の騒音は聞こえない。全てに自然界の活力と心の落ち着きを感じる。 . . . 本文を読む
大空のどこからとなく花の塵・・・千代田景石
[自分流の鑑賞]
とある春の日、風が少し強い、何か白い小さな物体が空より降ってくる。掌に受けてみると桜の花びらである。近くの山から風に乗ってきた山桜の花びらだ、少し不便だが里山の生活もいいもんだ。 . . . 本文を読む
初つばめ一気に空をめくりけり・・・松江山水子
[自分流の鑑賞]
家の近くに燕が飛び始めてだいぶたつ。この頃は特に元気で急上昇の円弧を描いている。このような風景を一気に空をめくったと表現している。良く観測しているものだ。燕の飛び交うさまを見ていると、何か元気を貰ったような気がする。 . . . 本文を読む
音もなく水輪ひろげて春の雨・・・長谷川回天
[自分流の鑑賞]
春の桜時、弱い雨が降っている。小さな池の水面にいっぱいの水輪をつくり、その輪が互いに重なり合っている。その水面には水草の葉が小さく点在して、時おり小さ金魚が空気を吸いに水面に上がってくる。小さな光景だが懐かしい。 . . . 本文を読む
囀といふ極楽の中に住む・・・高橋とも子
[自分流の鑑賞]
家の周りにはたいした木はないが、椿や雑木が少しある。春も半ば、早朝から雀や目白などの小鳥が囀り飛びまわっている。小鳥の囀りで目が覚さめる。ささやかではあるが極楽を感じる、極楽と言うものはすぐそばにあるものであろう。地獄もしかりだが。 . . . 本文を読む
チューリップ花びら外れかけてをり・・・波多野爽波
[自分流の鑑賞]
真赤に咲いたチューリップ。普通は蘂は花の上から覗かないと見ることはできない。しかし、咲いてしばらくたつと、花弁の一つが寿命で垂れ始める。するとそこから内部の蘂をかいま見ることができる。寿命と秘部の関係を表現していると思われる。
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