「夢あるいは現」日記 『かくれんぼう』

　「みんな、どこに隠れているのだろう？」
　２００８年には、まだ、みんな居たと言うのに。

　いや、２０１０年、古巣のスタジオでやったリーディング芝居では、作者の清水邦夫も居たし、松本典子から、チラシに載っていたボクの携帯に電話があったではないか。

　２０１１年のライブには、ボクの初演出の芝居に出てくれたＮも観に来ていた。Ｎだけではない、大先輩のＭ嬢も、その良きパートナーのＴ氏も客席に居たではないか。

　あれから、たった１０年しか経っていないではないか？
　そうだろう？
　
　ボクが、鬼なんだね？そうなんだね？

　そうなら。

　「もう、いいかい？」と呼びかける。

　返事はない。

　２０２３年、やっと、人が集まれるようになった。
　
　今度は、先輩たちが、そこにいるだけでいい舞台を創るから。

　「それにしても、みんな、どこに隠れているのだろう？」

　試しに、もう一度。「もう、いいかい？」と呼びかけてみる。

　やはり、返事はない。