灼熱Inland Empire “育児” 奮闘記

南カリフォルニアはリバーサイドでの研究活動と生活の一端をまとめたブログ.パーマネント職をゲットするまでは続けるつもり.

レフリー

2005-03-15 15:59:26 | 研究
研究活動には自分で実験したり計算したりして,成果を論文に仕上げることの他に,他人が書いた論文を批評する査読者(レフリー)としての仕事もあります.主な仕事は投稿された論文が掲載に値するのか,値しない場合はどこを改善すればよいのか,などについて評価を下すことです.通常一つの論文に対して二人から四人の査読者がつきます.雑誌の編集者はこの査読者の意見を元に掲載するのかしないのか決定を下すので,査読者にはその分野に精通してきちんと評価を下せる人間が選ればれます(選ばれるはずです).一種の名誉職と言ってもよいのかも知れません(と勝手に価値を高めています).と言うことで僕は依頼が来たときは,その分野のエキスパートとしてある程度認められたんだと勝手に思うようにして必ず受けるようにしています.ただ実際は大物研究者たちが忙しいことを理由に依頼を断るために,結果として僕のようなペーペーにもそういう仕事が回ってくるという図式のようです.ただ編集者クラスの人間に少なくとも存在が知られているわけですから悪い気はしません.それによい査読をすれば,それはそれで自分の存在のアピールになりますし,やはり科学界に何らかの貢献が出来ることはそれはそれで研究者になろうという身であればうれしいものです.

さてこんなペーペーでも一年に数回依頼が来るので,それなりに数はこなしてきたわけですが,僕にとっていまだに査読は簡単な仕事ではありません.一つの査読にかける時間は結構なもので,少なくとも数日,時には一週間以上費やします(一日に費やす時間は多くて2時間程度です).慣れている人たちは2時間くらいで終わらせられるようですが,僕の場合はなかなかそうもいかないです.他の査読者がどのようにしているのか分かりませんが,僕は引用文献にまで手を出すことも結構あります.そうしないと論理の矛盾や問題点を見抜けません.ただそのようにきちんと査読をすると色々なことを学ぶことができ,非常に勉強になります.それから,査読をしていて楽しいのは,僕の指摘に対して著者が後々きちんとコメントをつけて返答をしてくることです.指摘した部分については修正してくることがほとんどですが中には反論してくる著者もいます.それでも自分の意見に対して何かしらの反応があるというのは楽しいものです.

と言うことで実は今査読の合間にこれを書いています.煮詰まってしまったもので...今回の雑誌は初めてなので,しっかりやろうと思っています.頑張ります.

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2 コメント

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まじめにやると… (LiLA管理人)
2005-04-23 03:10:32
査読を依頼されるというのは、その分野で活躍されていることを認められているわけですね。

でもあまり細かくきちんとやり過ぎると、執筆者との永遠のキャッチボールになってしまうので、ご注意。



もっと新しい記事のほうにも、コメント入れたいのですが、とりあえずは、先月分の記事からゆっくり読み返しております。

本当は... (hs)
2005-04-25 10:16:33
理想的には矛盾点や論理の弱いところなどの本質的な問題点をささっと見つけてそれを指摘すればよいのでしょうが,それが出来ないもので細かく細かくなってしまうんですよね.



少なくともきちんと読んでいるよ,というアピールにしかならないんですけどね.