07.10スタート     がんのあれこれ 

がんが判明して色々学び、色々考えさせられた。節目節目で”がんについて”思う事が違うので、書いて(残して)見る

[1-8]闘う癌、闘わない癌

2007-09-12 15:19:52 | 3年経過して
【工事中】


「闘う癌、闘ってはいけない癌」 佐藤武男著;大阪大学医学部卒、大阪府立成人病センター名誉総長 徳間書店発行

  ≪以下は、「闘う癌、闘ってはいけない癌」を読んでのメモです≫


・近藤さんの主張について

①がんには転移しない「がんもどき」がある。将来も転移しないので放置しておいても大丈夫。転移していくがんは、早期に発見した場合でも既に転移しており手術も無意味である。
②日本の医学界は過剰治療であり、集団検診なども患者さんに不必要な苦痛を味あわせている。

と言うものだが、①には全面的に反対、②については、限定付きで賛成する。

また、過剰医療を提起した近藤医師の勇気は評価したい。だが、転移しない「がんもどき」と言うのには、40年間にお目に掛かった事がない。また、がん治療の基本は、「早期発見、早期治療」が原則である。

・行き過ぎた医療は、医者の気負いが無意味な積極治療を生んでいる。
①家族の「このまま死なせたのでは悔いが残る」と言うような強い要請から。
②医師の「最後までがんと積極的に闘いたい」という、職業的な願望が根強い。
③医師の多くが、臨床医療が中心でケアの経験が乏しく、根治治療から緩和療法に切れ替えられない実情がある。


・「闘うがんと闘っては行けないがん」の見分け方
                    <闘うがん>           <闘ってはいけないがん>
①臓器毎の生存率によって  ・5年生存率30%以上のがん     ・30%以下の難治がん
②性質の良否と転移速度   ・転移が遅い、良質のがん       ・転移が早く悪質ながん
③進行度の判断        ・ステージ2期、転移無し3期      ・転移がある3期、4期
④健康状態など        ・健康で治療に耐えられる状態     ・治療に耐えられない状態の
                                           高齢者、重複がん患者等

・臓器別5年生存率 (1988,大阪府がん登録統計)
 A群<70%以上>  →  乳房、甲状腺、喉頭、膀胱、子宮
 B群<30%以上>  →  口腔、結腸、直腸、腎、胃、前立腺、卵巣、悪性リンパ腫
 C群<30%以下>  →  白血病、食道、肺、胆嚢、肝、膵


・がん細胞別区分による増殖スピードは、以下の通り。
 <扁平上皮がん>は遅い  →    口腔、咽頭、喉頭、食道、気管支他
 <腺がん>は中間      →    胃、大腸、肝、膵、肺、前立腺他
 <移行上皮がん>は早い  →    白血病、悪性リンパ腫他


・がん検診;現在のところ、死亡率を低下させるだけの成績は上げていないのが実情である。
①集団検診の効果があるがん  →   ・胃、大腸、子宮
②集団検診が成功しにくいがん →   ・乳、肺




・食文化;米国でも塩蔵食肉で塩分過多の時代は胃がんが多かったが、冷蔵庫の普及によって生肉を食べるようになり胃がんは減った。戦後、日本でも冷蔵庫が普及したが、相変わらず塩辛い副食物を好む傾向、新鮮な緑黄色野菜が少ないという食習慣はなかなかあらたまらなかった。

・米国議会で、日本食こそ理想の健康食であるとの報告があり、豆腐などの日本食ブームが起きた。徐々に脂肪や動物性タンパク質の摂取が減り、大腸がんが減少している。

・高脂肪食、高動物性タンパク質食、高コレステロール食に変容しつつある日本は、胃がんの現象に代わって大腸がん、膵臓がん、乳がんなどが増えて来ています。

・ニコチン(依存症)には発ガン性はありませんが、タールに発ガン性があるのです。

・今の日本人は、必要以上にがんを恐れ過ぎています。今や、がんになることは、ありふれた人生の一節なのです。

・私個人は、ぽっくり病で死ぬよりもがんで死ぬことを選びたい。がんで死ぬのであれば、残された時間にじっくり自分と対話し、家族や友人・知人と対話し、後の始末を十分にして、納得して死んでいくことが出来るからです。

・今は、一生になんどもがんになる長寿社会です。私は「がんを克服して百才まで生きよう」と患者さんに言っている。