【山域】 天子
【山名】 毛無山(1945.5m)
【山行日】2006年6月4日(日)
【メンバー】単独
【地図】エアリア31 「富士山 御坂・愛鷹」2005
ヤマケイ登山地図帳16 「富士山・御坂」
1/25000「人穴」
【参考図書】『アルペンガイド12 富士・箱根・御坂』(山と渓谷社)
【天候】晴れ
【コース】
朝霧グリーンパーク入口 09:05 - 09:40 登山口
登山口 09:45 - 10:25 不動滝見晴台
不動滝見晴台 10:30 - 11:25 1600m付近
1600m付近 11:30 - 12:20 毛無山
毛無山 12:50 - 13:35 新地蔵峠
新地蔵峠 13:50 - 14:50 登山口

【山行記】
小田原から乗った東海道線は、シートが倒れる旧型の特急車両で足を前に投げ出してゆったり座ることができ、寝心地が良すぎて、あやうく富士で乗り過ごすところだった。
熱海辺りでどんより曇っていた空も明るく晴れ上がり、身延線に乗り換えて、富士宮駅へ。
富士宮駅から快速バスに乗る。列車の窓からは拝むことのできなかった富士山がバスの窓から見える。雪はかなり融けて、マダラ富士となっていた。吹く風はまだ涼しげだが、もう春は終わって夏になっているのだと感じる。
朝霧グリーンパーク入口で私ともう一人登山者が降りる。バス停でストレッチをしているあいだにその登山者は麓集落目指して歩き出した。たぶん、彼とは同じコースなんだろうな、と思いつつ、ゆっくりと車道歩きが始まる。
車道を歩きながら、毛無山登山口までバスが往復してくれたらよいのに、などと考える。標高は高く、涼しい風が吹いているので、まだこの季節はいいが、もう少ししたらアスファルトの照り返しがきつく、この車道歩きでかなり体力を消耗してしまうのではないだろうか。
それでも車道のそこここに、ヤマツツジが美しく咲き乱れ、目指す毛無山の雄姿もはっきりと見える。ウグイス、ホトトギスの鳴き声の他に遠くでカッコウも鳴いていた。大見岳への尾根を直登する地形図の破線路(廃道扱い)への取りつきはよくわからないまま、登山道の入口に到着した。
麓宮で安全祈願をして登山道に入る。すぐに地蔵峠経由の道との分岐に着く。登山口から25分とエアリアに書かれているが、10分ほどで着いた。そして1合目の表示を通る。ヤマツツジがそこらじゅうに咲いている。傾斜はきつく、汗も出てきて、夏になりつつあることを実感。2合目を過ぎ、先は長いなと覚悟するが、美しい緑色の広葉樹のなかに朱色のヤマツツジが映え、ホトトギスやウグイスの囀りに励まされながらなおも登ると、不動の滝見晴台に到着。さすがに少し疲れたので、滝の写真を撮ったあとベンチに座ってアミノバイタルで休憩をとった。

アミノバイタルが効いたのか、足腰がしゃんとしてきた。緑と朱色の美しい径を3合目、4合目と順調に過ぎ、ギンリョウソウをみつける。5合目、マツダランプの表示で大勢休んでいたが、そこはパスして、なおも登っていく。6合目辺りでヤマツツジが途絶えるが、6合目の先ですぐに今度はトウゴクミツバツツジがいやと言うほど咲いていて、ツツジ祭りは終わりがない。しかし、あたりにガスが漂い始め、せっかく富士のすぐそばなのにと少し落胆。

さすがに疲れてきたので、尾根の分岐点を見つけ、そこで休憩した。おそらく1600mあたりの小尾根の分岐だと思われるが、分岐した尾根には踏み跡があり、ここを下ったりすれば大崩に突入するしかない。いったい何の径路なのだろう。滝(沢)を登ってくる人の道だろうか。
休憩地点から霧に煙るトウゴクミツバツツジの径を登っていくとすぐに7合目。なおも急坂を登っていくと、ガスが晴れて陽が差してきた。8合目の標識を見つけるとさらにひと登りで富士山展望台。何とそこには雲海の上の富士山。すぐ下にガスが漂っており、もう少し低いところに展望台があったら、何も見えなかっただろう。なんだかしらないけどツイているな、と思う。

展望台から5分ほどですぐに9合目の標識があり、傾斜が緩んで毛無山の稜線に飛び出す。稜線に出てしまえば、今までの急傾斜な径に慣れた足には平地のような路と感じる。ちょっとしたアップダウンで毛無山の山頂に到着した。
標高1945m。標高差だけでも約1200m。久々に高い山に登ったという気がする。
お昼を30分ほど回っていたが、お腹の空き具合もちょうど良く、山頂で湧き上がる雲の上に浮かぶ富士山を眺めながらお昼ご飯にした。山頂は人が多かったが、小さいスミレが慎ましく咲く展望地での昼食はなかなかのものだった。
昼食後、麓集落へ直接下る路(廃道)の様子など見てから、来た道を戻り、地蔵峠・下部方面への稜線を下る。麓集落への廃道はともかく、この天子・長者ヶ岳から毛無山・竜ヶ岳の稜線はいつの日か縦走してみたい気がする。稜線には水場がなさそうなのが少々不安だが。

下部温泉への下降地点は正確には地蔵峠ではなく地蔵峠手前にあり、新地蔵峠などとも呼ばれているようだ。もう少し先の地蔵峠からは下部、朝霧両方面への径が下っているようだが、下部温泉駅までの長丁場を考え、手前の新地蔵峠で長めのティーブレイクをとり、下部へ下る人たちがあらかた下ってしまってから、新地蔵峠をあとにした。
中山金山の大名屋敷跡や女郎屋敷跡などを過ぎなおも下っていくと山の神。ここまでの無事を感謝してさらに下っていく。陽射しが強く下っていくだけでも汗をかく。夏山シーズンまでもうあとわずかなんだと思う。登りの時ほどではないが、こちらでもヤマツツジが時折現れては目を楽しませてくれる。
なんとなく下界の雰囲気が漂ってきたなと思うとまもなく登山口に着いた。時刻は15時前。まあこれで、17:49の甲府行きにはまにあいそうだなと、しゃがんでストックを畳んでいると、「おにいさん、車用意してないんだったら、下部の駅までいっしょにどう?」と言う声。オニイサンて、そんな若い人いたっけ?と顔を上げると、「どうなの?タクシー予約してあるの?」と私の目を見て言うので、びっくりしながらも、「え?本当に?いいんですか。ありがとうございます」と反射的に答えていた。
車に乗せてくださったのは静岡のご夫婦で、車の中でツツジのことや、住まいのこと、昨日下部温泉に泊まったことなど教えて頂き、「南アルプスの聖岳や赤石岳など静岡にはいい山がたくさんありますから是非遊びに来てくださいね」などと優しいお言葉までいただく。「根性なしなんで、あそこらへんは計画は立ててもなかなか実行にうつせないんですよ~」などと答えながら、窓からはいる涼しい風に吹かれて気分の良いドライブが20分も続くと、下部温泉の駅だった。

何度も阿呆のように頭を下げる以外、何もできないが、お礼を言い、宿へと再び向かう車を見送った。次の電車は鈍行だと甲府行きが16時過ぎで一時間近くあったが、駅の近くでビールとつまみを買って、駅舎に巣を作ったツバメを見ながら、山行後のゆっくりと過ぎる時間を楽しんだ。
【山名】 毛無山(1945.5m)
【山行日】2006年6月4日(日)
【メンバー】単独
【地図】エアリア31 「富士山 御坂・愛鷹」2005
ヤマケイ登山地図帳16 「富士山・御坂」
1/25000「人穴」
【参考図書】『アルペンガイド12 富士・箱根・御坂』(山と渓谷社)
【天候】晴れ
【コース】
朝霧グリーンパーク入口 09:05 - 09:40 登山口
登山口 09:45 - 10:25 不動滝見晴台
不動滝見晴台 10:30 - 11:25 1600m付近
1600m付近 11:30 - 12:20 毛無山
毛無山 12:50 - 13:35 新地蔵峠
新地蔵峠 13:50 - 14:50 登山口

【山行記】
小田原から乗った東海道線は、シートが倒れる旧型の特急車両で足を前に投げ出してゆったり座ることができ、寝心地が良すぎて、あやうく富士で乗り過ごすところだった。
熱海辺りでどんより曇っていた空も明るく晴れ上がり、身延線に乗り換えて、富士宮駅へ。
富士宮駅から快速バスに乗る。列車の窓からは拝むことのできなかった富士山がバスの窓から見える。雪はかなり融けて、マダラ富士となっていた。吹く風はまだ涼しげだが、もう春は終わって夏になっているのだと感じる。
朝霧グリーンパーク入口で私ともう一人登山者が降りる。バス停でストレッチをしているあいだにその登山者は麓集落目指して歩き出した。たぶん、彼とは同じコースなんだろうな、と思いつつ、ゆっくりと車道歩きが始まる。
車道を歩きながら、毛無山登山口までバスが往復してくれたらよいのに、などと考える。標高は高く、涼しい風が吹いているので、まだこの季節はいいが、もう少ししたらアスファルトの照り返しがきつく、この車道歩きでかなり体力を消耗してしまうのではないだろうか。
それでも車道のそこここに、ヤマツツジが美しく咲き乱れ、目指す毛無山の雄姿もはっきりと見える。ウグイス、ホトトギスの鳴き声の他に遠くでカッコウも鳴いていた。大見岳への尾根を直登する地形図の破線路(廃道扱い)への取りつきはよくわからないまま、登山道の入口に到着した。
麓宮で安全祈願をして登山道に入る。すぐに地蔵峠経由の道との分岐に着く。登山口から25分とエアリアに書かれているが、10分ほどで着いた。そして1合目の表示を通る。ヤマツツジがそこらじゅうに咲いている。傾斜はきつく、汗も出てきて、夏になりつつあることを実感。2合目を過ぎ、先は長いなと覚悟するが、美しい緑色の広葉樹のなかに朱色のヤマツツジが映え、ホトトギスやウグイスの囀りに励まされながらなおも登ると、不動の滝見晴台に到着。さすがに少し疲れたので、滝の写真を撮ったあとベンチに座ってアミノバイタルで休憩をとった。

アミノバイタルが効いたのか、足腰がしゃんとしてきた。緑と朱色の美しい径を3合目、4合目と順調に過ぎ、ギンリョウソウをみつける。5合目、マツダランプの表示で大勢休んでいたが、そこはパスして、なおも登っていく。6合目辺りでヤマツツジが途絶えるが、6合目の先ですぐに今度はトウゴクミツバツツジがいやと言うほど咲いていて、ツツジ祭りは終わりがない。しかし、あたりにガスが漂い始め、せっかく富士のすぐそばなのにと少し落胆。

さすがに疲れてきたので、尾根の分岐点を見つけ、そこで休憩した。おそらく1600mあたりの小尾根の分岐だと思われるが、分岐した尾根には踏み跡があり、ここを下ったりすれば大崩に突入するしかない。いったい何の径路なのだろう。滝(沢)を登ってくる人の道だろうか。
休憩地点から霧に煙るトウゴクミツバツツジの径を登っていくとすぐに7合目。なおも急坂を登っていくと、ガスが晴れて陽が差してきた。8合目の標識を見つけるとさらにひと登りで富士山展望台。何とそこには雲海の上の富士山。すぐ下にガスが漂っており、もう少し低いところに展望台があったら、何も見えなかっただろう。なんだかしらないけどツイているな、と思う。

展望台から5分ほどですぐに9合目の標識があり、傾斜が緩んで毛無山の稜線に飛び出す。稜線に出てしまえば、今までの急傾斜な径に慣れた足には平地のような路と感じる。ちょっとしたアップダウンで毛無山の山頂に到着した。
標高1945m。標高差だけでも約1200m。久々に高い山に登ったという気がする。
お昼を30分ほど回っていたが、お腹の空き具合もちょうど良く、山頂で湧き上がる雲の上に浮かぶ富士山を眺めながらお昼ご飯にした。山頂は人が多かったが、小さいスミレが慎ましく咲く展望地での昼食はなかなかのものだった。
昼食後、麓集落へ直接下る路(廃道)の様子など見てから、来た道を戻り、地蔵峠・下部方面への稜線を下る。麓集落への廃道はともかく、この天子・長者ヶ岳から毛無山・竜ヶ岳の稜線はいつの日か縦走してみたい気がする。稜線には水場がなさそうなのが少々不安だが。

下部温泉への下降地点は正確には地蔵峠ではなく地蔵峠手前にあり、新地蔵峠などとも呼ばれているようだ。もう少し先の地蔵峠からは下部、朝霧両方面への径が下っているようだが、下部温泉駅までの長丁場を考え、手前の新地蔵峠で長めのティーブレイクをとり、下部へ下る人たちがあらかた下ってしまってから、新地蔵峠をあとにした。
中山金山の大名屋敷跡や女郎屋敷跡などを過ぎなおも下っていくと山の神。ここまでの無事を感謝してさらに下っていく。陽射しが強く下っていくだけでも汗をかく。夏山シーズンまでもうあとわずかなんだと思う。登りの時ほどではないが、こちらでもヤマツツジが時折現れては目を楽しませてくれる。
なんとなく下界の雰囲気が漂ってきたなと思うとまもなく登山口に着いた。時刻は15時前。まあこれで、17:49の甲府行きにはまにあいそうだなと、しゃがんでストックを畳んでいると、「おにいさん、車用意してないんだったら、下部の駅までいっしょにどう?」と言う声。オニイサンて、そんな若い人いたっけ?と顔を上げると、「どうなの?タクシー予約してあるの?」と私の目を見て言うので、びっくりしながらも、「え?本当に?いいんですか。ありがとうございます」と反射的に答えていた。
車に乗せてくださったのは静岡のご夫婦で、車の中でツツジのことや、住まいのこと、昨日下部温泉に泊まったことなど教えて頂き、「南アルプスの聖岳や赤石岳など静岡にはいい山がたくさんありますから是非遊びに来てくださいね」などと優しいお言葉までいただく。「根性なしなんで、あそこらへんは計画は立ててもなかなか実行にうつせないんですよ~」などと答えながら、窓からはいる涼しい風に吹かれて気分の良いドライブが20分も続くと、下部温泉の駅だった。

何度も阿呆のように頭を下げる以外、何もできないが、お礼を言い、宿へと再び向かう車を見送った。次の電車は鈍行だと甲府行きが16時過ぎで一時間近くあったが、駅の近くでビールとつまみを買って、駅舎に巣を作ったツバメを見ながら、山行後のゆっくりと過ぎる時間を楽しんだ。