日本人は初物が好きな民族ですね。先日、豊洲市場の初競りで青森県大間産のクロマグロが過去最高値となる3億3360万円の値を付けました。
これは2013年の落札額1億5540万円を倍以上も上回る凄さで、釣り上げた漁師さんには関係者によると落札額のうち、青森県漁連に1.5%(約500万円)、大間漁協には4%(約1334万円)、豊洲市場で競りが始まるまでマグロを預かる荷受業者に5.5%(約1834万円)が支払われ、残金を釣り上げた漁師が受け取ります。ただ、所得税などの税金約40%を納付することになるため、実際に入金されるのは約1億7800万円になりそうです。まさしく一獲千金になります。
豊洲市場初の正月の競りであり、平成最後の競りだということも重なった、ご祝儀相場ですので、もちろん、全員がこんな幸運に恵まれないことなど分かっています。
大間のマグロ漁のシーズンは大体8月くらいから翌年1月くらいの、4ヶ月~5ヶ月くらいしかなく、多くのマグロ漁師さんはシーズン以外は別の仕事と掛け持ちしたり、他の漁をするそうです。また、一日中漁に出ている時もある長時間労働というところもあり、過酷な肉体労働です。
以前、TVで放送されていた番組では、大間のマグロ漁師さんの年収は水産会社所属のマグロ漁船員の場合、400~1000万円程だそうです。船に規模や所属する水産会社の給料基準、マグロの漁獲量によっても違いますが、経験を積んで、船長になれば収入が上がっていきます。
一方、個人のマグロ漁師さんは、今回のように競りの値段がマグロ漁師の収入になります。釣り上げたマグロの状態によって1kgあたりの金額は変わりますが、一般的に、100kgを超える大物であれば、1kgあたり1万円程で落札されるようです。
例えば50kgのマグロが1kgあたり5000円で落札されたとして、1ヶ月にマグロを16本、1シーズン4ヶ月とすると、5000×50㎏×16×4ヶ月=1600万円という計算になります。ただし、船の燃料代やエサ代等の諸経費がかかり、大体一回の漁で約5万円、1シーズン4ヶ月毎日漁に行ったとした場合、600万円もの燃料費となります。また、マグロ漁船の初期投資費用として、大体5000万円ほど、大型のトップクラスでは2億5000万円もするそうです。
今回のニュースで海の漢にあこがれて、マグロ漁師になってみたいと思った人もいると思います。大間漁業協同組合では、漁業権の問題があって、一般の人では漁師(組合員)にはなれないそうです。組合員は親から子へ、子から孫へ資格が移るのが一般的なのだそうです。
青森県には48漁協があるほど漁業が盛んなのですが、近年は高齢化や後継者不足によって漁師のなり手は少なくなっているそうです。TVなどでは華やかな面ばかりがクローズアップされますが、就業人口の減少こそが日本の漁業の置かれた状況を物語っているようです。
ここ大間には、数年前までは766人の組合員(仲買などは別)がいたそうですが、現在は700人を少し超える程度にまで減っているそうです。高齢化もありますが、背景には仕事の過酷さもあるそうです。
それでも、どうしても大間の漁師になってみたいという人は、可能性としては漁師の娘の元に婿入りするという方法があるそうです。あるいは、漁協などで働いて地道に実績を積むことで、仕事ぶりが認められれば新たに資格を得られるかもしれないそうです。
地道にサラリーマンを続け、マグロを食べる方に徹底していた方がいいかも知れないです。