東宝クレージー映画第1作「ニッポン無責任時代」の主題歌として作られたこの歌は、1962年7月20日に発売されたハナ肇とクレージーキャッツ3枚目のシングルです。歌は植木等さん、作詞は青島幸男さん、作曲は萩原哲晶さんで、映画と共に大ヒットしました。
さて、今年はというか、今年もというか、誰もが知る大企業での問題が発覚し、日本製品の品質に?マークが付いてしまう状況になっています。フタを開いてみれば上層部は無責任でいい加減な人ばかり、というのはよくある話であって、現場で実際に頑張っているのは平社員ばかりという状況は意外と多いのかも知れません。
米国育ちの元ANA国際線CA、元お天気キャスターという異例のキャリアを持つ健康社会学者の河合薫さんの「わが国大企業の中間管理職とその昇進」と題された論文で面白いことが書かれています。
統計的な分析を行なったところ、昇進に必要なものととして
◾学歴および早い時期での評価が圧倒的に重要
◾交渉力、運への自信、指導力、昇進意欲などが重要
◾忠誠心、明るさは関係ない
さらに
◾責任感や几帳面さは、昇進にマイナスに作用する
と、35項目の中で、「責任感」と「几帳面さ」だけが、統計的に有意に昇進のマイナスに作用しているそうです。要するに「責任感の強いことは、昇進を妨げる可能性が高い」という結果なのだそうです(個人の感想であり効果・効能を示すものではありません)。
その理由として、「責任感の高い人は正義感も強いため、自らの責任に加え、他者への責任追及も厳しい」というものです。組織で起こる問題の多くは、一人だけが原因である場合は極まれであり、一人が正直に告白することで困る人も少なからずいるのではないか。逆に、嘘をつきとおす人のおかげで責任追求を免れる人も存在するのではないかということです。
何か混沌とした話ですが、今起こっている相撲界に当てはめると、何となくわかるような気がしませんか?
つまり、多かれ少なかれ日常の業務の中にも嘘や責任逃れは横行しているので、そういう人は案外、上司や周囲から重宝がられ、上からの「引き」で出世する可能性が高まるのだろうということですです(個人の感想であり効果・効能を示すものではありません)。
この「無責任なヤツほど出世する」という結論は海外の研究で示されていて、米国ではその責任感を個人のパーソナリティ特性と明確に位置づけ、「他責型」と「無責型」に分けるのが一般的だそうです。
◾他責型は「人を責める」「人のせいにする」タイプ
◾無責型は「自分の関わりを否定する」タイプ
米国企業のトップの7割はこのどちらかに属するとされ、他責型の事例としてよく取り上げられるのが、石油会社のブリティッシュ・ペトロリアム(BP)社の元CEOです。2010年4月にメキシコ湾沖合80km、水深1522mの海上で海底油田の掘削作業中に、大量の原油をメキシコ湾へ流出させるという大規模な事故を起こし、このときの事故で11人の作業員が亡くなりました。当時のCEOは事故直後に「一体、どうして我々がこんな目にあうんだ」と報道陣の前で嘆き、叩かれました。それでも一向に態度を改めることなく、徹底的に責任を否認しました。事故2週間後には、「メキシコ湾は広大だ。海全体の水の量に比べれば、流出した石油と分散剤の量など微々たるものだ」と発言し、科学者たちが「部分的に溶解した原油が、海中を浮遊する様子」を捉え、責任を追求するも、「汚染物質などない。科学者はおかしい」と反論。どこまでも「他者」を責め続けました。
一方、無責型の事例として上げられるのが、ヒューレット・パッカード(HP)社史上最悪のCEOと揶揄された方。この元CEOは「ガラスの天井」をぶち破ってきた自他共に認めるエリートで、会社が倒産する数日前「自社のバランスシートは健全」と公言しました。しかし、経営は悪化の一途をたどり、挙げ句の果て辞任。過剰な人員削減や安易な戦略が「企業を衰退させた」と大批判され、全米至上もっとも無責任なCEOとも呼ばれています。
他にも、倒産後も責任を否定し続けた老舗投資銀行ベアー・スターンズ のCEOも、嘘つきで傲慢な「無責型」に分類されています。
無責任な人たちは度々嘘をつきます。しかしながら彼らには、「嘘をついている」という罪悪感はありません(個人の感想であり効果・効能を示すものではありません)。
普通な私たちは、嘘をつき、責任を回避すると、イヤな気持ちになります。しかし、実際には嘘を貫きとおすことができると、次第に「チーターズ・ハイ(簡単に言うと、嘘をつき他人をだまし快感を得ること)」と呼ばれる高揚感に満たされ、どんどんと自分が正しいと思い込むようになっていくのです(どこかで聞いたことがあるような話です)。
さて、1962年にヒットした「無責任一代男」ですが、ヒットの理由について作詞した青島さんは、「大人たちの不誠実さも反吐が出るほど見せられてきた戦後の若い世代には、この唄は我が意を得たとばかり受け入れられたに違いない」と分析しており、「タモリはこの歌を座右の銘にし、ビートたけしはこの歌で人生観を変えられた」とのことです。
技術力は数十年の間に発達しても、人間の本質は何十年経っても進化していないと言うことです。
作詞:青島幸男
おれは この世で一番
無責任と言われた男
ガキの頃から調子よく
楽してもうけるスタイル
学校に入ってからも
ヨウリョウはクラスで一番
月謝はいらない特待生
コネで就職かァ OK
会社に入ってからは
上役に毎日ごますり
ゴルフに小唄にゴのあいて
なんとか課長になった
いかした女を見れば
手当たり次第に口説き
結婚の約束ァ口だけさ
もともとその気はない
毎日会社に来ても
デスクにじっとしてるだけ
いねむりしながらメクラバン
それでも社長になった
人生で大事な事は
タイミングにC調に無責任
とかくこの世は無責任
こつこつやる奴はごくろうさん
「ハイ!ごくろうさん」
ただ、私は青島さんが本当に言いたかったのは「無責任一代男」ではなく、「正義のヒーロー」の出現を望んでいたのではないのかと思っています。
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まっくろくろすけ

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