昨年のオリックスバファローズのドラフト指名は球団初となる、社会人選手の未獲得や支配下選手より育成選手の獲得が上回るといった育成路線でした。今シーズン以降もこの戦略は継続し、育成中心でチーム作りを進めてくとのことです。
一方で、昨年のドラフト指名での中心となった、古屋英夫さん(編成部副部長)と中川隆治さん(アマスカウトグループ長)が退団し、スカウト体制については、牧田勝吾チーフアマスカウトや山口和男スカウトらが中心となり進めていくそうです。
さて、そのバファローズに2020年1月1日付けで日本球界初の女性スカウトが誕生しました。球団事業運営部コミュニティグループに在籍していた乾絵美さんです。
乾さんは2004年アテネ・オリンピックと2008年北京オリンピックの2大会で女子ソフトボール日本代表にキャッチャーとして参加し、銅メダルと金メダルに貢献しています。
現役引退後の2010年3月にオリックスに入団し、ジュニアチームや地域の野球普及活動に携わり、ほかにも高校野球の大阪予選などが開催される大阪信金スタジアムの運営業務も務めてきました。
乾さんの抜てきについて球団関係者は、「固定観念にとらわれない視点で選手を見てもらえる人を探していた。たまたま女性だったということです」と説明しており、プロ野球は未経験ながら世界の舞台で活躍してきた経験があり、既成概念にとらわれず、独自の視点でこれまで見逃されてきた才能を見いだすかも知れません。
バファローズは球団改革の真っ最中。昨年のドラフトではそれまでの社会人、大学生など即戦力中心の指名から素材重視に転換。高卒指名は過去最多となり、育成選手も8人とこちらも最多でした。さらに、即戦力としては新外国人にMLBスターのアダム・ジョーンズ選手を獲得しました。チーム編成においてこれまでとは、ちょっと違う姿勢です。
乾さんは、ほかのスカウトと同様に担当地域を持って、アマチュアの選手たちを追いかけることになるようです。金メダル的な逸材発掘に期待されます。
能力ある人は男性だろうが、女性だろうが関係はないと思います。また、今まで現場では男性主体のNPBにおいて、女性が活躍できる場が広がっていくことは、新しい可能性を見つけ出すチャンスにもなると思います。
NPBもMLBのように近いうちに女性コーチが誕生するかも知れません。